ジェフズブギー考察

50歳以上のファンにとっては「ジェフベックと言えばジェフズブギー」ではないかと思います。BBA(ベックボガートアピス)のライブで、この曲を聞いてファンになった方も多いと思います。

この曲は、カッコ良いだけじゃなくて、ジェフベックのウィットが随所に散りばめられて面白い。それだけに色々な奏法を駆使して演奏されているので、コピーするのも演奏するのも、それなりに難しい。難しいけど面白い、そんな曲ではないでしょうか。
この曲に限らずジェフベックの演奏はどうやって弾いているのか分かりにくいものが多いです。音は採れてもなんか感じが違うという・・・・そこを想像&妄想しながらこうやっているんじゃないかと、探求するのもジェフベックの楽しいところだと思います。

この曲は、ヤードバーズの「ロジャーズエンジニア」というイラストのジャケットのアルバムに収録されています。この曲はヤードバーズからBBAにかけて演奏されていましたが、ヤードバーズの頃とBBAの頃では、アレンジや弾く内容も違っています。第一期ジェフベックグループの頃はまだヤードバーズバージョンで、第二期ジェフベックグループからBBAで聞かれるアレンジになっていました。
この曲はGのキイの12小節のブルース進行で、チャックベリーの「ギターブギ」という曲がモチーフ。これはパクリと言われても言い返せない(笑)しかし、これを「ジェフベックの曲」として昇華させているところがすごい。

<考察実演>

●イントロは、適当に始まったような感じ。ミュート気味に弾いている。
Gの1〜3弦。
いきなり得意の3連のプリングオフ

●最初のリック
・有名な「メリーさんの羊」。6度和音。3小節目からが諸説あるが、ピック弾きではなく、ピックと指でカントリー奏法的にやっているのではないか。

●2番目、有名なチャイム。これは7フレットと12フレットのハーモニクス。
・ここらへんから、頭だけでなく途中でもいろいろ弾き始める。
・後半のGとAm7は何かの曲なのか、第二期の頃のジェフズブギーでも繰り返しやってます。

●3番目は、プリングオフの3連
これもジェフベックの代名詞みたいなリック。色々なポジションでやります。

●4番目のフレーズはヤードバーズの「オーバーアンドザサイドウェイズダウン」のテーマメロディ。
・「ロジャーズエンジニア」に収録されている曲。
・3弦の縦の動きで演奏されているのではないか。

●5番目は、これもプリングオフの3連のバリエーション。
長3度の音を使っているので4フレットにまたがっている。

●6番目は、ブルースの名曲「ステッピンアウト」ここで妄想。
・ステッピンアウトのメロディが少し違う。
・他の演奏、例えば日本公演の武道館の演奏を聴くとちゃんと弾いている。
・ピックアップを切り替えているが、リアマイクに切り替わったときに音量が下がっていて「あれ?」ってなって弾き損じたのではないか(笑)あくまで妄想。というのも、次のフレーズで間を持たせてボリュームを上げたのではないか?あくまで妄想。

●7番目は、ロックギターのフレーズとしては王道的。
しかし、実はジェフベックの演奏ではほとんど登場しない。BBAの頃はしばしば出てくる。
・同じアルバムの中のBoogieの中でもバリエーションを弾いている。
・ノリは3連なのでアクセントを気をつけないとフィーリングが出ない。
・その後は、いわゆるスイープな感じでオクターブ。

●8番目、ピック(6弦)と指(4弦3弦)ではじくように弾いていると思う。
・これひょっとしたら、モチーフはビートルズの「I Feel Fine」のイントロではないのかなと思ったりする。違うかも知れない。

●9番目は、これも今ではよく使われるプリングオフの3連。
・よく使われていると言っても、1973年当時にこれをやっていたのはジェフベックだけかも知れない。
・ここで一旦区切り。これ以降がフリースタイル。

●このあと、不協和音っぽいコードで上がっていく。途中から7thコードになる。

●次にミュートされた音でフレットを上がっていくがこういうパターン。
・左手はディミニッシュコード。上3弦を順に弾くアルペジオ。親指は3弦と4弦を交互に弾く。で、左手を緩めると摩擦音だけになる。
・ナッシュビルのギタリストの演奏を聴くとよく出てくるパターン。

●そして「じゃじゃ馬億万長者」は、先ほどのノリの延長で。

・「じゃじゃ馬億万長者」って、昔からのファンにはおなじみなのですが、若い人には何????って人も多いのかも知れません。
この曲は、アメリカの「The Beverly Hillbillies」というTVドラマのテーマソングで、調べてみるとアメリカのCBSで1962年から1971年まで放送されていたそうです。
・ドラマの内容は、アメリカの田舎の家族が、ビバリーヒルズにやってきてドタバタを繰り広げるコメディです。日本でも放送されていたので昭和30年代生まれの方はご存じの方も多いのではないでしょうか。私もメロディは覚えています。
・ヒルビリーというのはカントリーミュージックの別の呼び名でもあります。ロックンロールとヒルビリーが融合したのが、ジェフベックの好きなロカビリー。当時ジェフベックは、アメリカのテレビドラマが好きだったそうなので、TVを見ていてカントリーでどこか剽軽で楽しそうなこの曲を気に入ったのかも知れません。
・この曲、日本ではBBAのライブで知られましたが、実は第1期ジェフベックグループの頃からジェフズブギーの中で演奏されていました。
・ヤードバーズの頃どうだったかは音源がないので分かりませんが、唯一ヤードバーズのライブでのジェフズブギーが聞ける音源では、じゃじゃ馬ではないですが、カントリーっぽいフレーズが演奏されています。
・おそらく、今でも家では指ならしのように演奏しているのではないかと思われます。というのも2010年の来日時に日本テレビの朝のワイドショー「スッキリ」がジェフベックを取材していましたが、そこでソファにくつろぐジェフベックにスタッフの方が、「何か弾いてもらえませんか?」と頼んだところ、アンプに通さずではありましたが、なんと「じゃじゃ馬億万長者」を弾いてくれたのです。いやあ、感激した!驚いた。ジェフベックはスタッフのリクエストにジョークで返したのかも知れないが、ファンにとっては超貴重な映像になりました。このときに指使いもしっかり見れたので、どう弾いているかも良く分かりました。
・「スッキリ」では、もちろん指で弾いていたが、ジェフベックは昔から途中でピックを口にくわえて指で弾くと言うことをやっていたので、BBAのライブでもそういう感じでやっていたのでしょう。

<じゃじゃ億万長者のポイント>
・じゃじゃ馬の前のディミニッシュで上がっていくのは、上3弦を繰り返しバンジョーのようにアルペジオで弾き、親指は3弦と4弦を交互に弾く。
・そのままのノリでじゃじゃ馬に行く。
・親指で3弦と4弦を使ってメロディを弾く
・その隙間にほどよく上3弦の分散を入れる
・最後はプリングオフではなく、そろばんギターで弾く。
・指の運動にも良いと思います。

●ここで終わってテーマに戻りますが、本当はもっと色々弾いていたのかも知れません。レコードに収める時間的都合でカットされたのかも。他のライブを聴くともっと色々弾いているのもあります。

●イントロと同じような流れで、今度はハイポジションでプリングオフの3連。

以上、ジェフズブギー考察、BBA編でした。

2022.02.16