?> 頼れる相棒、マックスミドルトン(Max Middleton) | ジェフベックの茶飲み話サイト。

頼れる相棒、マックスミドルトン(Max Middleton)

右下がマックスミドルトン。おじさんのような風体ですが当時25歳(笑)

ジェフベックの音楽を語るときに外せないのがマックスの存在です。
ジェフベックとの関係は、第二期ジェフベックグループのメンバーになってからですが、以後、WIREDまで、ジェフベックが一番勢いのあった時期にジェフベックの音楽を支えます。詳しく見ると、ジェフベックがいかにマックスを頼りにしていたかが分かります。

ジェフベックとの出会いと貢献度

第二期ジェフベックグループへの参加は、ベースノクライブチェアマンの紹介だそうなので、決まったのは後の方のようですね。しかし、第二期ジェフベックグループのサウンドは、マックスミドルトンのローデスの音色や和音の世界が大きく貢献しています。
ジェフベックも後に当時の事を回顧して「マックスにコードを教えてもらった」と言っていました。第二期ジェフベックグループは、当時のロックバンドとは一線を画すサウンドで、モータウン系の楽曲スタイルで、ロックでは余り使わないメジャーセブンや分数コードなどジャズ系のコードを多用していました。マックスは、加入以前はジャズの仕事をしていたようです。それがその後ジェフベックがインストに向かって行く過程でも大いに頼りになったのだと思います。WIREDのGood-by Pork Pie Hatに関しても「俺はコードなんか分からない。マックスがいい感じにコードを弾いてくれるからその上に乗っかるだけだ」みたいな発言をしていました。

困ったときのマックス頼み?

第二期ジェフベックグループが初期メンバーで実質解散したのは1972年7月で、以後のツアーではティムボガード、カーマインアピスというBBAにつながるメンバーになりましたが、マックスは参加していました。その後、BBAを経て1974年にBlow By Blowのセッションを行う際に、マックスが呼ばれ、カーマインアピスやフィルチェン(ジェフベックとは古くからの知りあい)とインストのセッションを行っています。

第二期ジェフベックグループメンバーもマックス頼り?

マックスが第二期ジェフベックグループのレコーディングの際の思い出として語っていたのは「自分は10時にスタジオに行くのだが、メンバーは誰も来ない。夕方頃にみんなが来て、少しレコーディングをして、飲みに行くという具合だった」と言っていました。真面目な性格なのでしょうね。それとメンバーが、マックスを頼りにして安心していたのもあるかも知れません。バンドでこういう構図はありがちですよね。「マックスがちゃんとやってくれるから安心」的な(笑)

ジョージマーティンもマックス頼り。

Blow By Blowのレコーディングの際には、プロデューサーのジョージマーティンは、気難しいジェフとやりとりをするのにインターフェースとしてのマックスの存在は欠かせなかったと言っていました。Blow By Blowで注目された当時18歳のドラマー、リチャードベイリー(Richard Bailey)は、マックスがゴンザレス(英国のファンク集団)つながりで紹介したそうです。

バーナードパーディと出会う。

Blow By Blowは大ヒットし、Blow By Blowツアーにもマックスが参加していました。ドラムのリチャードベイリーが、ツアーは行きたくないと言って、代わりに呼ばれたのが、今やファンクの代名詞にもなっているバーナードパーディです。ここでマックスはバーナードパーディと知り合って、後のハミングバードへのパーディの参加につながるようです。

マックスミドルトンの演奏スタイル

続くWIREDでは、ヤンハマーという新たなキーボーディストが参加しますが、ピアノやクラビネットはマックスが弾いています。ジェフベックの代名詞のようでもある1曲目の「Led Boots」はマックスの作曲です。ここでのクラビネットがまた珠玉です。このアルバムでは「Play With Me」でもカッコイイクラビネットを演奏しています。
マックスのプレイは、なんといってもあの独特の温かみのあるローデスサウンドですが、クラビネットや後のミニムーグもはずせません(全部やないかいっ 笑)。Blow By BlowやWIREDでは、ファンキーなクラビネットがあちこちで聴けます。
また、ライブのソロ時間では、よくめちゃめちゃノリの良いブルースピアノを披露していました。ジャズ、ブルース、ロックと、当時のキーボード奏者はそういう人が多かったですね。第一期のニッキーホプキンスもそうでした。

第二期ジェフベックグループの後

第二期ジェフベックグループが解散になった後は、ベック、コージーというロック系のメンバー以外の残った3人でハミングバードというバンドを結成し3枚のアルバムを残しています。
このバンドのファンは多く、通好みのバンドとして知られています。3枚目からは、前述のようにドラムにバーナードパーディが参加しています。また、「Led Boots」に歌詞をつけた「Got My Led Boots On」という曲を演奏していることでも有名です。またハミングバードのギタリストであったバーニー・ホランドがBlow By Blow収録のDiamond Dustの作曲者であるということからも、マックス周辺とジェフベックの関係性が分かります。ハミングバード初期のセッションにジェフベックも参加したという話があるのですが、Jeff’s Book(Jeff Beckの行動を細かく記した海外の本)を見てもそれらしい記述は見つかりませんでした。

その後は、ケイトブッシュ、ナザレス、ミックテイラー、アネッサピーコックなどのアルバムやツアーに参加しています。アネッサピーコックのアルバムでは、独特のミニムーグのソロが聴かれます。

また、ギタリスト、ロバートアイワイ(Robert Ahwai)とのデュオアルバム「Another Sleeper」は、上質のフュージョンという感じで、ドラムがBlow By Blowのリチャードベイリーです。Dance By The Light Of The Moonという曲がステキです。そのほか、コージーパウエルのソロアルバムにも参加して第二期ジェフベックグループの頃のような演奏をしています。

私の知人で、2000年代にクライブチェアマンのマネージャーとつながりがあった人が聞いた話だとと2000年頃も年に数回、マックスミドルトンとジェフベックは会ったりしているという話でした。


Led Bootsの歌版が収録されたDiamond Night (Humming Bird)
マックスのミニムーグがとても良いAnnette Peacock
ロバートアーワイとのAnother Sleeper & Cape Wrath

Max Middleton & Robert Ahwai ‎– Another Sleeper

Solar Systems—Annette Peacock

Led Bootsの歌詞付き版。モータウン的なブラスアレンジでソウルっぽい。