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Beck Ola

Side 1
1)All Shook Up
2)Spanish Boots
3)Girl From Mill Valley
4)Jailhouse Rock

Side 2
5)Plynth (Water Down the Drain)
6)The Hangman’s Knee
7)Rice Pudding

1969年6月リリース

*2004年再発盤ボーナス・トラック(未収録曲と別テイク)
・Sweet Little Angel
・Slow Down A Line
・All Shook Up
・Jailhouse Rock

<レコーディングメンバー>
ジェフ・ベック(Jeff Beck):ギター
ロッド・スチュワート(Rod Stewart):ボーカル
トニーニューマン(Tony Newman):ドラムス
ロン・ウッド(Ron Wood):ベース
ニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins):ピアノ
ケン・スコット(Ken Scott):エンジニア

バンドとしての実質2ndアルバム。ふっきれたように自由奔放に弾きまくり。ベックはこうでなくちゃぁ。

糞詰まりでおなかがはっているような気持ち悪さのあった前作に比べ、アンプが吹っ飛びそうな勢いで弾きまくっている。そんな感じのアルバムです。ギターも、よりトリッキーにワイルドにいけるストラトに持ち変えて戦闘開始です。ただ、あまり凝った曲がないので、印象的にはTruthがA面でコレがB面というような感じもします。ロッドのボーカルもとけ込んでドライブしており、Truthよりも演奏としては良いノリだと私は思います。
後年この頃のことを回想して、ソロではなくバンドとして活動したかったと話していましたので、それが実質的に実現したアルバムです。

ドラマーがミックウォーラから、後にデビッドボウイやTレックスで活躍するトニーニューマンに変わっています。この時期。マネージャーが同じと言うことでドノバンの1stアルバム「Barabajagal」にジェフベックグループが2曲参加していますが、その時のドラマーがトニーニューマンだったそうです。
また、Truthにゲスト参加していたピアノのニッキーホプキンスが正式メンバーとして参加していますが、ニッキーは体調が不安定だったようで、一部のツアーには参加していましたが、解散前には体調不良で脱退していました。
せっかくバンドとしてのアルバムも出たのにマネージメントやそれによる不信感などでウッドストック出演を前にバンドは崩壊してしまいます。後年この時の想いとして自伝DVDの中で「ガタガタの状態のバンドで、(ウッドストックで)(尊敬している)スライと同じステージには立てない」と語っていました。

アルバムのタイトルについて、ロッドスチュワートの自伝「ロッド」にはこう書いてあります・・・「ジェフベックグループのセカンドアルバム『ベック・オラ』(ロック・オラというジュークボックス会社の名前を知っていると、この言葉遊びも理解できる)」(2018.8.18追記)

各曲紹介

All Shook Up
 いきなりB面の頭的な印象の曲ですが、曲は単純なのですが演奏の内容は濃いです。ロッドのボーカルものっている感じで、ギターと相まって独特のグルーブです。ギターもストラトキャスターに変わり、攻撃的なトーンを強めています。まず、音がスピーカーが吹っ飛びそうなくらい歪んでおり、ベックのコントーロールからもはみ出てしまいそうです。トリッキーなプレイも目白押しですが、特筆すべきはスライドバーで叩きこすりながら、鶏の鳴き声のような音を出しているプレイです。これは、デビッドボウイのステージに飛び入りした時のブートでも聴けますが、ベックしかやらない超カッコイイプレイです。

Spanish Boots
 1曲目に引き続きワイルドなプレイが聴けます。ここでは、ベックの録音としては初めてストラトキャスターのアーミングが出てきます。ベックのトレモロアーム使いは時期とともに変化しているのですが、これは初期のオーソドックスな(といっても当時、こんな効果 音的に使うのはベック以外ではジミヘンくらいしかいなかった)パターンです。

Girl From Mill Valley
突然こんな美しい、しかもギターがメインではないピアノ曲が入っているのがベックです。ニッキー・ホプキンスの世界ですね。当時のライブでは、これに似た曲調で当時アレサフランクリンでヒットしたNatural Woman(キャロルキング作)をインストでやっています(ロッドがいるのになぜインストでやっていたのかは謎)。つまりこれは、当時ソウルミュージックに傾倒していたジェフベックのNatural Womanへのオマージュなのではないでしょうか。
「ニッキー、Natural Womanみたいな曲、作れない?」「よっしゃ、これでどう?」「♪〜〜〜〜」「おー!イイじゃん!!これ入れよう」・・・そんな感じでできたのではないかと妄想します。
この曲、ギターがメインではないですがサイドギターに光るものがあります。曲の盛り上がりが終わった後半、ピアノの隙間にウキャッというカッティングが入るのですが、それが最高にいい。この一発のウキャッでこの曲のギターはOKです。

Jailhause Rock
またまた超ハードな演奏です。フィードバック奏法がギンギンです。お馴染みのエルビスプレスリーの曲ですが、ちょっと変わったアレンジのリズムでなんていうんでしょうか、ノリがナナメです。これもギターの音は超ハードで、今のようにマスターボリュームなんてない時代のアンプですから、相当な音量で録音したのではないでしょうか。ベックのギターアンプは別ブースに入れてレコーディングしたそうです。それにこんなにハードなのにキーボードは生ピアノなんですね。時代でしょうか?

Plynth(water down the drain)
BBAのライブを先に聴いていたので、これを初めて聴いたときにはずっこけました。なんだ頭のコミカルなピアノは。こういう本来ヘビーな感じの曲をどうしてこんな軽いノリにするのか分からないところがありますが、ギターのプレーはアーミングあり、フィードバックあり、3連トリルありとベック技が目白押しです。

The Hangman’s Knee
ブルースを貴重にしたヘビーな曲。2本のギターが微妙にずれながらリフを弾くのがラフでかっこいい。アームもビンビンで、ベックにしては、泥臭い感じのねばねばした演奏です。それにしてもこの頃から、微妙にずれた音やタイミングをうまく使って独特のギター演奏になっています。音のトーンとリズムが本当に多彩。

Rice Pudding
曲なのかセッションなのか分からん曲ですが、ライブでもやっており、カッコイイリフとベックの奔放なプレーが聴けます。普通のギタリストならこんな曲では、持たないかも知れません。ジミヘンがIn From The Stormの最後でこの曲のリフを弾きますが、なんか因縁あるのでしょうか?この頃、アメリカツアーの際にジェフベックとジミヘンがセッションしたそうなのでそういう遊び心でしょうかね。またこのリフは、後年の
映画のサントラアルバム「フランキーズハウス」でも登場しています。

*2023.09.15追記あり