ジェフベックは、人間の生理である。

 音楽とは何でしょうか。音楽を形成する3要素、リズム、メロディ、ハーモニー。元来それは、人間が生活する中から自然にわき出てきたのでしょう。生活の中にある様々なリズム、言葉や物音などの音階から感情や状況がメロディに、そして仲間がよればその話し声や笑い声が心地よいハーモニーとなっていった。そんな感じで音を楽しみながら音楽となっていたんじゃないかと思います。だから、私は、音楽は、人間の生理に基づいているんだと思います。ところが、社会が進んでくると、そんな音楽にも「雑音」が入り始めます。商品としての音楽、ファッションとしての音楽、あるいはアートとしての音楽、教育のための音楽・・・・生理的にあるいは心の底から音を楽しむのではなく、社会生活を営むために、極端に言えば打算の入った音楽が増えてきます。そして時には、そんな音楽のほうが、生きるため、社会性を高めるためには都合がよかったりするものだから、どんどん勢力を高めていきます。音楽を聴く方にも演じる方にも本来の音を楽しむ情動を忘れてしまうほど「雑音」が入っていたりします。

 私が、JEFF BECKに惹かれるのは、そのギターが極めて生理的だと思うからです。感覚的とか情緒的とか言われますが、私は生理的、五感的を使いたい。おいしいとか美しいとかより、時間がたてばおなかが減るし、ウンチをすればすっとする。そういった人間の生理の営みを刺激する音のような気がします。だから。気持ちいい。

 JEFF BECKのギターは、他のギタリストに比べて異質な感じがします。しかし、それは他のギタリストたちが先に言ったところの「雑音」を含んでいるからではないでしょうか。よーく聴くとベックのフレーズは、ことごとく音を楽しんでいる。こんなのはどうだ、それこいつが気持ちいい、そら、一発! ってな感じで、変な格好つけや打算や社会性による雑音というのがほとんどないんですね。とぎすまされている。一般的に(妙なことですが)純粋なものほど、変に見えるもんです。純粋な人、純粋な野菜、純粋な絵、純粋の極みである赤ちゃん。人間社会というのは、「雑音」にまみれています。JEFF BECKにしても「雑音」が入ると FLASHになったりましましたね。しかし、 GUITAR SHOPでは、さらに生理的純度が増したように思います。

 JEFF BECK のギターが今も昔も変わらず、常に刺激的なのは、こういった音楽の普遍性(生理に基づいた音の楽しみ方)が研ぎすまされているからではないでしょうか。音楽のスタイルこそ変遷しても、ギターは常にJEFF BECK。いやあ、JEFF BECKって本当に気持ちいいですね。快感です。すがすがしい。そうでしょ、これって人間の生理だからです。

2000.2.27