それってアリですか?

 外人のやることはすごいと単純に思います。よく日本人は個性がないとか言われますが、それ本当という感じは強いですね。外人さんのやることは、びっくりします。特にロックの歴史をたどってみれば常識外れのことをやって革新を起こしてきたことがいっぱいあります。

 そもそもロックギターの「歪んだ音」自体が、ロック以前なら”雑音”ですわ。ベックのフィードバック奏法も出してはいけない言ってみればミストーンのようなものだし、チョーキングも反則的行為だし、変則チューニングに至ってはあきれてものも言えません。オイオイ、チューニング変えるなよ!ハーモニクスにしても本来「それはチューニングの時」です。コードにしてもディミニッシュや-5など(これはジャズの場面ですが)も本来なら不協和音という雑音だったはず。場面は違いますが、ヒップホップの「スクラッチ」なんか、ホント感動モノです。あんなことを音楽にしてしまう感性に乾杯!要するに形や既成概念にとらわれず「グッと来ればOK」的な柔軟さがすごい。これは決してヤングだけではなく、おじいちゃんでも向こうの人は凄いですね。レスポールなんかいい例ですね。この方の革新は並ではありません。ギブソンのレスポールモデルに始まって、マルチトラックレコーダー多重録音、エフェクターなど、今のロックがあるのもこの方のアイデアのおかげです。

 憂歌団の内田勘太郎氏がTVでエルモアジェイムスについて話していたとき、コピーしてもどうしても同じサウンドが出ず、ある日これは変則チューニングだということを知って「それってアリですか」と思ったと話しておられましたが、この言葉非常に気に入りました。ベックの演奏もまさに「それってアリですか」の感動ですわね。大胆な発想は、日本人でも結構するのですが、実行できない、あるいは、今までなかったことを認めない環境というか体質があります。今でも結構そうでしょう。

 最近読んだ話で、あるミュージシャン(この方はもう世界的な活躍をされている)がバークレー音楽院のテストを受けたときのこと。受験当時、その方はほとんど譜面が読めなかったそうです。しかし、どうしても入りたかったので受けさせてもらい、試験も譜面が読めないため手取り足取りでの演奏だったそうです。しかし、演奏内容が良かったので、受かった。その試験官が言うには「譜面なんて入学してから勉強すればいいよ。大切なのは、気持ちと感性だ」。歴史的背景が違うとはいえ、懐の深さを感じる話です。もちろん日本にも一部には、そういったスタンスの方がおられるでしょうが、大半の学校は権威主義の体制が抜けていないのではないでしょうか(何の情報もないので、これは今まで見聴きした私的推測です)。

 そうそう、日本のミュージシャンでもがっかりさせられたたことがあります。

 古い話ですが、某一流ジャズフュージョンギタリストのKW氏(実は、私自身結構ファンなのです)の有名プロジェクトで「○○○ライブ」(鋭い方ならピーンと来ているかも)。六本木のピットインでの大所帯のライブなのですが、これがドラムのP氏ほかそうそうたる面子で、演奏もとても良く、聴いた当時は、さすがすごい、日本でもこんな演奏をする人たちがいるのだなと感心していたのです。しかし、しかし、後年ブレッカーブラザーズの「ヘビーメタル・ビバップ」を聴いたとき、その感動は一瞬にしてただの記憶に成り下がってしまいました。「ヘビーメタル・ビバップ」は、ブレッカーブラザーズを中心にした大所帯のバンドのライブで、ドラムがなんとテリーボジオ。この録音は「○○○ライブ」より古いのですが、このサウンドがクリソツ。まねをしたとしか思えません。特にP氏のドラムなんかもフィルインが小節の頭を越えてつながる斬新なもので感動していたのですが、これまたテリーボジオのそれなのです。日本の第一線と言われるミュージシャンでしてこのザマかと思いましたね。感動させといてがっかりさせられて、これ違う意味で「それって、アリですか」ですわ。

(ひょっとしてこのレコードのジャケットには、余興でブレッカーブラザーズのを真似てやってみましたよ的なクレジットが入っていたのでしょうか?入っていたのならごめんなさい)


THE BRECKER BROTHERS

「Heavy Metal Be-bop」

テリーボジオの凄いドラムが聴けます。

1999.10.13