?> 1990年 チャックベリーにびっくりさせられたギターショップツアー | ジェフベックの茶飲み話サイト。

1990年 チャックベリーにびっくりさせられたギターショップツアー

キリンビールのイベントとして、スティーブルカサーバンド、ニールショーンバンド、そして伝説のチャックベリーなんかとのブッキング。ベックがでてくるまでに2バンドもあり、いい加減疲れてしまいましたが、出てくるとそんなことは吹き飛んで、もうベックサウンドを堪能できる素晴らしい公演でした。
スティーブルカサーバンド、ニールショーンバンドなどもそれなりにはいいですが、ベックが出てくるとさすが格が違うと言う感じがしました(ファンの思いこみ?)。おまけにベースレスで3人なのに聴かせる聴かせる。根性の入り方が違います。
感動的だったのは、やはりテリーボジオ。あの地の底からわき上がってくるような質量感のあるドラミングは独特ですね。それに音のダイナミズムもすごい。テリーボジオがたたき出すだけで、ワクワクする迫力があります。特にDay In The Houseなどでは、独特の タイミングとフィルなどで、ボジオの世界?が繰り広げられます。いや~すごかった。あんなレゲみたいな曲はスカスカなので、インストでもたせるのが大変でしょうが、ボジオのドラムだけで一二分に感動的です。
ベースレス3人というのは、まあ気になることはなかったですが、個人的にはやっぱりベース奏者がちゃんといて欲しい。いいベース奏者が一緒に来ていれば、もっと厚みのあるサウンドになっていたんじゃないかと言う気はします。
ベックのギターは、より感覚的生理的な感じになっていました。前回からピックなしで弾いているので、その奏法がさらに進化したというような感じでした。特にトレモロアームの使い方が、ギミックではなくフレーズの一部として機能していたことが、ベックが新しい方向性に進み出したような印象を感じさせました。There and backの頃とは、ちょっと違ったアプローチになっていました。以後、Who Else!などでも基本的には同じ奏法です。
Guitar Shopの曲の中には、当時流行だったダンスっぽい曲もあるのですが、フラッシュの時のようなことはなく、見事にベックサウンドとして演奏されていました。トニーハイマスのキーボードも非常に効果的でかっこいい演奏でした。
さて、このツアーは、キリンビールがスポンサーのイベントで、他のバンドも一緒だったわけですが、トリを務めた?のは、なんとチャックベリーでしたが、とんでもないおまけを見せてくれました。
ベックのMCでチャックが登場したものの、他のサポートメンバーは全然出てこない。やっとのことで渋々前にでていたバンドのメンバーが出てきてちょっとやったのですが、何かステージ上でトラブっている様子で、すぐにチャックを残して引っ込んでしまいました。その後は、なんとかドラムだけでてきて、チャックと2人でやっていましたが、それも尻切れトンボで終わっていまいました。次の日は、日本人ミュージシャンでサポートバンドが用意されていましたが、それもチャックのわがままについていくのが必死という感じでした。
後で知ったのですが、チャックベリーは、とんでもないわがままオッサンで、業界できらわれていたらしいんですね。このツアーでもギャラをひとりじめしようと、サポートバンドを連れてこず、他のバンドのメンバーを借りてやろうなんてことだったらしいです(あくまで、人から聞いた話)。おまけにリハーサルなどせず(してもその通りやらず)、「お前たちは、俺についてくりゃいいんだよ!」てな感じらしいんですね、いつも。それで今回もあんな事態に、なるべくしてなったということですね。
映画でキースリチャードが音頭をとってチャックベリーのコンサートを開くというドキュメンタリー(タイトル忘れた)がありましたが、あの中でもクラプトンを始めいろいろなミュージシャンがキレてしまってる様子がありありと分かりました。そうだったんですね。で、キースリチャードがコンサートを開こうとしたのも、こう言ったチャック自身の理由があって、キース自身がまともなコンサートを見たことがないので、やってやろうというのが趣旨だったようです。キース自身も相当苦労したようです。
まあ、そんなことを知らない私は、ステージ上で起きていることがどういうことなのか、さっぱり分からず、ハラハラして見ているばかりでした。
ほとんどの人が同じ気持ちだったんじゃないでしょうか。
ちなみに、このコンサート、一日目はちゃんと買ったんですが、2日目はキリン関係の仕事をしていた友人からもらったタダ券で見てしまいました。結構余っていたようです。


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