ジェフベックのギターが他のギタリストと決定的に違う要因のひとつにしゃべるように弾くというのがあると思います。よく歌っているとも言われますが、ボーカルの合いの手のリックなどは、「はーよいよい!」みたいなまさに合いの手のようです。
Where Ware Youのハーモニクスやアームによる人の声のような演奏が注目されましたが、ジェフベックがギターにしゃべらせる、またはギターでしゃべることの探求はかなり昔からあります。
ヤードバーズかもしくはそれ以前から弾く前にグリッサンドでブーンとやるのも、ある種「Hey!」みたいなかけ声のようなものです。
ジェフベックのプレイとしてはもう当たり前ですが、そういう事をするギタリストは意外と少ないです。というかジェフベック以外ほとんどいないような気がします。
第一期ジェフベックグループ時には、I Ain’t Supersutitiousのワウワウが特徴的です。ロッドのボーカルに応えるように、まさにしゃべっているような演奏です。時代的にはワウワウが誕生して間もない頃ですが、すでに単なるワウワウではない使い方をしていたわけです。
第二期ジェフベックグループでは、Definitely Maybeでのソロが特徴的ではないでしょうか。ワウワウを駆使して歌手が歌っているかのような表情豊かなソロをしています。また、Got The Feelingのサイドギターをよく聞くと、ワウワウでなんか変な(笑)叫び声のような音を出していますし、Situationでも叫び声のような音があります。
BBAになるとトーキングモジュレーターでもろにしゃべっていますし、歌詞を言って歌っています。BBAのライブを聴くとブルースで歌詞を歌ったり、演奏が始まる前に客に呼びかけたりしています。
Blow By Blow前のUPPではトーキングモジュレータの実験的演奏がたくさん聴けます。Give It To Youでは、トーキングモジュレーターと普通のギターの掛け合いみたいな演奏がありますが、トークだけではなく対応するギターの演奏も非常に会話的です。Friendly Streetでは言葉でリフをBad Stuffでも歌詞を歌っています。この時期を経てBlow By BlowではShe’s A Womanではビートルズの歌詞を歌っています。面白いのはUPPのアルバムの方が盛んにトーキングモジュレーターを使っていることです。
Blow By Blowツアーでは、BBA時代にやっていたSuperstitionをトーキングモジュレーターのボーカルで演奏していました。もちろんShe’s A Womanはヤンハマーとのライブでもしゃべっていましたね。Do You Feel Alright?というのはBBA時代からやっていました。
その後は、ピックを使わなくなってことで、より人の声的な演奏が増えてきました。そしてWhere Ware Youに行き着きます。
ピックを使わない演奏になってからは、そういう感覚的なプレイが増えたことで、他のギタリストとはまったく世界観の違う演奏スタイルになっていきました。もうまさにギターで歌っている、話している感じです。
これは、ギターのフレーズだけでなく、ジェフベックの間も大きく関与しています。この間も人の声的な演奏を生み出す大きな要因の一つだと思います。常に一定のリズムで弾くのではなく繰り返しのメロディでも毎回アクセントや間が違います。「そこで一息置く?」みたいな時もありますしソロなどでは「そこで弾かないの?」みたいな間もあります。その辺の法則のなさがジェフベックの演奏を人間くさく味わい深くしていると思います。
