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フィードバック奏法を始め、数々の新奏法によりロックギターを革新。

ロックギタリストの中では、最もトリッキーな奏法を持つギタリストです。そのフレーズはアブノーマルで、おそらく意図的にそういう表現方法をとっている節があります。弦をピックやスチールバーでこすったり、打ち叩いたり、通 常使わないようなピッキングハーモニクスを使ったり、ありとあらゆる方法で、”何か違ったグルーブ”を出そうとしているようです。それらが、取ってつけたようでなく、全体としてひとつの世界を創り出しているところが、ただの目立ちたがりやギタリストと違うところで、そういったことが出来るのも基本的な演奏技術は群を抜いて高度であるからだと思います(イングヴェイのような早弾きができるということではありません)。

ジェフ・ベックが一世を風靡したというのは「フィードバック奏法」(ヤードバーズの頃)かも知れません。最近のロック界ではあまり聴かれなくなりましたが、アンプが再生するギターの音がまた弦を振動させ、鳴ったままになるという極めてワイルドでカッコイイ奏法です。公式音源では、ヤードバーズの「Stroll On」(トレインケプトアローリンの違うバージョン)、「Lost Woman」ほか、第一期「Beck Ola」の「Jail House Rock」、第二期「Jeff Beck Group」の「Going Down」、BBA「Live In Japan」の同じく「Going Down」など。ジェフ・ベックの他では、ジミ・ヘンドリックスがこの奏法をバンバン使っていました。有名なウッドストックでの「アメリカ国歌」がもう究極のフィードバック奏法です。

また、ストラトキャスターのトレモロアームを早くから効果音として使っていたのもジェフ・ベックです。今でこそみんな使いますが、昔は音程が狂うというので敬遠され、ギンギンに使っていたのは、有名所では、ジェフ・ベック、ジミ・ヘン、リッチ・ブラックモアくらいでした。公式アルバムでは、1969年頃、第一期「Beck Ola」でウニャウニャのアーミングが聴かれます。

そして、奏法ではありませんがエフェクター類も先駆けの人です。ヤードバーズの頃からもうトーンベンダー(歪み系の最初のエフェクター)と使っているようですし、ワウワウ、エコー、トーキングモジュレーター、フランジャー、オクターバー、フリケンシーモジュレーター、初期のギターシンセなど、ベックが使ってから一般 化したものばかりです。第二期では、スタジオでレスリースピーカーに通したような音も聴かれます。(クラプトンもやっていました。当時の流行かも)
「フラッシュ」の頃以降では、全くピックを使わず、指だけで弾いているのが、新しい奏法といえば奏法。よく、指弾きに変えたと言われますが、指弾き自体はヤードバーズの頃からやっているので、「ピックを使わなくなった」というのが正しいところです。ヤードバーズの頃から指弾きをやっていたというのは、ジェフベックの奏法のルーツがロカビリーだからです。ロカビリーというのは、カントリーのヒルビリーとロックンロールが融合した音楽。つまり、ロカビリーの元であるカントリー奏法がジェフベックのルーツにあります。

同世代のギタリストや当時のイギリスの状況、第1期ジェフベックグループの音楽性から、ブルースルーツだと思われがちですが、よく聞くとかなりブルース色は薄いことが分かります。ジェフベックのリックには、カントリーリックから展開したようなものがたくさんあります。また、BBAのライブのJEFF’S BOOGIEの最後で、じゃじゃ馬億万長者をバンジョー奏法でやっていたりします。こういった演奏はヤードバーズの頃からやっているのです。

ナッシュビルに代表されるカントリーの奏法というのは、ピックと指とのコンビネーションで弾くモノが多いです。それで指で弾くというのは、昔から当たり前にやっています。ステージでよく見られたのは、ピックを口に加えて指で弾く姿です。ですので、アルバムフラッシュあたりから「ピックを使わなくなった」というのが正しいというわけです。