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第二期ジェフベックグループ 啓蒙投稿-その3

コージーパウエルの緻密なドラム

レインボー以降では聞けない演奏

啓蒙投稿シリーズその1で、ロッドスチュアートやロンウッドが世に出たのは、ジェフベックのバンドからだと書きましたが、コージーパウエルもジェフベックに見いだされてロックのスタードラマーになりました。レインボーやマイケルシェンカーなど、後年コージーが在籍したのはハードロック系のバンドばかりなので、ハードロック好きの若い人は、こういう話は知らない人は多いかも知りません。

レインボウ以降のコージーパウエルのドラムはどちらかと言えばパワードラミングで大味な印象ですが、このバンドではとてもタイトでファンキー、繊細なドラムを叩いています。しかし、26インチのツーバス、しかも当時はノーミュートだと言われていました(TV映像を見るとミュートしている)。またツーバスの場合、ハイハットスタンドは折りたたんで左足のバスドラムのリムにくっつけるのが一般的ですが、当時はそういうアタッチメントがなかったのか、使わなかったのかコージーはスタンドを立てていて、そのためハイハットの位置がとても左の方に離れています。手が大きく交差してとても叩きにくいと思いますが、それで叩いています。

レコーディング時の武勇伝があります。1枚目のアルバムのレコーディングが終わり、ミックスダウンも終盤にかかる頃、コージーが「新しいドラムキットを手に入れたのでドラムをすべて録り直したい」とマックスミドルトンに言ってきたそうです。マックスは「ジェフが許さない」と言ったそうですが内緒で録り直すと。マックスはジェフベックが激怒する顔が浮かび「ばれたらジェフが激怒するぞ」と言ったそうですが、「大丈夫だ。まかせておけ」と言って全トラックをワンテイクで録り直したそうです。この時代のロックドラマーは、ジャズのドラマーがアイドルです。コージーパウエルもバディリッチがアイドルだと語っていました。

ツーバスの魅力

第二期ジェフベックグループは、カバー曲も結構やっていて、この曲はボブディランのカバー。その1でも書きましたが、この曲でも分数コードが使われていて、広がりのあるというか浮遊感のあるモダンなR&B風バラードになっています。
「ットン、ッツッツッタンッ」という3連ノリのバスドラとスネアが、独特のグルーヴを醸し出していて、とてもドラマチックに展開します(バスドラの手前のッが好き 笑)。フィルインがロック的というか大袈裟です(笑)
また、こういったタイプの楽曲に3連で26インチのツーバスを入れてくるというのも異常で好きです(笑)持論ですが、こういう何でもないバラードでドラマーの実力というのが出るのではないかと思います。
ジェフベックのギターは、スライドでソロ弾いていますが、フレットのないところまで使って弾いています。また、中間と最後に俗称「そろばんギター」(竹田和夫命名)と呼ばれるジェフベック独特の指によるトリル(2つの弦を交互に素早く弾くカントリー・ロカビリー系でよく使われる奏法)がでてきます。こういうバラードのソロでもいろいろな奏法を駆使して、実に表情豊かなソロを展開します。絶対普通には弾かないのがジェフベックの特徴です。

*関連記事
・コージー、ジェフベックについて語る

・兄弟のように似たコージーパウエル。


Tonight I’ll Be Staying Here with You>
ボブディラン原作の曲をロッカバラードにして演奏された曲ですが、こういう曲でツーバスを入れてくるのがカッコ良い。