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おすすめセッション音源シリーズ

おすすめアルバムは何か?シリーズが意外と好評だったので、調子に乗ってセッション版を(笑)
ジェフベックは、自分のアルバムより人のレコーディングに入っている方が生き生きするという最近の噂(笑)がありますが、昔から自分のアルバムでは聴けないような名演がたくさんあります。
自伝などを読むとセッションでのレコーディングはとても多く、知らないレコーディングがたくさんあります。ですので、それらを網羅して選んでいるのではないことと、なにぶんこういうことは好みもありますので、その点を留意してご覧ください。
ただ、おすすめアルバムと同様に、なかなかどれが一番っていえないのです。セッションの演奏をひとつひとつ聴いていってもどれひとつとして、有り体なというかありがちな演奏がありません。ひとつひとつ特徴的でアイデアがあり、ジェフベック独特の演奏になっています。これは、毎回手癖で弾くのではなく、感覚を研ぎ澄ましてアイデアやインスピレーションを得て弾いているからではないでしょうか。そういうことが当たり前にできるのがジェフベックだと言えると思います。

「Lookin’for Another Pure Love」Stevie Wonder


すぐ聴ける名演ということでは、これでしょうか。Stevie Wonderの大ヒットアルバム「Talking Book」でジェフベックが弾いていると言うのは、マニアでないとご存じないかも知れません。この頃のジェフベックは、The Rock Guitaristって感じでしたから、一般的には、まずスティービーワンダーとジェフベックが結びつかないのではないでしょうか。・・・といっても、2022年現在では、ジェフベックって知らない人多数派なので、そういう話をしても「はぁ?誰?」とかなりそうですが(笑) ともあれ、マニアの皆さんはご存じのジェフベックが一番脂がのっていた、あるいはのりはじめていた頃の名演です。歌のバックでも独特のスライドやオブリガードなのか、バッキングなのか効果音なのか分からないようなギターを弾いていますが、真ん中辺りでソロが始まります。なんとも言えないメローで繊細かと思えば、時に無骨・・・いかにもジェフベックと言った素敵なソロが展開されます。こんなソロは、誰もしません。

この経緯については別のページで詳しく書いていますが、時期的には第二期ジェフベックグループの後期(1972年5月)です。ですので使っているギターはストラトと考えるのが真っ当ですが、どうもレスポールっぽい音がしています。しかもシングルコイルではないか?とすれば、この後、BBAになってからの11月にクリーム色のレスポールスペシャルを弾いている写真があるのですが、それかも知れません。どうでしょう?

[UPP」UPP

■[UPP」UPP
ブローバイブロー直前の時期ですが、UPPの1枚目2枚目は必聴盤です。もうジェフベックのバンドかと思うくらい弾きまくっており、しかも名演揃いです。アイデアがいっぱい浮かんでいたのでしょうね。それをUPPで試してBlow By Blowに臨んだ。そんな感じさえします。
UPPのメンバーの1人、故ジムコープリーは、Charバンドでドラムを叩いていました。当時、ベースが、これも故ポールジャクソンで3人でUPP時代にジェフベックと出会った頃のことを話しているYoutubeがあります(なくなったかも)。それによるとジムのお父さんが音楽関係の仕事で、自宅にプロユースのスタジオつくったそうで、そこに大物ミュージシャン、ストーンズやデビットボウイやが来ていたそうで、ジェフベックもその1人だったそうです。スタジオは2つあり、ひとつはジムのバンドの練習に使われていたそうで、そこに祝わせたジェフベックがジム達がやっていた音に興味を持ったそうです。

UPPのアルバムでは数曲弾いてどれも良いのですが、出色はこれではないかと思います。Give it to You。
このトーキングモジュレーターの面白い演奏は、ジェフベック自身のアルバムでも聴けません(3:40頃から)。
この会話しているような演奏は、ジェフベックのトーキングモジュレーターの原点だそうで、1950年代にピアノをトーキングモジュレーターで演奏し、少女と会話するような演奏(Sparky’s Magic Piano)があるのですが、それをファンク版にした演奏です。

*Upp – Jeff Beck – Give it to You

*ピアノと少女の会話。
Children’s Stories – Sparky’s Magic Piano

*ちなみにジムのソロアルバムではジェフベックが2曲演奏しています。
その1曲がこれ。普通のブルースですが、普通に弾かないところがジェフベックです。
“J Blues” by Jeff Beck w/ Jimmy Copley & Pino Palladino


Journey to Love/Stanley Clarke

Blow By Blowツアーで、Stanley ClarkeのPowerという曲がセットリストに入っていて、それがきっかけかどうか分かりませんが、その後スタンリークラークと親しくなったようです。

3曲目のアルバムタイトル曲Journey to Loveで素晴らしいソロを弾いています。こういうソロは、でまかせで弾くのか、ある程度考えて弾くのか分かりませんが、でまかせだとしたら本当に天才の域ですね。
ハーモニックス、アーミングで音程を弾く、低音弦を使ったオクターブのスラップ的な奏法、いきなりポジションが飛ぶ等ジェフベックの特徴が詰め込まれていてしかも美しい。名演の上位に来るのではないかと思います。自分のアルバムでもこんなソロはありません。
このアルバムでは、この曲の他にHallo Jeffというロックンロール的な曲でも弾いていますが、そっちの方はなぜか今ひとつグッときにくいソロです(笑)※個人的見解

Stanley ClarkeのアルバムにはModern Man (1978年)ではカー0間インアピスと共にロックンロールを(この演奏はカッコ良い)、I Wanna Play for You (1979年)では、意外なメンバー、スティーブガッドと3人でレゲェを演奏していますが、この演奏もカッコ良いです。

1978年、アルバムも出ていないのに突然来日しましたが、この時、Stanley Clarkeとそして、Simon Philips、Tony Hymasというメンバーでやって来ました。次の年、Simon Philipsは、Stanley Clarkeバンドのドラマーとして、Live Under The Skyに来日、さらにStanley ClarkeのNew Album「Rocks Pebbles And Sand」に参加します。その後、There and Backのアルバム制作時には当初Stanley Clarkeが参加しているという話もありましたが、最終的には入っていませんでした。

Stanley Clarke – Journey to Love

Stanley Clarke “Rock’n Roll Jelly”(1978年)

Jeff Beck w/ Stanley Clarke – Jamaican Boy (1979)

Saint & the Rascal/Narada Michael Walden

Blow By Blow以降、スタンリークラークを始めとしてジャズ系の人達と交流を深める中で、ワイヤードで超絶ドラムを叩いているナラダマイケルウォルデンのソロアルバムでギターを弾いています。

ナラダマイケルウォルデンは、マハビシュヌオーケストラのドラマーだったのですが、その後は、プロデューサーとして活躍し、マライヤキャリーやホイットニーヒューストンとしてヒットを飛ばしました。
ジェフベックの2010年ジャパンツアーにはドラマーとして来日。

1976年当時は、ヤンハマーグループとジェフベックのツアーに同行するカタチで、トミーボーリンバンドがツアーをしていたのですが、そのドラマーでした。トミーボーリンがなくなったのはそのツアーの最中です。ナラダマイケルウォルデンは、トミーボーリンのアルバムでもカッコ良いドラムを叩いています。

この曲は、当時のジェフベックの勢いや匂いがとてもよく出ていると思います。ソロは、テイク1だったのではないかと思われるような、行き当たりばったりの出たとこ勝負感満載で、ジェフベック以外では考えられない展開です。この無理矢理な感じが何度聞いても味わえる味です。

Saint & the Rascal/Narada Michael Walden

ジミ・ヘンドリックスのトリビュートアルバムで、いろいろなミュージシャンがジミヘンの曲を演奏しているもので、その中の一曲。歌手のシールと演奏しているものです。

とにかくすごいとしか言いようがない。何が凄いかと言えばその演奏のに込められたエネルギーではないでしょうか。どんなメタルバンドの演奏もこのジェフベックの一本にギターのエネルギーには敵わない。そんな演奏です。
単に音が歪んでるとか音量がすごいとかそう言う事ではなく、ドライブ感や表情、フレージング、どうやって出しているのかわからない奇抜な音、間、それらが疾風のように吹いて来て巻き込まれます。この表現の豊かさこそジェフベックのギターのエネルギーの高さなのではないかと思います。聞いているこちらも緊張して構えてしまいます。単に歪んだ音でフレーズを弾くと言うのではなく、ひとつひとつの音に微妙な表情があります。そのひとつひとつと連続も他にはないものばかりです。数分の演奏の中にこれだけのニュアンスを込められるギタリストをジェフベック以外で聴いたことがありません。

この演奏は、このアルバムの中で間違いなくハイライトで、むしろジェフベックのために企画されたトリビュートではないかと思わせるほどです。奇天烈な音やフレージングを発しながら、一息つくところで、いかにもジミヘンと言ったフレーズを盛り込んでくるセンスもさすがとしか言いようがありません。この演奏は1993年ごろですが、これ以来、ジェフベックは自分のコンサートでもリトルウイングなどジミヘンの曲を演奏しています。

ジェフベックとジミヘンの交流は第一期ジェフベックグループ時代のアメリカツアーの時にシミと夜通し遊んだと語っていました。一晩中乱痴気騒ぎをするので参ったと言ってました(笑)物静かなジェフベックらしい。ジミヘンは当時、In From The Stormの最後でジェフベックグループのRice Puddingのリフを付け足して弾いていました。いろんなライブで聴くことができます。

話がそれましたが、このトリビュートアルバムの演奏は、後半のボーカルの掛け合いのセクションではジェフベックの合いの手ギターの真骨頂炸裂です。シールの語り歌にあの手この手で合いの手を入れますが、こう言った演奏もジェフベック以外では聴くことができない。ほんとに唯一無二のギターです(でした(T . T)。

1回くらい聴いただけでは演奏を堪能できないくらいの濃厚な味、もう1回聴いてみてください(笑)

このアルバムは、ポールロジャースがジェフベックのギターを聴きたいから作ったと言う噂?があります。1993年なので、1999年にWho Else!が出るまでの沈黙の10年の時期です。ジェフベックは3曲参加しており、そのうちのひとつがこれです。

ビートはあるものの静かな曲で、ジェフベックのギターの息遣いが聞こえてくるような味わいがあります。ソロの展開はこれまたジェフベック以外にこんな展開をする人はいないだろうと言う独特のしかもスリリングなソロです。ゲストで参加してもまったく手を抜かないばかりかジェフベック節全開(まあ、それを求められて呼ばれているんでしょうが)です。

このアルバムの制作は、スタジオセッションをしたのではなく、ベーシックトラック(ドラムはジェイソンボーナム)をそれぞれのギタリストに送って入れると言うやり方で作ったそうですが、最後の方の合いの手なんかスタジオで一緒に演奏しているかのような息ですよねぇ。

ちなみにこの曲は、ブルースの定番曲で大昔からいろいろな人がいろんなアレンジでやっているので、彼らにとっては面白い曲なのだと思うのですが、歌詞を見ると単純すぎて何を歌っているのかよく分からないところがあります。きっとスラングや英語圏、ストリートでのニュアンスが含まれていて、ニヤニヤする内容なのだろうと想像しているのですが、その辺を解説してくれているサイトもありません。この曲が生まれた時代のlittleの意味するところがキイなのかと思いますが。特にブルースやロック、ジャズなどの歌は英語圏で生まれ育たないと分からない意味やニュアンスがあるので歯痒いところです。