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カーマインアピス(Carmine Appice)

カーマインアピスは、「You Keep Me Hunging On」のヒットで有名になったバニラファッジのドラマーとしてBBA参加以前からロックドラマーとしては有名になっていました。ジョンボーナムやコージーパウエルと同世代のドラマーではありますが、彼らの方が後輩になるようですね。ジョンボーナムもアピスの影響を受けているそうです。

ジェフベックとの出会い.

ジェフとの出会いは、そもそもジェフベックは第一期ジェフベックグループの頃にバニラファッジのリズム隊を見て「良いなあ」と思っていたそうです。偶然コカコーラのCMの仕事で彼らとセッションをする機会があり、意気投合して、紆余曲折あったにせよ、数年後にBBAが実現します。
ジェフベックは、第一期の頃に、遅れてデビューしたレッドツェッペリンを見て、ジョンボーナムの様なドラムが欲しいと思っていたのではないでしょうか。第一期の後にロッド、アピス、ボガート、ベックによるバンドを構想していたようですが、ベックの自動車事故でおじゃんになってしまいます。第一期の頃のライブを聴くと、後にBBAでやっているリフが出てきたりするのでサウンド的にはつながりが分かります。

ジェフベックとの関係。

BBAは、ジェフベックとティムボガートの仲が険悪になって解散してしまいます(ただし、ボガートは後にジェフベックのことを最高のギタリストだったと言っています)。しかし、ジェフベックとカーマインアピスは、BBA解散後もジェフベックとは親交があったようで、何かにつけ登場します。
BBA解散後、Blow By Blowに向けたセッションは最初カーマイン、マックスミドルトン、フィルチェン、そしてジェフベックで行われていたようで音源も残っています。
しかし、ジェフベックは、もっとファンキーでしなやかなドラムを求めていたようで、ドラムは、マックスの知りあいの当時18歳のリチャードベイリーに替わります。契約の問題もあったようで、カーマインが新しいアルバムをジェフベック&カーマインアピスの名義にしたいと言っていたそうで、それをベック側は受け入れなかったそうです。
しかし、Blow By Blowやツアーを聞くとサウンド的には、リチャードベイリーになったのが分かります。アピスはインタビューで「でもアルバムのScatter Brainは俺のドラムだよ」なんて言っていましたが、どうでしょうか。言われればそう聞こえなくもないですが・・・。音色は特に違った感じはしないですけどね〜〜。ソロ部のターチッチッっというのがアピスっぽいといえばそうですが・・・。

その後は、スタンリークラークのアルバム「Modern Man」でRock’n Roll Jellyという曲を3人で演奏しています。また1984年にバニラファッジのリユニオンで発表した「MYSTERY」というアルバムには、2曲ジェフベックが匿名で参加しています。匿名でロンドンレコーディングとクレジットされていますがギターを聞けばすぐにジェフベックだと分かります。
また、カーマインによると1985年のジェフベックの「Flash」でロッドとPeople Get Readyを録音したけど、マネージメントの事情から後に打ち込みに替えられたと言っています。リスナーとしては「なんでわざわざ?」と思ってしまいますが。

そして、ベックの生前、2022年にBBAの日本とロンドンのライブをリマスターして再発(ロンドンのは初)するべく2人で作業をしていたようで、2023年7月時点では秋に発売するとして予約も募っています。ロンドンのレインボーシアターのライブは、海賊盤では出ていましたが、1曲だけ配信されている迷信を聞くと、かなり音が良いので楽しみです。日本のライブもドラムサウンドが良くなっていることを期待します。
以前一時的に、レインボーシアターでのライブの歌を録り直した音源が、4曲ほどカーマインアピスのサイトに上がっていました。それと同じなのかどうかは分かりません。

BBA後の活動

BBA解散後、ベックとのセッションを経てレイケネディ、マイクブルームフィールドらと結成したKGBというバンドでもドラミングもカッコイイです。レスデューディックのアルバムにも部分的に参加しています。

「Ghost Town Parade」Les Dudek

有名なのはロッドスチュワートバンドでの活動ですね。同時期にソロアルバムも出しています。割とボーカルが主体になったアルバムで、ドラミングを期待して買ったのですが、あれ?ってなった記憶があります。ソロアルバム発売期に独自のバンドで来日をしましたが、その時のギターがリックデリンジャーで、会場で紹介されるまで知らなかったのでびっくりしました。カーマインアピスの弟のビニーアピスは、リックデリンジャーバンドのドラマーだったので、親交があったのでしょうね。リックデリンジャーとは、DBA(Derringer Bogart & Appice)というバンドでも活動します。BBAのLadyなどもやっていました。

Charさんとボガート、アピスでツアーをやったというのもありました。途中でCharが怒りだして中断するとかいう事件もあったようですが、CharのオリジナルとBBAの曲をやっていて、CharファンとしてもBBAファンとしてもうれしかったです。
日本のアーチストとも共演は多いようです。その他、元々指導にも熱心だったようで、教則本も有名ですし(なぜか私も持っている)、ドラム教育事業をやる会社も設立しているそうです。
日本の天才ドラマーの誉れ高いYOYOKAちゃんとNAMM SHOWで一緒に写真に写っていました。彼女はBBAのカバー動画を上げたりしています。
また、番外編としては、LINE6のユーザーサービスとして、オンラインで有名アーチストとセッションができるというのがありましたが、ジェフベックのFreeway Jamと哀しみの恋人達のトラックは、なんとカーマインアピスとティムボガートが演奏していました(KBはデレクシリニアン)。この音源はLINE6を使っていた方ならご存じだと思いますが、かなり興味深いです。Freeway Jamと哀しみの恋人達が、オリジナルよりもっとロックっぽい硬質な感じになっています。

ドラムスタイル

カーマインも同世代のドラマーと同様、お手本はジャズドラマーです。コージーと同様にバディリッチに憧れていたそうです。またルイベルソンを見てツーバスを始めたそうです。この世代のドラマーは、ロック創世記なのでロックにお手本がない時代です。そういう面で、彼らが「ロックドラム」を作ってきた世代だと言えます。特にカーマインは、26インチのツーバスや俗に言われる「タチーチー」(ウラ拍でハイハットオープンとバスドラを踏む)などのパターンをつくってきたと言えるのではないでしょうか。
70年代はタムも含めて、打綿と反対側のリムを外す(要するに裏の皮を張らない)というスタイルも流行しました。また、スネアをワクワウに通して独特の効果を出すというのもカーマインだけではないでしょうか。BBAのライブインジャパンのドラムソロを聴くとよく分かります。

ジョンボーナムは、アピスがラディックのドラムを使っているのを見て紹介してもらい、同じセットを買ったが、26インチのツーバスをZeppelinのメンバーに反対されたので1つにしたという話があります。アピスは、ジョンボーナムの誕生日イベントでBlack DogなどZeppelinのナンバーを演奏している動画がYoutubeに上がっています。

カーマインアピスのドラムは、自身が歌うのが好きということもあってか、黒人音楽の影響も大きいと思われます。そういうマインドから、ヘビーなドラムで16ビートやファンキーなリズムをやることで、ロックンロールやファンクとはまた違ったグルーブが生まれるというのが魅力ではないでしょうか。ヘビーなリズムですが、メタル系とはまた違うどこかファンキーな黒っぽいノリがあるというか、そういうドラムがR&Bやアメリカンロックのサウンドに加わると独特のグルーブになるという気がします。


かなり昔、六本木にカーマインアピスが来たという演奏できるバーを訪ねたことがあり、カーマインアピスBBAの曲などを演奏して次回はジェフを連れてくると言っていたそうですが実現したのでしょうか。カーマインアピスは、ダンディな近況をフェイスブックに投稿していたりするので元気で長生きして欲しいです。


匿名でJeff Beckが参加

KGB “MOTION” RAY KENNEDY .CARMINE APPICE ……1976
2曲目「 WOMAN, STOP WHATCHA DOIN’ 」がカッコイイです。