?> Sound(Play Style) | ジェフベックの茶飲み話サイト。

Sound(Play Style)

[ジェフベックのプレイはタッチの差だ]

とても豊かな表情を持つベックサウンドの秘密、
それは独特のタッチとギターコントロールの素晴らしさにあります。

指弾きで神の境地へ

There And Backあたりまではまだフラットピックで弾いていたようですが、その後は指で直接弾くスタイルです。フラットピックを使っていた時代でもしょっちゅうピックを口にくわえて指弾きをしていました。指で直接弾くというのは、ジャズやカントリーの人には多いですが、ロック界では少ないと思います。マークノップラーは有名ですがほかではデュアンオールマンなどスライドを弾く人は指弾きが多いとおもいますが、歪み系でガンガン弾くタイプではベックくらいじゃないですか。あっ、ジョニーウインターもそうかな。いやあれはサムピックですね。

で、指で弾くようになってからは、やはり指で弾くスタイルでないと弾けないフレーズがたくさんあります。特に微妙な動きをするトレモロアームとの連携は、フラットピックを使っていてはできないものです。実際ライブを見るとベックもトレモロアームを小指と薬指で抱え込むようにして持ちながら、親指人差し指でフレーズを弾きながらアームをかけるというようなことをしています。

その他にも指によるピッキングは、より繊細な表現はしやすいようで何かのインタビューで語っていました。ベックの場合、指でも場所や弾き方での使い分けをしているようで、指の腹でソフトに弾きながら音の歪みや立ち上がりをコントロールする(ポールロジャースのアルバムの演奏など)場合やハードなリフなどは親指の爪の横のあたりを使いピッキングノイズをコントロールしながら弾いていると思います。いずれにしても一つのフレーズの中でも、歪み、立ち上がり、ミュート具合など様々なコントロールを入れながら弾くのがベックの特徴です。

最近のビデオを見ると音はギンギンの音なのですが、ブリッジの方に手を固定してクールに弾いているので、ギターに手を当てているだけであの音がでてくるような、何か神がかった感じさえしていました。

頻繁なボリューム操作。

ボリュームを微妙にコントロールするのもジェフベックの特長です。その目的は、アンサンブルでのバランスというより、歪み具合のコントロールに重きが置かれています。歪み具合と指のタッチで微妙な音の立ち上がりやサスティーンを出します。特にスローな曲、ワイヤードの「グッバイポークパイハット」や「ラブイズグリーン」、ギターショップの「Behind The Veil」、ライブウィズヤンハマーグループの「SHE’S A WOMAN」、またポールロジャースとのセッション「MADDY WATERS」などもジェフベックならではの妙技が聴かれます。昔のインタビューでもアンプのセッティングに非常に気を遣うというようなことを言っていました。

トーンコントロール

同じようにトーンコントロールも良く動かしているみたいで、ピッキングのアタックや高音の出方をコントロールしているようです。通常ストラトのトーンはフロントピックアップにしか効かないのですが、ある時期リアにも効くようにしてあるようなことを語っていたように思います。ゼアアンドバックの「ファイナルピース」では、トーンによる操作がよく聴けます。前項のボリューム操作もいわば、トーンのコントロールのための歪み具合の調整なので、ジェフベックがいかにギターのトーンにこだわっているかが分かります。
また、トーンコントロールだけでなく、ピックアップスイッチのポジションによってもトーンが違ってきます。通常ギタリストには癖があって割と使うピックアップは、決まってくるようですが、ジェフベックの場合はストラトもレスポールも各ポジションとも使い分けているようです。しかし、あえて言えば、通常あまり使われる傾向の少ないストラトのミドルやレスポールのミドルのポジションもよく使っているようです。ジミヘンは、ミドルをよく使っていたようですが、ジェフベック自身、ジミには刺激を受けたと言っているので、あの野太い音の影響を受けているのかも知れません。最近(1999年)は、リアの使用が多いかも知れません。よりソリッドでクリアな感じですね。

トリル

トリル(ハンマリングオンとプリングオフの繰り返しでタリタリタリタリとやるやつ)は誰でもよく使うのですが、ジェフベックの場合他のギタリストと決定的に違う特色を持っています。それは、キイのベース音と半音高い音、あるいはベース音と半音低い音のトリルです。これをやっているギタリストは、聴いたことがありません。一般的によく使われるのは、ベース音と1音下がった7th、あるいは5thと7thなどですが、こういった何でもないようなところで、個性が光っております。
また、トリル(的な音)をハンマリングオンとプリングオフを使わず、フィンガリングでやるときも多く、カントリーの影響が伺えると同時にジェフベックの強烈な個性の一つとなっています。さらに、トリルの速度が異常に速いのも特長です。普通の人なら指が吊りそうになります。

*関連記事:ジェフベックのスライド奏法