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嗚呼、青春のヤードバーズ!

シンコーミュージックの雑誌ROCK JET 03号で「ヤードバーズの挑戦」と題してヤードバーズ特殊が組まれました。

ヤードバーズというバンドは、非常に捉えにくいバンドで、私も高校生の頃から知ってはいたものの、どう取り込んでいいのか分からず、ずっと頭の中の仕分け台の隅に置いたままになっていたのですが、この特集が少しヒントを与えてくれたような気がします。この特集は、どこまでも私の考えていたことを拾ってくれていて、快感さえ感じます。かゆいところに手が届く、そんな感じです。ただ、「この40曲を聴け!」では「I AIN’T GOT YOU」が入っていなかったり、FOR YOUR LOVEが大変好まれていたりというところは少し違う感じです。

私がヤードバーズを知ったのは、高校生の頃で、大勢の人と同じく、ジェフベックやエリッククラプトンが元いたバンドということからでした。しかし、本格的に興味を持ったのはあるFMラジオの番組がきっかけでした。
高校2年の冬、年末のFM大阪の特集番組で「秘蔵版公開」というのがあり、その中の1日が確か青木某という音楽評論家?の方の日で、そこでかけられたレコードが3大ギタリスト関連のものでした。
これがまた当時としては、強烈に秘蔵中の秘蔵と言った内容で、憶えているだけでも(ほとんど憶えているのですが・・・それだけインパクトが強烈だった)、ヤードバーズのガットトゥハリー(クラプトン)、トレインケプトアローリン(ベック。しかし、番組では確かギターはクラプトンだと紹介された)、ストロールオン(トレイン~と比較。ニクイ!)、ジェフズブギー、リトルゲイムス、ホワイトサマー、ドリンキングマディウォーターなどで、ヤードバーズ以外では、パーマネントダメージ(GOGO’Sのヤツ)、ギブイットトゥユー(UPP)、ジンジニー~ラブミードゥ(デビットボウイのライブに飛び入りしたやつ)などが紹介されました。これが非常にインパクト強くて、どうしてもそれらのレコード(当時はCDなんてありませんわな)が欲しいと思い、年明けから学校までさぼって、輸入レコードショップ巡りが始まりました。

しかし、当時はヤードバーズのレコードなど、ほとんど廃盤で、やっとこさ見つけたのが、Eric Clapton&The Yardbirds(Five Live The yardbirdsの日本版。ジャケットは違う)、With Sony Boy Williamsonのほかは、Feed Back Yardbirs、Remember The Yardbiersなど編集物でした。しかし、これらには一番聞きたいJeff’s BoogieやTrain Kept a rollin’は入っていませんでした。ある店で、Having A rave upを見つけたのですが、プレミアム付きでなんと25,000円もしていました。そんなものが当時高校生の私に買えるはずもなく、結局聴きたい曲は、ほとんど得られずじまいでした。 Over Under The Sideways Down(Rogers Enginire)やGolden eggs(Stroll onが入っている)、Live The Yardbirs(ペイジ時代のNYライブ)などを手に入れるのは、それから数年後のことです。

それでも、なんかヤードバーズのレコードを持っているだけで幸せな気分になりましたね。なんでだろ。 なんか、ジェフベックやクラプトンがいたバンドだというだけで、オーラが出ていましたね。それにその頃と言えば、1975年。ヤードバーズが、まだたったの10年くらい前のことでした。Blow By Blowが出たばっかりです。ワールドロックフェスティバルでジェフベックが来日、クリエイション始め、続々と和製バンドが誕生した日本のロックの夜明けみたいな頃です。すごい時代に生きていましたね、私も。

私にとってのヤードバーズは、とにかくTrain kept a rollin’とStroll On(同じ曲ですが)、Jeff’s Boogie,Got To Hurry、そしてどういうわけかI Ain’t got Youこの5曲ですね。特にTrain kept a rollin’は、とにかくカッチョイイ~って感じでしたね。

それで、いろいろ聞いているとカバーしているバンドがあるじゃないですか。サンハウスのレモンティ、そしてエアロスミス、フォーリナーもやっていました。エアロスミスは最初の方のアレンジがちょっと違いますが、後半安心します。ジョーペリーがベックファンだということも手伝って、エアロには妙に親近感があります。ま、カッコイイですしね。
何を隠そう、私のヤードバーズベスト5曲の中にI Ain’t got Youが入っているのは、エアロがやっていたからなんです。エアロの「Live Bootleg」に入っていますが、ヤードバーズに近いノリで、とてもいい感じ。スティブンタイラーのボーカルも渋くて非常にいい演奏です。それから、この曲を見直したんですね。ヤードバーズでは、BBCのOn AirLiveの1番目でベックが独特の演奏をしています。

そうそう、大人になってから改めてCDやビデオでヤードバーズを振り返って改めて驚いたのが、ジェフベックがすでにとてもうまいことですね。当時ベックは、22~24歳くらいなのでしょうか。18番の3連プリングオフもやっているし、音程は正確だし、離れたポジションで早いパッセージを弾くし、もう当時で、ブローバイブロー時代と変わらないくらいの演奏技術だと思います。もちろん、クラプトンやペイジもうまいです。この3人は、本当にうまいというか、よくこんなにうまい3人が、同郷で同じバンドにいたもんだ。まだ、日本なんてグループサウンズが登場し始めたくらいの頃に、もうあんなに高度な演奏をしていたなんて・・・。日本って改めて後進国だったのだと思いました(今でも経済大国なんて言われながら、中身はいやというほど後進国だけれども)。

しかし、そんなヤードバーズでも、初めて聞いた感想は、なんかペンペンギターだし、キースレルフは調しっぱずれだし、ちょっとダサイ(注:ダサイという言葉は当時はありませんでした)感じがしました。それよりは、ジョンメイオール&ブルースブレイカーズやクリームなどは超カッコイイ(注:超ナニナニという言い方も当時はありませんでした)と思いました。やっぱりギターは歪んでいなきゃって、感じですね。

ROCK JET 2001年03号は、今、改めてヤードバーズを見直す、いい企画だと思いました。ROCK JET、いいぞっ!

2001.2