?> JEFF’S WIND | ジェフベックの茶飲み話サイト。

JEFF’S WIND

JEFF’S WIND

1)Earth
2)Scatterbrain
3)You Know What I Mean
4)Bass solo~Come Dancing
5)She’s A Woman
6)Diamond Dust
7)Full Moon Boogie
8)Blue Wind (Incl Train kept A Rollin’)
9)Led Boots

こんなにいいライブだったのか、ヤンハマーとのツアー。

ヤンハマーとのツアーのブートは何種類か出ていますが、高音質のオーディエンス録音で、会場の全体的な音のバランスが良く、とても迫力があります。オーディエンス録音としては、すごいいい音です。これを聴くと、オフィシャルで出ている「JEFF BECK WITH JAN HAMMER GROUP LIVE」は、ドラムの音がはっきりしないために、迫力に欠けていることに気づきます。ファンキーな曲ではその差が顕著です。惜しい。ギターの音もこっちの方が艶やかでいい。これを聴くと、ああこんな感じでやっていたんだと、あのツアーが素晴らしかったものだと認識を新たにします。演奏の内容は、全般的にはオフィシャルの方が良いと思いますが、いろいろ違った展開が聴けるので、オフィシャルより劣ると言うことはありません(何いってんだ?)。
また、「Come Dancing」(これがまたいいんです)や「Led Boots」「She’s A Woman」が聴けるのが貴重です。「Blue Wind」も展開が違っています。

ヤンハマーグループとのライブでは、ジェフベックもヤンハマーグループのメンバーのように自分の持ち場で演奏するという感じで、めちゃめちゃ前面に出ているワケではないですが、なんかのびのびやっているという雰囲気で、楽しそうです。 ここでもそんなJEFF BECKの肩の力の抜けた遊びとメリハリのある演奏が聴けます。いつものように、行き当たりばったりのぶっつけなギターですが、しかし、ホントに手変え品変えいろんなフレーズや音を出すもんです。このいい加減さというか、失敗したらしたで何とかしよう、みたいな楽観的なノリと、どうなるか分からない実験的な緊張感があって楽しい。案の定、次のセクションに行くタイミングを間違ってヤンハマーに「オイオイ、ちゃうぞ!」って感じで無理矢理修正される場面もあり、ファンとしては非常に楽しい。このヤンチャなところがJEFF BECKです。また、あまり目立ちませんが、ヤンハマーのローデスも独特の良さがあります。ローデスといえばマックスミドルトン、ヤンハマーと言えばムーグですが、力強い感じで、なんかロックなノリのヤンハマーのローデスもいい感じです。

実際のライブではどの順で演奏されたのか分かりませんが、ヤンハマーのMCに続いていきなりEarthから始まります。これは私の好きな曲なんですが、オフィシャルのものよりもっとメリハリがついて音が盛り上がったり落ちたりしてカッコイイです(オフシャルのもいいけど)。
リフの弾き方が1回1回違っていてワクワクさせます。また、ブレイクでもタメが大きく、メチャメチャかっこよく演奏しますね。この辺りが世界のプロですね。こういったちょっとしたニュアンスが、うまい人たちは全然ちがいます。故淀川長治氏は言っていました「ものをつくる人はね、細かい細かいところにこだわらなくてはダメなのよ」と。本当にそうです。大技も大切ですが細かいニュアンスの積み重ねも非常に大切です。
ギターソロも、オフィシャルとはちょっと違った感じで、バイオリン奏法から入ります。このツアーもきっとこんな感じで同じ曲でも毎回全然違った演奏をしていたんでしょうね。ああ、全部聴きたい・・・・。そして、ギターソロが終わって歌に戻るタイミングを間違えて弾いてしまいます。すかさずヤンハマーが正しいタイミングでフレーズを入れますが、それがまた掛け合いのようにも聞こえます。たまたまでしょうがね。

Scatterbrainは、毎回それほど特徴的な変化がない曲です。ここでも迫力ある演奏が聴けますが、オフィシャル盤と同じような感じです。
You Know What I meanは、いきなり後半のギターソロからですが、この曲はどのライブよりスタジオバージョンの方がかっこいいと思います。ファンキーなベースソロから自然な流れでComeDancing。ドラムがとてもかっこいい。この曲はライブでどんな感じでやるのかと思っていましたが、JEFF BECKはベースのリフをユニゾンで弾いているんですね。これは、他のライブではまた違います。全体的には、スタジオ版と同じようなアレンジで、サイドギターとしてJEFF BECKが入れるアクセントがカッコイイです。ちなみにここではスタジオ盤のようなオクターバーは使っていませんね。

その次が、これまたブートでは珍しいShe’s A Woman。オフィシャル盤と違ってギターソロの部分はほとんどトーキングモジュレーターです。Diamond Dustは、これもどのライブでもさほど変わらない美しい演奏です。スタジオ盤がいいので、なかなかそれを超えられないのかも知れませんね。ヤンハマーグループの場合は、バイオリン(この場合もフィドルというのかな。私の知り合いでこのフィドルのことを勘違いしてフィヨルド、フィヨルド、と言っていた人が居ました。北欧かい!)ソロが入ります。Full Moon Boogieでは、真ん中くらい、トーキングモジュレーターで”Put your hands together”とやるとみんな手拍子を始めます。手拍子の方が走ってます。面白いです。外国でも同じなんですね。

Blue Windは、オフィシャル版と同じように途中からTrain Kept A Rollin’が始まりますが、聴衆が熱狂している模様が伺えます。これが最後の曲のようですね。アンコールででてきて、ちょとだけPlynthをやります。その次にみんなの手拍子に合わせてドラムが始まり何の曲かと思わせますが、途中からテンポが変わり、Red Bootsになります。
ギターソロが終わって、サビのリフに行ってから意外とあっさり終わってしまいます。この曲もスタジオ盤を超えるライブを聴いたことがない。リズムも妙にファンキーでシンプルになってしまいます。それにバイオリンが入ってくるのが個人的にはどうもしっくり来ません。一度スタジオ盤のようにナーラダさんのドラムでワイルドにやる演奏を聴いてみたい。スタジオのアウトテイクがないのかな。

2002.10