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ロッドスチュアート(Rod Stewart)

ロックボーカリストの先駆者と言えば、ロッドスチュアートの名前があがると思います。マイクスタンドを振り回して歌うステージングは、日本の歌手にも大きな影響を与えました。西城秀樹さんは、ロッドのマイクスタンドがアルミでできていることを知り特注したという話を聞いたことがあります。

昭和世代には有名な、資産家の故大屋政子さん(帝人の社長夫人、派手な帽子やミニスカートの衣裳と御主人のことを”ウチのおとうちゃん”というので有名)は、ロッドのファンだったそうで、ロンドンの自宅もロッドの家のご近所だったよう(ご近所に家を買ったのか?)で、よくTVで「ご近所のロッドシュチュアートさんがね・・・・・」などという話をされていました(笑)

ジェフベックグループへの参加。

JEFF BECK GROUP
一番右はロンウッド

ロックのスーパースターのロッドですが、世に出たのはジェフベックグループのボーカリストとしてだったというのは、ロックファンの間でもあまり知られていないんじゃないでしょうか。ロッドは、ジェフベックバンド以前からプロとして活動していましたが、第一期ジェフベックグループへの参加により、ギターと対峙するスタイルで注目されました。ジェフベックというすでに大人気のギタリストの下で有名になったワケですが、ロッドの歌に着目し、ああいうスタイル(以後ロックの基本スタイルになった)をつくったジェフベックの耳と発想も凄かったと思います。

ジェフベックグループの演奏を聴くと、今でこそ当たり前に聞こえますが、当時の状況を考えると斬新で、ロッドのボーカルがあってこそのコンセプトだと思います。また、ベースを弾いていたロンウッドもその後の活躍を見るとメンバーを選ぶジェフベックの目が凄いですね。

ロッドの歌。

ロッドの魅力はなんと言ってもあのハスキーボイス。日本ではしゃがれ声とか言いますが、あのハスキーボイスでシャウトするスタイルが、The Rock Vocal!って感じでした。実際は、結構キイが高いんですよね。だからなかなかあのキイで歌える人がいません。ロックは、楽器の音量が大きいので、楽器と同じ音域で歌っても埋もれがちで、それより上の音域に行く必要があります。その辺の音域もロッドがカッコイイ理由ではないかと思ったりします。

ロッドは当時の英国のミュージシャンと同じく黒人音楽の傾倒して、中でもサムクックに憧れていたようでサムクックの動画を見ていただくと分かりますが、歌い回しがそっくりでリスペクトしているのが良く分かります。そのため、当時は「白いサムクック」と呼ばれたりしていました。今だと人種差別的表現だと言われそうですが。ジェフベックの演奏がレスポールにそっくりなのと似ています。

ジェフベックグループ後。

ロッドは、ジェフベックグループが解散したあとに、同じメンバーだったロンウッドとフェイセズを結成。フェイセズも人気バンドになりましたが、ロッドは途中から並行してソロ活動も始めます。やがてフェイセズもバラバラになっていって、ロッドはソロアーチストとして、ロンウッドはローリングストーンに加入します。

Jeff BeckのLiveに飛び入り

ジェフベックグループが瓦解した理由について、よくメディアで書かれていたのが「ジェフベックがギャラを独り占めして、ロッドやロニーにはちょっとしかわたさず、険悪になった」とか「ロンウッドが彼女とテレビを見ているとジェフベックが出ていて、悪口大会になった」とかが書かれていて、長い間「ジェフベックとロッド&ロンウッド」の不仲(犬猿の仲)説が流布されていたのですが、ロッドの自伝によると「俺がジェフベックのことを嫌っているっていう噂がある。だが、俺たちが一緒のバンドにいた2年半のどの段階でも、それ以降でも、そんな事実はない。」と語っています。



実際、1985年にジェフベックのPeople Get Readyにロッドが参加し、ロッドのInfatuationにジェフベックが参加、ロッドのツアーにも1〜2回参加したりしています。その当時も「仲直り」などと言われていました(笑)が、まったくそれはデマだということですね。ロンウッドも2004年のジェフベックのバースデーコンサートにゲストで出ています。いつの時代もメディアというのは、話題性を煽るような書き方をすると言うことですね(笑)
2009年には、ジェフベックのツアーに飛び入りで2曲歌ったり、2019年には、ハリウッドボウルで行われたコンサートの後にジェフベックと当時の曲を5曲を演奏しています。

*関連記事:ロッドスチュワート自伝「ロッド」より。

鉄道模型趣味。

ロッドの話で、サッカー好きだったことは有名ですが、あまり書かれないのが鉄道模型趣味です(笑)wikiにすら載っていません。ロッドは、子供の頃から鉄道模型が好きだったようで、ハリウッドの自宅には2部屋をぶち抜いたスペースに巨大なジオラマ(鉄道模型の世界ではレイアウトと言う)をつくっているそうで、自伝の中でも「みんな笑うなよ」という書き出しでかなりページを割いて語っています。ロッドのジオラマが世界的に有名なRailway Modellersという雑誌の表紙になったことがあり、「グラミー賞をもらったときよりうれしい」と書いています。面白いのは、ロンウッドの自伝にもロッドの鉄道模型の話が出てくるところで、ロッドの実家から鉄道模型を運び出すのを手伝わされて参ったと書いています(笑)
ロッドの模型の興味は、どちらかというと車両よりも建物(ストラクチャー)などの情景(シナリィ)だそうで、ツアーのときも模型の材料を持っていってホテルで作業をしたり、外に出て資料の写真を撮ったりしていたそうです。「俺の興味は長年による錆の出方とか朽ち方なのだ」と書いています。ライブツアーの裏側でそんなことをしていたのが興味深いですよねぇ。ロック、スーパースター、ブロンドヘアーの恋人など派手なイメージとのギャップが面白いです。

ジェフベックとの関係。

2023年5月に行われたジェフベックのトリビュートコンサートでは、ラストバッターとして登場し、ロンウッドと共に場を盛り上げていました。ロッドが出てくると一気にステージが華やぎます。後年は、甲状腺癌のために喉を手術したために高音が出にくくなって歌い方を変えていたそうです。

ジェフベックファンとしても、ロッドスチュワートは、やはりジェフベックと最高のコンビだと思いますし、インストアルバムを発表した頃のジェフベックはなぜインスとかの質問に「ロッドスチュワートのようなボーカリストはなかなかいないんだよ」と語っていました。

ロッドもジェフベックのことを「ジェフが俺の声をかき消すようにギターを弾いたことは一度もない。彼はいつだって、俺が入るタイミングや声を伸ばすところを感じて、一歩下がって邪魔にならないようにしたかと思うと、その後から大音量で入ってくるタイミングもつかんでいるんだ。」「ジェフベックグループにはかなりの空間があった。つまり、歌手としての俺が、自分の能力を充分に発揮できる広いスペースがあったんだ。」と書いています。

2016年頃にロッド、ロニー、ジェフベックで、第一期ジェフベックグループのリユニオンの話があり、かなりリハーサルも行われたようですが、ジェフベックの意向でぽしゃってしまいました。ロッドは「ヤツは俺の時間をムダにしてくれた」とこぼしていましたが、とても残念です。

2023.7.9


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ジェフベックが客演しているInfatuation

独特のグルーブがあったFACES。後期には日本人ベーシスト、山内テツの参加が日本では話題になった。

敬愛するサムクックのナンバー。Rod Stewart Twisting The Night Away

ご本家。Twistin’ the Night Away/Sam Cook

個人的にはこの歌も好きですけどね。
Rod Stewart – You’re In My Heart

Hollywood Bowl(9/27/2019)Jeff Beck With Rod Stewart-Blues Deluxe