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2006年 UDO MUSIC FESTIVAL

ウドーフェスティバルでサンタナと一緒に来日。
日本では久しぶりの野外ステージ。
内容は前年と同じだけど、より若々しくてリラックスした演奏でした。


2006年夏のUDO MUSIC FESTIVALで来日しました。2005年に続いて1年ぶりの来日。早いですね。ウドーとの商売的なつきあいとかいろいろ言われておりましたが、とにかく来日して演奏してくれるのはうれしいことです。しかも、野外。ジェフベックの日本での野外は1975年のワールドロック、1986年軽井沢、そして今回で3回目ですね。今回も軽井沢と同じようにサンタナと一緒です。
メンバーは、ドラムがビニーカリウタ、キーボードがジェイソンリベロ、ベースは、1999年、2000年と来日メンバーだったランディホープテイラー。当初ボーカルも来るような話でしたが、結局は来ず仕舞い。インストルメンタルバンドでの演奏でした。4月頃のツアーでは、女性ボーカルが入り、I Ain’t Superstitiousなども演奏されていたので、そういう路線を期待したのですが、ダメでしたね、残念。

 UDO MUSIC FESTIVALは、東の富士スピードウェイ西は大阪の南、泉大津市の泉大津フェニックスというただっぴろい芝生のイベントスペースで開催されました。
前日の富士はいい天気で、スカパーの撮影が入っていたせいもあって、サンタナとのセッションがありました。
私は、泉大津へ行きました。数日前から天気を気にしていましたが、最悪の予報通り朝から雨の降りそうな曇り。ひとつ前のドービーブラザーズの終わり頃からパラパラしだして、ジェフベックの準備をしている間に本降りとなってしまいました。ジェフベックが出てくる頃には、もうカッパでずぶ濡れ状態。止むことはありませんでした。 途中あまりに雨がひどく、演奏中にジェイソンリベロのキーボードをステージ中に移動させる一幕もありました。

 ジェフベックの演奏は、昨年と同じ内容だし、昔から見てきた者にとっては、あまりサプライズのない、まあ、良くもなくでも悪くもなくといったものでしたが、前年よりスリムになって若々しくビニーカリウタとのコンビネーションもよりうまく行っているようで、リラックスして楽しそうに弾いていたように感じました。でも、前日のようなサンタナとのセッションはなかったですね。期待して雨に耐えて残っていた人も多かったと思いますが、残念でした。

 しかしながら、ギターは、相変わらず存在感のある音で、繊細なのに骨太、歪んでいるのに透明感があって、伸びやかで艶のある、独特の音を出していました。タッチとボリュームやトーンのコントロール、アンプセッティングなど、いろいろな要素によってああいう音が出るのでしょうが、それにしても独特です。フレーズを弾かなくても、単音でぎゅー~~んと弾くだけでまぎれもないジェフベックサウンドになる、魔術のような音ですね。全く同じ楽器を持っても出ないでしょうね、あの音は。だって、どんなストラトを使おうと基本的な音は変わらないですもん。すごいです。

 ビニーカリウタは、ジェフベックには良い相手だと思いますね。ジェイソンリベロは、実力はあるんだろうけど、若いからジェフベックに遠慮しているように感じます。ベースのランディホープテイラーも着実なベース(この人も若いから遠慮があるかな)だけど、もう少し個性的な弾き方をするベーシストの方が面白くなるんじゃないでしょうか。

インストになると特に、ジェフベックのギターが鳴っていないときにどんなサウンドになるか。次にベックのギターが出てくる間がどう緊張感がでてくるのかということが面白さになるので、ベックが弾いていないときに個性的に間を埋めてくれるプレイヤーが必要ですね。ベックが弾きっぱなしと言うのは面白くないわけで、むしろスカスカのところにベックのギターが神出鬼没に入ってくるような演奏が、インストの場合面白くなります。
ボーカルが居るとね、ボーカルとのコンビネーションが生まれるのでそれはまた違った面白さになるのですが、その辺で、ビニーカリウタだけだとちょっと寂しいって感じでしょうか。スタンリークラークとのツアーの時は、スタンリーとサイモンフィリップスがうまく刺激を与えてくれて絶妙の緊張感になっていました。オールドベックファンは、インストだとどうしてもあのころの緊張感を求めてしまうのですね。
ただ、最近でも「BECK LIVE!」のあのやんちゃな演奏は、昔の緊張感や熱気がそのままある感じです。テリーボジオやトニーハイマスとのコンビネーションは、抜群ですね。
・・・とか何とか懐古趣味的なことを考えてしまいますが、ニューアルバムの構想もあるみたいだし、前のアルバムのときに、もうデジタル路線は終わりだとか言っていたので、今後に大いに期待してしまいます。あー、ただ、今回のライブでアンコールで演奏された新曲とやらは、ワタシ的にはいまひとつでしたね。

 それと、それと、それと・・・泉大津フェニックス、水はけ悪すぎです。
ベックの土砂降りのおかげでもう下は田んぼ状態。何処へ行くにも靴が水たまりに3センチくらいめり込んでぐじゅぐじゅでした。それに何かドブ臭かった。埋め立て地っぽいのでいろんな物質が埋め立てられているからかも知れませんが。
もうひとつ、トイレは偏って作らないで欲しい。私は一番遠い方向で見ていたのでトイレまでぐじゅぐじゅの芝生を歩くこと10分、そこで並んで順番待ち5分、帰り10分。トイレだけで30分仕事でした。

 でもテント張っている人たちや、テーブル広げていろいろ食べてのんで楽しんでいる人(曇りの頃はね)などなど、野外は楽しいですね。それに、土砂降りだったけど、苦難に耐えて最後まで見たら、えもいえぬ達成感がこみ上げてきまして、妙に充実した気持ちになってしまいました。

 結局私は、朝の10時半頃入って、サンタナが終わった21時前までいたのですが、いやいやなかなか楽しい一日でした。
ファンの年齢層が高いのでみんな暑さや雨を敬遠して行かなかった人も多いようですが、残念ですね。ドームとか涼しく快適な室内でして~~という希望も多いようですが、みんなで野外へ行きましょうよ。オモロイですよ。
夏なんだから、野外で風雨にまみれてロックしましょう。年に1回、そんな機会があってもいいんじゃないの、っていうのが私の意見です。

 今回、ジェフベックもまあ、良かったですが、その前のドゥービーがすごい盛り上がって良かったですね。私、初めてだったので。懐かしい曲をいっぱいやってくれて、まあ、商売的になんでしょうが、慣れたステージングで、コーラスなんかも全然乱れないし。パットシモンズは、いかにもカウボーイな感じで格好良かったし。

サンタナは、もう存在感が違うといった感じで、演出も良かった。ウッドストックの映像がバックに流れ、ソウルサクリファイスが流れ、そのまま実際の演奏に入っていくというなかなか良い演出でした。ラテンのリズム、魂ですね。その強力なリズムをバックに弾くサンタナのギターは、もううまいとかへたとかいうことを超越している、まさに魂のギタリストという感じですね。いやはや、やはりその気合いというか、ホント、魂としか言いようがない、洗練というような繊細なものではなく、必要なものだけ残ったというような、とぎすまされたものを感じました。さすがですね。

 朝のバディガイは、こなれたステージで愛嬌を振りまきながらもいい歳してパワフルでしたね(^_^;) あんなおじいがはすごい。大阪には結構居ますよ、パワフルおじい。おばちゃんもすごいけど、おじいもすごいです。大阪のおじいは、バディガイくらいには、なれるかも。

 プリテンダーズは、後ろの方で見ていましたが、音がいいので良く聞こえました。ロックする女性はどうしてセクシーに見えるのでしょうね。ロックなんてする女性はそもそもセクシーなのか、ロックをしているとセクシーになってくるのか、成功している女性ロッカーはセクシーだから成功しているのか。まあ、3番目が近いような気がしますが、その他の理由もそれなりにあると思います。特に歌っている女性ロッカーは、セクシーに見えますよね。

 あと、もう一つのステージでドゥービーの頃にチャーがやっていて演奏が聞こえていましたが、ジェフズブギーとかブラックマジックウーマンとか、本日の出演者の曲をやっていました。事前のインタビューでもそのようなことを話していましたね。そのくらいリラックスしながら、冗談半分、レジャー半分でやった方がこういうコンサートは面白い。

 土砂降りで、サンタナとの競演もなく、帰りにはもうみんなずぶぬれのぞうきんのようになっていましたが、それぞれに満足そうにシャトルバスに乗り込んでいました。
こういったイベントでは、バスがなかなか来なかったりすることがありますが、今回はスムーズだったのではないでしょうか。私は、行き帰り、一番人の多い時間帯だったと思いますが。

 今回、車いすの方用のスペースが設けられていました。芝生の上に少し高くなるステージのような台がつくってあって、車いすで動きやすいようになっていました。非常によいことだと思いましたが、ちょっと残念だったのが、そこに屋根がなかったことです。
晴天なら暑いし雨ならずぶ濡れは、健常者なら平気だと思いますが、動きにくい車いすの方には、厳しいんじゃないでしょうか。せっかくこういった場所をしつらえるなら、屋根のあるスペース、例えば今回なら中央にスクリーン映写用機材のための大きなテントがありましたが、あの中につくるとかしてあげたらもっといいんじゃないかと思いましたね。

昨年(2005年)の来日の時に掲示板で、立ってみるか座ってみるかの大論争になり、車いすの問題なども取り上げられましたが、ちゃんと配慮された車いすのためのスペースというのが、当たり前につくられていくと、みんなで楽しめて良いと思います。


泉大津会場でのスナップです。土砂降りの中、頑張ってご覧になった方は、そうだったな~なんて楽しんで頂けるとうれしいです。