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第二期ジェフベックグループ 啓蒙投稿-その1

「第二期ジェフベックグループ」はどんなバンドだったのか。

1968年に結成された「第一期ジェフベックグループ」では、ロッドスチュアートやロンウッドと共にブルース色の強いロックをやっていたジェフベックですが少し変化が起こります。ブルースバンドからの脱却です。人と同じ事、ありきたりの事をするのを死ぬほど嫌うジェフベックが目指したのは、モダンなソウルファンクロック。最近で言うとプリンスのような路線でしょうか。
「第二期ジェフベックグループ」のサウンドは乱暴に言ってしまえば「70年代初期のモータウンサウンドを少しヘビーにしてジェフベックの変態的なギターを載せた」という感じです。実際に「第二期ジェフベックグループ」結成の直前に、すでにメンバーとして決まっていたコージーパウエルとともに、モータウンに行ってセッションを行いインストルメンタルを10曲レコーディングしていたりします(未発売)。
そもそもジェフベックという人は黒人音楽それもブルースよりソウルの好きな人で、あの伝説のウッドストック出演を2週間前に辞退した理由も「ガタガタになったバンドで、スライ(&ファミリーストーン)と同じステージには立てない」というものでした。
イギリス人であるジェフベックには、黒人音楽に憧れたイギリス人バンドに共通する「洗練」があります。エリッククラプトンのブルース然り、スイングアウトシスターズ然り、黒人音楽をなぞっても黒人音楽の泥臭く汗臭い味は薄く、その辺がモダンに昇華されていると言えるかも知れません。
「第二期ジェフベックグループ」は、活動時期は1年ちょっとくらい。アルバムとしては「Rough And Ready」「Jeff Beck Group」の2枚がでています。後者のプロデューサーは、ブッカーT&TheMG’sのスティーブクロッパー。この辺からもジェフベックが目指していたものが分かります。

バンドメンバー

ドラムのコージーパウエルもジェフベックグループによって世に出た1人です。レインボー以降、ハード&メタルロックバンドばかりに居たので、パワードラマーというイメージが強いですが、ジェフベックグループでは、実に緻密でファンキーなグルーヴのドラムを叩いています。
コージーの他に、元々ジャズミュージシャンだったマックスミドルトン(Kb)、クライブチャーマン(B)、ボブテンチ(Vo)といった結構無名で地味なメンバーです。
しかしマックスミドルトンは、この後ワイヤードまでジェフベックが最も進化する時期に良き相棒として活躍します。
クライブチャーマンのベースプレイは、モータウン伝説のベーシスト、ジェームス・ジェマーソン風のベース・ラインで、好きなベーシストの1人に上げるベーシストも多いです。ボーカルのボブテンチは、ギタリストでもあり、歌はウィルソン・ピケットやテンプテーションズのムードです。
ですから、モータウンやその周辺をお好きな方には、かなり好みのサウンドではないかと思います。
ボブテンチ、マックスミドルトン、クライブチャーマンは、このバンド解散後「ハミングバード」というこれまた伝説のバンドを結成します。ここには、ファンキー”プリティ”バーナードパーディも在籍しました。ちなみにバーナードパーディは、1975年ジェフベックと共に来日しています。

サウンドの特徴

モータウンサウンドをベースにという感じなので、いわゆるロック、あるいはブリティッシュロックとは趣を異にしています。
楽曲に使われるコードには、maj7やm7、あるいはこの時期にキャロルキングとブライアンウイルソンが使い始めたと言われている分数コード(F/Gとかいうやつ=G11)などがよく使われていることです。これらのコードの響きがメローでカラッと明るく、しなやかで浮遊感のあるサウンドをつくっていて、その辺がいわゆるガチンコなロックサウンドとは一線を画します。このサウンドで、コージーパウエルは26インチのツーバス、それにジェフベックの奇天烈なギターが載るわけですから、ユニークにならないはずがありません。


Jeff Beck Group – Situation

この曲は、なぜかイントロがダウンタウンブギウギバンドの「山谷ブルース」のイントロに取って付けたようにまるまま使われています。その昔、当時のDTBBのギタリストであった和田静夫さんと話す機会があってその話をしたら「そうだ」と言ってました(笑)