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Corpus Christi Carol Hammerhead Never Alone Somewhere Over The Rainbow I Put A Spell On You Serene Lilac Wine Nessun Dorma There’s No Other Me Elegy For Dunkirk Poor Boy Cry Me A River [Instrumental] |
ジェフベックのサウンドが進化したひとつの集大成。
空白の10年を経て1998年の復活?以降、いろいろやってきたひとつの集大成的なアルバムと思います。ベックのアルバムはいつもそんな感じですが。
スタジオ盤としては、7年ぶりです。今までのアルバムと違うのは、音楽のスタイルが入り乱れていること。最近やっていることを詰め込んだ感じで、悪く言えばまとまりがないのですが、ベックのギターは一貫しているので、それで収まっているという感じです。しかしそれは、ジェフベックのアルバムとしては正しいでしょう。
ジェフベックは、何よりまずあのギターだし、音楽スタイルはその演出になっている。そのあたりが、コンセプトアルバムである必要がないというか、ベックのギターをいろんな角度から聞かせる。逆に言えばいろいろな環境で響かせてみせる。そんなのがジェフベックです。
このアルバムの少し前から、クラシック的なアプローチも多くなっています。ジェフベックの、エレキギターか何か良く分からないようなピュアな音はクラシックにも良く合います。
かなり昔に拙WEBサイトの掲示板で、クラシックをされているという方が、クラシック奏者としてもジェフベックのギターは魅力的だと書かれていたことがありました。
このアルバムでも一貫しているのはピュアなベックのギターの音です。かなり歪んでいるはずなのに、そう聞こえなくて、しかし、実に伸びやかな音色が独特です。
繊細な音なのに、バンドの中に入っても埋もれないという、不思議な音です。
海賊盤の映像で、パリ郊外のフェスティバルのリハーサル風景で、スラッシュやエアロスミスと一緒にトレインケプトアローリンをやっているのがありますが、他の若いギタリストよりも完全に押出の強い音で存在感がハンパではありません。
このアルバム、ある面進化したジェフベックだということも言えるでしょうが、反面、もうやりたいことがなくなってあれこれ雑食的に模索していると言えなくもない感じもします。
やりたいことはないけど、過去のものだけを懐メロ的にやるのは面白くない。またアーチストとして常に新しいモノを発表しないといけないし、契約上もアルバムを出さないといけない、さらにベックの美学として有り体なことをやりたくない。など、いろいろな想いがあるのでしょう。
もうひとつは、過去にも何度も書いていますが、やはり、誰か演奏で会話が出来るミュージシャンがバンドにいないと楽しめないのかも知れません。
自分のアルバムよりも他人のアルバムに参加している方がのびのび楽しみながら弾いているに感じるのは、参加先のアーチストに対して弾いているからではないのかなと思ったりします。
近年のジェフベックは、ジェフベックとバックバンド的な印象が強いです。それではベックは楽しめないのかも知れません。
そう言う面では、ドラムにビニーカリウタがいるときは、まだカリウタに仕掛けるということができるので楽しいんじゃないかな、知らんけど(笑)
2010年のジャパンツアーでは、ドラムがナラダマイケルウォルデンでしたが、実に楽しそうでした。個人的には、カリウタの優等生的なドラムより、ナラダのやんちゃな感じのドラムの方がベックには合っていると思います。ナラダとは、日本以外でもやっていてYoutubeで見ることができます。
インストルメンタルでなぜかCry Me A Riverが入っていますが、イメルダメイとのロカビリーライブやLulu(Lulu Kennedy-Cairns)が歌っている映像でも弾いています。元はジュリーロンドンの歌とバーニーケッセルの演奏が有名ですが、わざわざインストルメンタルで入れているのは、気に入っているんでしょうかね???