?> LES PAUL(レス・ポール) | ジェフベックの茶飲み話サイト。

LES PAUL(レス・ポール)

ジェフベックが最も影響を受けた人、
それは、レスポールだと思います。

サムクックをしゃがれ声にしたらロッドスチュアートになるように、レスポールのギターを歪ますとジェフベックになると言う面が多分にあります。
このレスポールという人は、素晴らしいギタリストであると同時に素晴らしいエジニアでもあった人で、今では当たり前になった「マルチトラックレコーディング」の技術を考案したり、テープエコーを開発したり、名前で分かるとおりギブソンのレスポールモデルを開発したり、ほかにもギターに取り付けてすぐに多重演奏ができる凄い装置を発明したりした音楽界にとってはとても偉大な人です。
世代的にはチェットアトキンスなどと同世代なのかな、チェット&レスというアルバムをだしていたりします。

レスポールの代表的な演奏というとメリーフォード(当時は奥さん)とのデュエットアルバムがあります。1940年代くらいの録音なのですが、まずそのトリッキーなギター演奏にびっくりしてしまいす。普通歌のバックでこんな演奏やらないよなと言う感じでその辺もベックみたいです。まだまだエレクトリックギターなんか出始めの頃、ポピュラー音楽自体もちゃんとない頃の演奏としてはほんとにぶっとんでいます。畑的にはジャズギタリストでしょうが、完全に逸脱しています。ジャンルはレスポールです。ベックがよくやる半音ずつハンマリング&プリングでおりていくフレーズもばんばんやっています。また、多重録音の際にスピードを倍速でまわして1オクターブあげたものに重ねるなどのギミックもあったり、その上、基本的な演奏技術が超高く、イングヴェイのような速いパッセージをクリアな音でひとつのミストーンもなく弾きます。この辺は、ベックとちがうところですが。いやあ、すごい人は昔からすごいってわけですね。

2009年、肺炎により94歳で亡くなられました。以後のジェフベックのライブでは、追悼でレスポールの曲が演奏されています。イメルダメイ(この人の歌がまた、メリーフォードとよく似ている)が歌い、ジェフベックがあのオックスブラッドのリイシューモデルを弾いて、ほぼ完コピでレスポールの演奏を再現しています。これはこれで私はとっても好きです。これらの映像はYoutubeでたくさんあがっています。2010年のジャパンツアーでもHow High The Moon を演奏し、久しぶりに黒いレスポールを抱えるにオールドファンは驚喜しました。このときはイメルダメイなしでしたが。

ジェフベックが影響を受けたギタリストとしては、ロカビリーのジーンビンセントもよく言われますが、全体的にはレスポールがベースなのではないかなと思います。

意外と知られていないトリビアでは、Guitar Shopアルバムのテーマ曲「 Guitar Shop」の2:15あたりでHow High The Moonのイントロフレーズを弾いています。

2011.5.28追記

レス・ポールが1988年にロックの殿堂入りを果たした際に紹介役を務めたジェフ・ベックは、粋なコメントをしています。「俺はこれから登場するお方のリックを相当コピーしたが、その数は許される限度をはるかに越えてるね」

2023.9.15追記

*関連記事
多重録音の歴史は レスポールによって飛躍的に進化した。


「栄光のビッグ・ネーム 世界は日の出を待っている
Side-1 1)The World Is Waiting For The Sunrise 2)I Really Don’t Want To Know 3)The Carioca 4)Tennessee Waltz 5)Nola 6)I’m Sitting On Top Of The World 7)Chicken ReelSide-2 1)How High The Moon 2)Mockin’ Bird Hill 3)Caravan 4)Bye Bye Blues 5)Josephine 6)Whispering 7)Vaya Con Dios
レスポールとメリーフォード /東芝EMI昔に買ったLPです。1950年代の録音なので、音はペンペンですが、時代から考えるとその高度な演奏と録音技術に驚かされます。Side-2 1)How High The Moon は、まさにジェフズブギーのカッティングだし、イントロのリフは、ジェフベックの「GUITAR SHOP」の中のフレーズでちょっとでてきます。

「チェスター&レスター」
レスポールとカントリーフィンガーリングギターの御大チェットアトキンスのコンビによる録音。アトキンス氏もレスポールがあこがれだったらしいです。それにしてもまあ、超えてるオジイたちです。うまいとかそういう評価を超越したうまさ。ミストーン?それ何?プロなんだから出るわけないでしょ!て感じで、難しいフレーズを軽やかに叙情的にイージーリスニングに弾きまくっています。 ちなみにチェットアトキンスもジェフベックが影響を受けたギタリストの一人です。カントリー畑の御大。ライブのジェフズブギーで演奏される「じゃじゃ馬億万長者」はまさにチェット的奏法の一つです。

 

「ジェフ・ベック ライヴ・アット・
イリディウム ̄レス・ポール・トリビュート」[DVD]
イメルダメイをはじめとしたゲストが参加して行われたロカビリー的ライブのDVD。レスポールの曲も数曲演奏しています。残念なのは、楽器がサンバーストのレスポールであること。しかし、最後の方でブライアンセッツァーがでてきて、一緒に演奏するのは、とっても良い感じです。


ギターの演奏やヒット曲のプロデュースだけでなく、多重録音の技術、ギターの名器「レスポール」の開発など、現代音楽に多大な貢献をしてきたレスポールの偉大さが良く分かるヒストリードキュメンタリー。
ジェフベックを始めいろいろなレジェンドがレスポールへのリスペクトを語るのも見もの。あのマイルスデイビスもレスポールにヒットの教えを乞うたらしい。
演奏、レコーディング技術、ギター開発など、今では当たり前になっていることが、レスポールの発明であることに驚きます。