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第二期ジェフベックグループ 啓蒙投稿-その10

サウンドがカラッと明るい件について

Jeff’s Bookによると、第二期ジェフベックグループの通称オレンジアルバム1曲目「Ice Cream Cake」は、Ben E.Kingの「Ain’t as sweet as you」にインスパイアされたそうです。確かに歌詞の中に似たような文句が出てきますし、楽曲も似たところがあります。しかし、まるで違う曲になっています。

こういう彼らの曲作りやアレンジの飛躍の仕方が素晴らしいなぁと思います。エリッククラプトン(Cream)の「Cross Road」も原曲を聴くとまるで違う曲で、クラプトンの洗練のさせ方に驚きます。そもそもBritish Bluesというもの自体もそのままやっていても、アメリカのそれとは違う空気があります。Blues BrakersとかStonesもそうですね。

他の記事でも書いていますが、アメリカの音楽に憧れて(インスパイアされて)カバーしたり再構築したりするイギリスのミュージシャンの感性が素晴らしいと思います。前に書いたSwing Out Sistersもそうですし、ジミーペイジなどもそうです。アメリカに憧れながら、彼らがやるとアメリカの汗臭さや泥臭さ埃っぽさや砂煙がなくなり、どこかお城の中の空気のようなひんやりした空気が漂っている感じがします。逆にイーグルスやドゥービーなどを聴くとL.Aのカラッと晴れた空や乾燥した空気、砂埃などを感じます。

優れたミュージシャン達は自分のサウンドの中に某かその土地の空気を漂わせているなぁと昔から思っています。そう言う面で見ると、第二期ジェフベックグループの後のBeck Bogart & Appiceは、イギリス人のジェフベックとアメリカ人のボガート、アピスの組み合わせなので興味深いと言えます。

当時「クリーム」の再来と言われたBBAですが、やはりアメリカ人2人が居るからどこかカラッと明るいサウンドです。コーラスなどもアメリカっぽい。バンヘイレンのカラッと明るい感じと似ています。逆に言えば、バニラファッジ、カクタスというざっくばらんな感じのアメリカバンドのリズム隊にイギリス人のジェフベックが入ることで、アメリカンバンドのいい加減さが少しシュッとした(笑)ような感じにも見えます。

そういったところで、第二期ジェフベックグループのサウンドは、アメリカ人がいませんがモータウン的なサンドを踏襲することでカラッとした明るさを得ているのかも知れません。しかも汗や埃の匂いがしないというところで洗練を感じさせるし、ジェフベックのギターも乗っかりやすいのかも知れません。ジェフベック自身がそういう風に自分のギターが乗りやすいように、特にリズムなどを変えていったのでしょうね。
特に2枚目の通称オレンジアルバムはスティーブクロッパーがプロデューサーだということもあってアメリカ的なサウンドが色濃いのかも知れません。っていうか、それも狙ってスティーブクロッパーに頼んだのでしょう。

<Jeff Beck Group – Ice Cream Cakes>

この曲は、いわゆるロックのファンにもウケル曲なのではないかと思います。リズムは結構複雑な16ビートであるわりにリフなども含めて非常にロック的なギターが被さっています。合間合間に入るギターの合いの手やソロなども、ジェフベック節が炸裂で非常に感覚的なソロです。トレモロアーム(今はワーミーバーというらしい)の効果音のようなカッコ良い使い方みたいなのもジミヘンやこの辺から広まったのではないでしょうか。
(第1期ジェフベックグループの頃、ジェフベック自身、ジミの演奏を見てまたストラトを使おうと思ったと言っていた)。