?> Rock & Roll Party: Live At Iridium ~Les Paul Tribute Live | ジェフベックの茶飲み話サイト。

Rock & Roll Party: Live At Iridium ~Les Paul Tribute Live


これはジェフベックの違う一面の演奏が見れる(聴ける)DVD(CD)です。いわゆるジェフベックのオリジナルな音楽とはちがうルーツのような曲、別チャンネルのジェフベックという内容なので、ひととおりジェフベックを知っているファン向けと言えるかも知れません。これで初めてジェフベックを知った人は勘違いしてしまうかも。

2010年6月8日、9日、N.Y.イリディウム・クラヴで行われた、完全招待のプレミアム・ライヴからの編集です。イリディウム・クラヴは、2009年に94歳でなくなったレス・ポールが定期的に出演していたN.Y.の老舗クラブ。バスからジェフベックやイメルダメイが降りてくる映像や舞台裏の映像が流れ、冒頭にレスポールの95歳の誕生日ですというアナウンスもあります。客席にはデヴィッド・ボウイの顔も見えます。レスポールは、ギブソンのレスポールモデルの開発者であり、多重録音の発明者であり、テープエコーの開発者であり、その他にもたくさんの功績を残して自らも卓越したプレイヤーである偉大なギタリスト。

ジャズギタリストとされていますが、いわゆるモダンジャズではなくロカビリーに近いサウンド。1940年代に当時奥さんだったメリーフォードとのコンビで多重録音やエコーを使った画期的な作品を残しておりヒットを連発しました。90歳を過ぎても元気にイリジウムに出演していました。90歳の誕生日のイベントにはジェフベックも参加しています(Jeff Beck and Les Paul Rock’n’Roll Toniteとして収録)。

ジェフベックは最も影響を受けたギタリストとしてレスポールを上げていますが、それはこのDVDの演奏を見ると良く分かります。そんなレスポールに捧げたライブイベントは、タイトル通り、ロックンロール、ロカビリー大会なのです。まさに、ジェフベックの原点のような音楽です。ジェフベックは、第一期ジェフベックグループでブルースロックからロックを開拓したので、ブルースをルーツに持つギタリストのように思われていますが違います。ジェフベックの原点はロカビリーなのです。だから第一期ジェフベックグループでのソロなどもブルースとはちょっと違うアプローチです。

1.Double Talking Baby (feat. Darrel Higham)
2.Cruisin' (feat. Darrel Higham)
3.The Train It Kept a Rollin' (feat. Darrel Higham)
4.Cry Me a River (feat. Imelda May and Jason Rebello)
5.How High the Moon (feat. Imelda May)
6.Sitting on Top of the World (feat. Imelda May)
7.Bye Bye Blues (feat. Imelda May)
8.The World Is Waiting for the Sunrise (feat. Imelda May)
9.Vaya Con Dios (feat. Imelda May)
10.Mockin' Bird Hill (feat. Imelda May)
11.I'm a Fool to Care (feat. Imelda May)
12.Tiger Rag (feat. Imelda May)
13.Peter Gunn (feat. Jason Rebello and Trombone Shorty)
14.Rocking Is Our Business (feat Darrel Higham, Jason Rebello and Trombone Shorty)
15.Apache
16.Sleep Walk
17.New Orleans (feat. Gary U.S. Bonds and Jason Rebello)
18.Walking in the Sand (feat. Imelda May)
19.Please Mr. Jailer (feat. Imelda May)
20.Twenty Flight Rock (feat.  Brian Setzer)

 ショーは、ロカビリーバンドにジェフベックが加わり、イメルダメイが加わり、ホーンセクションが加わり、ゲストが加わりとバラエティ豊かです。レスポール&メリーフィオードの曲を中心に、ロカビリーやオールディズの曲が演奏されます。ギターもジェフベックにしては珍しいフルアコやディオ・ジェットなどが次々に登場します。
これらのギターを紹介しているインタビューが別映像で収録されており、これも見ものです。ヤードバーズで有名になったTrain Kept A Rollinもロカビリーアレンジで演奏されます。イメルダメイの歌声が、メリーフォードにそっくりで(寄せているのだろうけど)驚きます。
どの曲も基本的にソロもオリジナルに近い演奏でジェフベックのこだわりを感じます。
Emotion&ComortionではインストでやっているCry Me a Riverは、オリジナルのジュリーロンドンのバージョンに近い演奏で、イメルダメイが歌い、ギターも基本的にジュリーの演奏(バニーケッセル)をなぞりながら、ところどころ味付けしていて実に上手いです。これは貴重な演奏です。イメルダメイはヘアースタイルからしてロカビリーな装いでカッコ良い。別に収録されている屋根裏部屋でギターを紹介しているインタビューで弾いている曲がいくつか出てきます。

イメルダメイが出てくるとレスポール&メリーフォードの曲が続きます。ジェフベックは、レスポールのプレイをなぞって弾いていますが、これを聞くとジェフベックのフレーズのようにも聞こえます。ジェフベックがいかにレスポールに影響されているのが分かります。イメルダメイの歌にはイメルダの声でコーラスがついていますが、これは別トラックを流しながら歌っているのでしょうか。ゲストにはゲイリーUSボンドとブライアンセッツアーがでてきます。ブライアンセッツアーは冒頭にも客席の後ろの方にいるのが映ります。ブライアンセッツアーは、こういう曲で様になりますね。バッチリハマってる。

最後にストラトで何曲が弾きますが、以前スチールギターでレコーディングしていたSleep Walkは、アームとスライドバーを使っていい感じに演奏すします。とにかく、こういうシンプルな曲をとても表情豊かに演奏します。ジェフベックはここではサンバーストのレスポールを弾いていますが、オックスブラッドを弾いてほしかったなぁ。イメルダメイとの別のショーではオックスブラッド(おそらくギブソンのレプリカ)を持っているのもあったのに。
ということで、ジェフベックのファンならとても楽しめる内容だと思いますが、ロックやジャズ的なインストを期待してはいけません。

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