ジェフベックを嫌いな人。

 ジェフベックは、究極のロックギタリスト、彼の右に出るものも左に出るものもいない。すべてのギタリストは、彼にひれ伏し、真実のロック好きなら、ジェフベックを好きにならないわけがない・・・などと私なんかは思うわけですが、しかし、人間には「好み」というわがままな個性が存在するわけで、その対象としてはジェフベックとて例外ではなく、「ジェフベックを忌み嫌う人」という人も存在するようです。

 まあ、忌みというのは、オーバーですが、嫌い、もしくはどうでもいい、というロックファンは結構います。っていうかぁ〜、もともt不思議なことにジェフベックのピュアなファンというのは、結構少ないんじゃないかと言う気もします。くせが強いだけ、好みが分かれやすいと言うことはあると思います。その割には、チケットはすぐに売り切れましたけどね。びっくりしました。
ジェフベックを嫌いな人はいます。やはりあの唐突で普通じゃないギターがいやなようです。特にボーカリストの人に多いんじゃないかと勝手に推測します。なぜかというと、私のまわりで強烈に嫌っていた人は、こてこてのソウル(ゴスペルとか)ボーカリストで、その理由を探ってみると、ボーカルの本質にまっこうからぶち当たるような気がします。

 一般的に、歌バンドというのは、歌がありそのバックグランドとして楽器演奏があります。ところが、ジェフベックの場合、そのポジショニングが崩壊している。もっと平たく言えば、歌いやすいギター演奏をしないということだと思います。歌のバックでも、平気で「ギャ!」ってアクセントを入れたりしますし、ボーカルが入るために盛り上げたりと言ったアンサンブルの定石的なことをしません。あくまで、音楽の緊張感優先です。だから、ジェフベックのバンドの場合、ボーカリストは、ギターと格闘を演じなければなりません。第一期などは、それが売り物だったのですが、それでもロッドともめていました。ベック自身、「ヤツもやりにくかったろうよ」と言っているくらいですから、確信犯ですね。同様のユニットであるレッドツェッペリンでは、ジミーペイジのギターはあくまでバンドの構成要素の一つとしてのギターであり、ボーカルの邪魔をしません。
ポールロジャースがベックを褒め称えていますが、それは外側から見た場合で、バンドとして共存するとなると話は別だと思います。第二期のライブなんかを聴くと、ボブテンチは、よくあんな演奏で歌えていたなぁ、と思うことがあります。BBAなんかは、ボーカリストが演奏者でもあるので、インストルメントのひとつぐらいに考えていたんでしょう。

 よく言われることですが、ベックのギターがボーカル以上の表現力をもってしまうので、個性的なボーカリストが2人いる状態になり、だめなのかも知れませんね。また、音楽のスタイルを重んじるボーカリストや演奏者ほど、嫌う傾向が強いような気がしますが、いかがでしょうか。
その他に嫌いな人は、あのアブノーマルなギターが肌に合わないようです。変なフレーズやギミックなどを面白いと感じないんですね(洒落心の分からん野暮、などと思ったりもしますが、それは人の好み)。逆にベックファンというのは、ほとんどがそういった「変さ」が面白いわけです。人によってその度合いは違いますので、一般的にそれを「変さ値」などと言ったりしますが・・・チャンチャン。

 ま、いろいろメールをいただきますが、ベックフリーク度が高いほど、たこつぼ的に好み嗜好考え方が似てきますね、ほんと、びっくりするくらい(今回のWho else!やツアーの感想も驚くほど似ている)。
 嫌いな人の好みを聞いてみると音楽をスタイルで聴く傾向が強いようです。ミュージシャンや曲より、テイストやスタイルを優先させた聴き方。それはそれで、ひとつの聴き方です。音楽に緊張感より、安定的な味を求める、そういう傾向があると思います。
 その昔、ワイヤードを「ただの雑音、うるさいだけ」と言い放った、日本のギタリストもいました。ま、BGMにするにはクセがありすぎるというところはあると思うので、好きか嫌いかどっちかなのかも知れませんね。
 まるで、ラーメンチェーン「天下一品」の、こってりスープのようです。関係ないか。

 
1999.12.12