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兄弟のように似たコージーパウエル。

コージーパウエルは、1970年から約2年活動した第二期ジェフベックグループと呼ばれる時代のドラマーです。コージーが有名になったのはこのバンドからなのですが、多くの人にはレインボーからのコージーの方が有名なのではないでしょうか。
ドラミングも、レイボー以後は少し大味のパワードラムという印象になってしまいましたが、第二期ジェフベックグループで見せるドラミングは、実にファンキーで繊細かつパワフルなドラミングです。残念ながら1998年に自動車事故で亡くなりました。

この世代のロックドラマー、カーマインアピスやジンジャーベイカー、ジョンボーナムなどは、自分たちがロックの最初の世代なのでお手本がありません。お手本はジャズドラマーなのです。コージーパウエルもバディリッチがアイドルだと言っていました。

ジェフベックファンにとっては、まずあるあるなのが、第二期ジェフベックグループの「Raugh And ready」のジャケットの中央に写っているコージーの写真をジェフベックだと思っていたという(笑)
ジェフベックの写真は左上なのです。それくらいよく似ていて、それは本人たちも認識していたようです。

コージーとジェフベックの出会い。

第二期ジェフベックグループ経加入する際には、当時のコージーのマネージャー(ピーターグラント:レッドツエッペリンのマネージャーでもあった)からの推薦だったそうですが、20人くらいのオーディション応募者の最初がコージーだったそうですが、コージーのプレイを見て即決で決めたとジェフベックが語っていました。

その後、コージーだけが決まって他のメンバーが決まらない中、コージーと共にモータウンにセッションに行きます。
そこではジェフベックの認識(勝手な思い込み?)とモータウン側との思い違いなどもあり、散々な結果に終わったと言っていました。ジェフベックの行動を記したJeff’s Bookの記載によると、まず最初にコージーの26インチのセットがスタジオの外に出されかけたそうです。ジェームスジェマーソン曰く「モータウンのリズムが欲しいんじゃないのか?」。ジェフベックは、モータウンのリズムをヘビーにして自分のギターを載っけたようなサウンドをヘッドアレンジで作りたかったようなのですが、モータウン側は、すでに曲はできていて、モータウンが演奏してジェフベックがギターを弾くというように思っていたそうで、それでも10曲ほどレコーディングしてきたそうです。そのテープは当時のマネージャーのひとりのミッキーモスト(モータウンに同行)が持っているようなのですが聴きたいものです。しかし、そうやって当時ジェフベックはコージーのドラムをとても気に入っていたようで、バンドが解散した後も親しかったようです。コージーのソロアルバムには、2枚目にジェフベックが参加しています。また、Beck Bookには、取材中にコージーが訪ねてきてリビングで一緒に写っている写真が掲載されています。

Beck Book掲載の取材中のひとコマ。

コージーのドラムスタイル

コージーのドラマーキャリアは、ジェフベック、レインボーの間にも自身のバンド(ベドラム)をやったり、マイケルシェンカー、ブラックサバス、ホワイトスネイクほか、たくさんのバンドを渡り歩いています。ドラマーはそういう人多いですね。サイモンフィリップスもそうですね。

コージーの特徴は、まずスティックの持ち方が基本的にレギュラーグリップだったことです。これはジャズをお手本にしたのでそうなのか、バディリッチがそうだったからか分かりません。それとハイハットスタンドを別に立てていることです。ツーバスの場合は、ハイハットはスタンドを畳んで横のバスドラにつけるアタッチメントがあり、多くのツーバス奏者がそうしていますが、コージーは別。なので、ハイハットの位置が通常より離れていて、リズムを叩くときに左右の手がかなり交差して叩きにくそうなのですが、音にはまったく影響がでていません。
バスドラにつけない理由としては「正面から見てシンメトリーにしたかったから」と言う話がありますが真偽は不明です。
また、ライブでは26インチのツーバスでしたが、レコーディングは20インチで行っていたそうです。

ドラミング。

個人的には、第二期ジェフベックグループにおけるコージーのドラミングはとても好きで、中でもTonight I’ll Be Staying Here With Youなどのバラードが素晴らしいと思っています。また、ツーバスというと、ハードやメタルでドカドカ踏むイメージが強いですが、こういう普通のバラードでも要所でツーバスをぶっこんでくる大胆さと、そのツーバスの繊細さ、そしてなんでもないバラードをドラマチックに聴かせるダイナミクスが、コージーがすでにトップドラマーだったことを教えてくれます。
こういう繊細な演奏がレインボー以降に聴かれなくなったのは残念でした。
都市伝説として「26インチのバスドラがミュートなし」と言われていましたが、来日時のインタビューでミュートしていたことを話していました。また、太いスティックを使っていたことも有名で、ソロアルバム「TILT」のプロモーションで来日した際に、つのだ☆ひろさんのFM番組に出演し、一緒に演奏したのですが、つのだ☆ひろさんも「ぶっといスティック」と言っていました。

その番組でジェフベックについて話している音源を紹介しているページがあります。

4枚ソロアルバムが出ていますが、豪華なゲストとバリエーション豊かな楽曲で楽しめる内容です。


「Over The Top」

コージーのソロ1枚目で、ジャックブルースやマックスミドルトン、ゲイリームーア、ドンエイリー、など豪華なメンバーが参加しています。

この中に本来ジェフベックが弾くはずだったと言われる曲があり、ジェフの都合でダメになったとかいろんな話が流布されていますが、それが「Killer」でゲイリームーアが弾いていますが名演です。コロシアム2のような感じでとてもカッコイイギターを弾いています。また、The Lonerという曲は、ジェフベックに捧ぐとされています。ここではクレムクレムソンが、また味のあるギターを弾いています。この曲は、次のアルバムでもゲイリームーアによってアレンジを変えて再演されています。Sweet Poisonという曲では、まるで第二期ジェフベックグループかと思うようなマックスミドルトンのイントロに小躍りします。

ソロ2枚目です。これにはジェフベックが「Cat Moves」「Hot Rock」の2曲に参加しています。また、「Sun Set」「The Blister」でゲイリームーアの名演が聴けます。「Cat Moves」はギターシンセを使っているそうですが、いかにもオンラインな音で音はイマイチですが、ソロになるとジェフベックならではのカッコイイプレイがあります。「Hot Rock」もオンラインな音ですが、ソロがカッコイイ。「Sun Set」はゲイリーお得意の鳴きのギターで、「The Blister」もお得意の高速ギター。1枚目の「Killer」のリエレンジ版と言った曲です。


そうる透氏がジェフベックグループ時代のコージーパウエルについて語っています。