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Starcycleの変化

ヤンハマーの手によるひょっとしたらジェフベックの中でも一番ジェフベックらしいかも知れない(と私は思っている)曲ですが、公式アルバムではThre And Back(1980年)に収録されています。しかし、遡ること2年、1978年にスタンリークラークと来日したときに披露されています。最初にこの曲を聴いたとき「なんてジェフベックらしい曲なんだ」と思ったものです。全体のスケール(音階という意味での)感やとくにテーマメロディがなんとなく強引な感じがして非常に嬉しく、コンサート会場で思わずにんまりした記憶があります。

■1978年スタンリークラークとの名古屋公演(市立公会堂)より(2.3M/mp3)

このツアーはオープニングがヤンハマーのDarknessで始まりメドレーでStarcycleへつながるという流れで始められ、当時発表されたばかりのローランドのギターシンセで演奏されていました。ツアー初期の倉敷公演ではそのスタイルでしたが、この名古屋公演では、確かStar Cycleになるとシェクターのピックアップと3つのトグルスイッチを装備したジェフベックにしては複雑な回路の白のストラト(当時歌手野口五郎がテレビでこのコピーモデルを弾きながら歌っていた)に持ち替えていました。後のインタビューでこのギターシンセは「ライトが当たって温度が上がると音程が不安定になるので使えなかった」と語っていました。
この演奏ではあのシーケンサーでやるべき独特のリフをトニーハイマスが手演奏でやっており、このサンプルでは聞こえませんが、終わりかけのところで間違えていましたね。
There And Backのテイクよりスピードが速めで、ベースもかなり音数の多い感じです。チョッパーに聞こえますが、必ずしもそうではありません。スタンリークラークを初めて観て驚いたのは、指の早さはもちろん、スタジオ録音などでチョッパーに聞こえていたパーカッシブな音が、普通の指弾きでも出ていたことです。アレンビックというギターやプリアンプのセッティング、アタックの強さややり方などであの音が出ているのだと思いましたが、いやはや、やっぱりスタンリークラークです。

■Thre And Backより(2.3M/mp3)

1978年に聴いていた私は、このテイクを聴いたとき妙に大人しい感じがして、ちょっとがっかりしたのです。リフの音色やドラミングが違ったりスピードがゆっくりめになったのと相まって、ドライブ感が落ちてしまったと感じました。
ま、今ではこのテイクも好きですが、ドラムがヤンハマーの「おさるの太鼓」だし、もう1回、サイモンフィリップスのようなドラマーでちゃんと録音して欲しいと思いますね。