ジェフベックの顔と言えば、私の場合、真っ先に思い浮かぶのが、故コージーパウエルですね。よくもまあこんなに似た人が同じバンドになったと思います。しかも有名バンドで。私など最初長い間、第二期の1枚目「Rough And Ready」のジャケットの中央がジェフベックだと思っておりました。今でもそう思っている人はいるんじゃないでしょうか。このジャケットでは、コージーの方がしっかりしたオッサン顔で、ベックの方がちょっと若い感じに写っているので、よけいにそう思ってしまいます。
ヤードバーズからwho else!までの顔を眺めてみると、その時代時代のベックの歩みが出ているように思います。
ヤードバーズの頃は、まだあどけなさが残る若造、しかし自信はあるぞという心意気が感じられます。写真によっては、ダルそうに写っているものもあり、心身共に疲れはてていた頃かも知れません。第一期になると今度は、もう自信満々の表情が目立ちます。オレ様が一番、オレ以外に誰かいる?という圧倒的な傲慢さの陰に世に出たばかりのロッドは少し遠慮がちに写っています。第二期になるとジャケットでは先ほどのコージーもおり、実状とは裏腹にリラックスして仲良さそうな雰囲気です。特に2枚目のアルバムなどはコージーが微笑んでおり、オレンジのビジュアルとも相まって一層雰囲気を明るくしております。ただベックはちょっと神経質そうに写っています。この頃のバンドの写真というのが本当に少ないです。ナチュラルでピックガードの先を切り取ったストラトで写っているのがほとんど第二期ですが、数えるほどです。映像としても「BEAT CLUB」にDEFINITELY MAYBEが入っているのが唯一。ま、活動期間も1年ほどのためかも知れませんが、第二期ファンの私としてはちょっと寂しい。
BBAになると写真は多くなります。しかし、ほとんど神経質そうに写っているものばかりで、ライブの写真もとにかく全霊を注ぎ込んで弾いているという感じのものが多いです。白いジャケットを着て白いストラトを弾いている(おそらくBBA初期)写真が有名ですが、カーマインアピス曰く「この時期のジェフはエゴに押しつぶされそうな状態だった」そうで、自分の音楽的理想と実現が遅すぎたBBAとの間で、行き場所を失いかけていたのではないでしょうか。ブローバイブローの頃は、ワールドロックで来日したこともあり、この時の東京公演の写真が多く、他にはタンクトップで黒いレスポールを持っている写真以外あまり見たことありません。
ワールドロック東京公演のは、鬼気迫る演奏が聞こえてきそうなくらい気迫が感じられますが、風邪をひいていたため、辛かっただけかも知れません。ヤンハマーとのツアーの頃の写真は、楽屋の写真などもあり楽しそうに写っているものが多いです。音楽的に満たされていたのではないでしょうか。その後、だんだんとアルバム制作の期間がのびるのと、年齢が30代になるのとでか、どこか落ち着きのある表情になってきます。リラックスして無邪気に笑っている風のもあり、一皮剥けたか?と思わせます。WHO ELSE!のころになると前のアルバムから10年たっていることもあり、急にオヤジになったなと感じさせます。音楽的には、いろいろ迷走(&瞑想?)していたようなのですが、そういったことともとりあえず一線引いて(引けるようになった)、仲間やライブやインタビューなどを楽しんでいるというように見えます。大人になったということでしょうか(^^)。
ジェフベックの顔というのは典型的なイギリス人顔、彫りの深いアングロサクソンの定番的な顔と言えるのではないでしょうか。怪我した鼻は日本人と比べようもなく以上に高くとんがっているし、逆に目は奥。頬骨ははっているので、ステージなどの照明の加減ではサングラスをかけているようにさえ写ります。キースリチャードやミックジャガーも同じような骨格ですね。
顔は関係ないのですが、昔から前髪が目にかかったままの写真がよくあります。傍目には、うっとうしそうに見えますが、これは本人が気にならないようです。インタビューなどのビデオをみても「おい、その髪の毛なんとかしろぉ」と言いたくなるくらいなのですが、かかっている髪の毛を指先でちょいと横によけるだけで、依然として顔に貼り付いたような状態のままなのですね。かきあげたくならないんでしょうか?彫りが深いので、うっとうしくないのでしょうね、きっと。
2000.8.17