Midnight Specialにビリープレストンと共にジェフベックが出演した時の音源は、古くからBootlegで出ていましたが、映像は出ていませんでした。
Youtubeができて、Midnight Specialのチャネルがあり、当時のいろいろなアーチストの出演映像がたくさん上げっており、楽しいのですが、なぜかジェフベックの出演した時のがありませんでした。
そんなことを友人と話していたら、友人がサブスクのメンバーになり、Midnight Specialのチャンネル宛に「エピソード#118:ジェフベック出演の映像があるはずだから探して!」と言う趣旨のメールをダメ元で送ったら、なんと「よっしゃ!」というような返信が来たそうです。しかしまあ、あてにせず気長に待っていようと思っていたら、なんと2週間後に上がってきたのです!!すごい!!仕事早い!!!
1975年のジェフベック
この映像がまた、マニアにとっては味わい所がふんだんにある映像で、Blow By Blowツアー中であり、オックスブラッドを弾く一番脂がのっている時期のジェフベックを見ることができます。1975年のワールドロックフェスを見た人は、その4ヶ月前のジェフベックだということです。
Jeff’s Bookによると、その年の2月にアムステルダムで、ローリングストーンズのオーディション(ミックテイラーの後釜探し)があり、ジェフベックも呼ばれていったそうですが、そこでビリープレストンと一緒になり、ビリーがジェフベックのことを気に入って、「俺のTVショーに出ろ」見たいなことになったそうです。2月にはビリーがTV出演の手配をしたと書いてあります。
TV番組の内容
映像を見ると分かりますが、ビリーがホストで、数組のゲストを迎えるというような趣向になっています。そのゲストの一組がジェフベックとマックスミドルトンだったのです。TVは5/2の金曜日に放映されましたが、収録はその1ヶ月前、4月1日に行われたそうです。
他のゲストは、ルーファス with チャカカーン、など黒人ばかりで、ジェフベックは異質な感じです。緊張しているように見えます。番組の構成上の問題で、ジェフベックは、バラバラに3回出てきます。
「オープニング〜Nothing from Nothing」(ビリープレストンとの演奏)、「分かってくれるかい」「哀しみの恋人達」です。
一緒に演奏するメンバーは、Max Middletonの他は、Billy Preston、Ollie Brown、Buddy Miles、Willie Weeks・・・ウィリーウイークスとジェフベックの組み合わせは普通ないですね。
ビリーの曲でも、終始ジェフベックのサイドギターは良く聞こえていて、独特のバッキングが楽しめます。カメラワークも良く、ジェフベックの表情のアップや引き、手元アップなど、マニアが見たいところをうまく見せてくれます。
この映像でも良く分かりますが、いわゆるブルース的なギターとは全然違う指使いをしています。よく使われるようなポジションで弾いていなくて、変なところで開放弦を使っていたりします。本サイトの超マニアック考察の記事でも書いていますが、この変わった運指が独特のニュアンスになっているのかも知れません。
Youtube
しかし、友人のダメ元メールからこんな映像が出てくるなんて!世界中のジェフベックファンが狂喜乱舞して喜ぶのではないでしょうか。まさに伝説のお願いメール(笑)
ちなみに、この映像は、2024年6月現在、Midnight Special チャンネルのサブスクメンバーに登録(490円/月)しないと見ることができません。「Ep 118 – The Midnight Special Episode | May 2, 1975」というタイトルです。
残念なこと
非常に喜ばしい映像なのですが、ひとつ残念な事があり、「哀しみの恋人達」の一部で映像と音があっていないところがあります。この原因については、「Crazy Fingers」の本に少し事情が書いてあるようです。それによると、TVのプロデューサーが何らかの理由で4つのテイクを台なしにして、5テイク目にはジェフベックからやる気が失せていたということで、映像との同期に支障が生じたようです。