トーキングモジュレータ制作記

 ジェフベックで何が憧れたって、トーキングモジュレーターほど憧れたモノはありません。マウスワウワウとも言いましたが、あの変な音と見かけの異質さやダサさが、異常にかっこいいでしょう。高校生の時、(BBAライブ発売の後くらいかな)ライトミュージック誌に「トーキングモジュレーターの作り方」がのっていたのです。おおざっぱにいえば、ジョーゴのようなものを調達してスピーカーの前に被せ、密閉してそこからホースをひっぱりなさいというものでした。確か、ベックのとは違って箱に装着するようになっていましたね。やりましたがな、さっそく。

 まず調達すべきは、ジョーゴ。そもそもしょうゆやみりんや酢などを大瓶から小瓶に移すためのもので、その頃でももうジョーゴなんて一般生活では使っていなかったので、結構探しました。それで、町の荒物屋みたいなところで手頃なサイズのものがあり買い求めました。しかし、薄いアルミ製(表面にコーティングしてあって金色をしている)で、先の穴も小さく、なんかたよりなく感じましたが、これがなくては始まりません。さらにもうひとつの要、ホースを探さなくてはいけません。ところが、今のようにホームセンターやましてや東急ハンズやロフトがあるわけではなく、さんざん探して(別に人里離れた田舎ではありません、神戸です)ついに透明のホースを見つけました。サイズがいろいろあったので、太さによってサウンドも違うだろうと、2種類ほど買って帰りました。それで、家に用意してあった12センチのスピーカーをセットしたなんかの木の箱にまずジョーゴを当てがってみましたが、これがぴったり。第一段階OKです。それでホースにあわせてジョーゴの先を切り、さていよいよスピーカーを当時ギターアンプにしていた安物のステレオにつなぎました。さて効果はいかに。これがまた、良くなるんです。安物のステレオはほどよい歪み具合で、その音をマイクで拾うとまさにスーパースティッションのあの音になったのです。これはさっそく人に聴かせなければならないと適当なブルースのバックを録音し、それに被せる形で(当時は2台のテレコで音の悪い多重録音をやっていました)ワウワウ、ジョジョジョジョとやり、友達に聴かせて少しインパクトを与えました。

 しかし、問題点がありました。やはり、安物のステレオでは出力が小さく、かなりマイクにへばりつかないと目的の効果が得られません。実際の演奏で使うには、相当な出力が必要だと言うことが分かりました。しかし、そうなるとその辺の安もんスピーカではせいぜい5Wか10W、しかも、ギターアンプから直接突っ込んでピークの大きいギターをならすとなると普通のオーディ用では飛んでしまいます。ウ〜ム。なかなかうまいこと行かないものです。当時私の周りには、そんなものについて詳しい人も居ず、適切なアドバイスを得ることはできませんでした。その後、試行錯誤の末、もっと容量の大きいフルレンジスピーカーに専用アンプをつけることで実用に近くなりましたが、結局使うチャンスはありませんでした。ベックのようにホースにぐるぐるとビニールテープをまいたりもしたんですけど(この辺り超マニア)。

 雑誌ロッキンエフに連載されていた「自作エフェクター講座」(私はコレでオクターバーとリングモジュレーターを作りました。オクターバーは、結構良くできて、ベックのようにバイパスを設け、今でも充分使えます。)でも一度取り上げられていましたが、それはドライバー部だけを使うタイプなので、ベックのように低音の効いた太い音は得られないのではないでしょうか。その後マクソンから出ていましたし、現在では、確か石橋楽器のオリジナルで結構安くでていますが、いずれもドライバー方式だと思います。ベックのようなサウンドをえるには、やはり10cm以上のフルレンジスピーカーが必要なんじゃないかな。

 当時、フラワートラベリンバンドの石間秀樹氏が使ったと書いてあった他は、クリエイションの竹田和夫氏くらいしか使っていなかったと思います。

 ちなみに、海外では(他のコンテンツとだぶりますが)、まずTVで見たスティービーワンダーの演奏。これが何の番組だったか憶えていないのですが、クラビネットにトーキングモジュレーターを通 していて、これがもう死にそうにカッコヨカッタ。ベックのも確かスティビーにもらったと書いてありました。他には、ジョーウォルッシュの「ロッキーマウンテン・ウェイ」、リックデリンジャーの「ティーンエイジ・ラブ・アフェア」これらはベックと同じようなサウンドです。そしてデイブメイソンの「情念のライブ」の中の「ゴーイング・ダウン・スロー」(ドンニックスのナンバーとは別 物)でのジムクリューガーの演奏は、ちょいと細目の音ですが、スティービーに匹敵するくらいかっこいい演奏です。ピーターフランプトンの「ショーミーザウェイ」は、全然いいと思いませんが大ヒットしました。
とにかくトーキングモジュレーター、しびれるアイテムです。


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よう残ったわ、こんなん。
左の記事が載っているのは、ライトミュージック昭和49年6月号.。表紙は、シールズ&クロフツでした。この雑誌は、ヤマハさん(財団法人ヤマハ音楽振興会)が発行していたんですね。その割には、他の楽器メーカーの広告も載っています。しかし、一番目立つ表4(裏表紙)はやっぱりヤマハ。

2000.1.15