ゲイリー・ムーア
GARY MOORE

ジェフベック以外では、この人の根性の入り方も好きだ。

 確かゼアアンドバックの頃だったと思いますが、ジェフベックがインタビューの中で、「最近の若いギタリストを聴きますか?」という質問に「ゲイリームーアなんかはいいねぇ」というようなことを答えていたことがあったのが、私がゲイリームーアを聴くきっかけになりました。
 その時は、名前しか知らず、シンリジィに入ったや脱退したやの話題や、雑誌でヒョウ皮を張ったギター(関西のオネーチャンが喜びそう・・・)が紹介されていたりで、なんだそういうヤツなの?という印象を持っており、特に興味を持って聴くこともなく見過ごしていたのです。

 そんなときに偶然コージーパウエルの第1弾ソロ「OVER THE TOP」を聴くことがありました。 コージーは言わずと知れた第二期JBGのドラマー。コージー興味で聴いたこのアルバム、2曲目「Killer」で耳が釘付け?になりました。
 この曲は、シャッフルのインストという非常にジェフベック的な曲(実際ジェフベックが弾く予定だったらしい)なのですが、ジェフベックこそいないものの、そこからはジェフベックに負けないくらい非常に気合いの入ったギターが聴こえるではないですか。で、これは誰かと尋ねたら・・・あら、ゲイリームーア、ゲイリームーア・・・。そうか、こいつがそうなのかということで、のっけから気に入ってしまった次第なのです。聴かず嫌いは損をしますね。

 それをきっかけに他のアルバム等も探したのですが、ちょうどソロアルバムを出した頃だったようで、ソロやコロシアム2、G-Force(当時は手に入りにくかった)も手に入れました。このアルバムでも当時音楽雑誌(ヤングギターかなんか)のラジオCMに使われていて、カッコイイのになんの曲か分からなかった「YOU」を発見し、一気にゲイリー熱が高まりましたね。
 そうしているとニューアルバムが発売され、うまい具合に来日。しかもドラムがイアンペースときた日にゃ行かない手はないということで、気合いの入った演奏を生で見れて、ゲイリームーアは私の好きなギタリスト・ランキングの上位 に躍り出たのでした。来日公演は、ソロアルバムの「Hurricane 」(ハイスピードのシャッフルインスト)やコージーパウエルの2ndソロ「Tilt」に入っている「Sun set」なども演奏され、非常によいコンサートでした。
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 この人のギターは、ジェフベックのように唐突ではなく、むしろオーソドックスなハード&早弾き系かも知れません。しかし、情の深さ?というか情緒の
熱量 が尋常小学校ではない。なんかたまらん感じの情感があります。相当な早弾きで、もちろんそれが魅力の一つではあるんですが、この人の個性は「泣き」(鳴きなのかな?)ですね。マイナーで湿っぽい泣きにかけてこの人の右に出るものはないといっても過言ではありません。
  で、その泣きのポイントは、タメとコロガシ?ですね。盛り上がりの場面 でググーッっとためたかと思いきやボロボロボロ(大粒の涙がこぼれるように???)と早弾きをころがす。この緊張と緩和が、えもいえない快感と情感を生み出します。これは、こぶしですねこぶし。ほとんど演歌の世界です。ヤだねったら、ヤだねェ〜〜〜〜・・・全然イヤじゃないんです。大好きなんです。 ここしばらく続いたブルースばっかりのヤツでは、ブルースの割にはちょっとハード過ぎるなという気がしないでもないですが、”泣き”は病みつきなります。
  私は意外に感じるんですが、この人はピーターグリーンを師匠のように崇拝しているんですね。ピーターグリーンってもっと渋い感じですけどね。

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*ピーターグリーンについて
  このギタリストも私のランキングでは上位にいるのですが、何と言ったらいいのか分からない独特のひきずった感じの弾き方をする人。いや、していた人です。古いロックファンには、ジョンメイオール&ブルースブレイカーズからフリートウッドマック、ブラクマジックウーマンの作者としてつとに有名なギタリストですが、若いファンの方は知らないでしょうね。 長いこと引退(ドロップアウト?)していて、最近復活ライブなどもしていますが、昔とギターのニュアンスがちょっと変わってしまっています。休業したり復活したりでなかなかうまくいかないようですが、ジョンメイオール&ブルースブレイカーズ時代の「The Stumble」は、名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演中の名演です。
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  影響が伺えるかどうかは別にして、ゲイリームーアは、ピーターグリーンをこよなく愛しているし、慕っているということです。実際、ギター(レスポール)ももらったらしいし、元々フレディキングのオリジナルだけれどピーターグリーンで有名になったThe Stumble(ジェフベックもTWINSのサントラで演奏している)なども演奏しています。

  ジェフベックのゲイリームーア観は、冒頭の通りですが、ゲイリームーアにとってジェフベックはどんな存在なのでしょうか。これは、ゲイリームーアのライブCD「We Want Moore」を聴けば分かります。その中で、ジェフベックのレパートリーであった「Shapes Of Things」をジェフベック以上にかっこよく演奏しているのですが、その中程でStar Cycleのリフ(テーマではありません。リフですリフ。あのシーケンサでやっているフレーズ)を少し弾いています。また、最新アルバムの中で、ヤードバーズのレパートリーでもあった「I Ain't got you」を演奏しています。

 最近のインタビューでは、ゲイリームーアの子ども(子どもがいたんですね)がポケモンファンで、日本に行くというとポケモンのおみやげをせがまれて困ると目尻をさげていました(実際見たわけではないが)が、根性と気合い(一緒か)の入ったギターで、まだまだワクワクさせてくれるギタリストのひとりです。

とまあ、ゲイリームーアだけ随分詳しく、テキストが多いのですが、それだけ素晴らしいギター弾きだと思っているわけで、聴かず嫌いの人にはぜひ聴いて欲しい。ジェフベックが好きなら、共通 項は多いと思います。 まだまだ書きたいことはあるのですが、また気が向いたら追加する予定です。


<ゲイリームーアの名演 >(発表順不同)

Back On The Streets(1978)
Don't Believe a Word/ Fanatical Fascists/ Flight of the Snow Moose Hurricane /Song for Donna /What Would You Rather/ Bee or a Wasp Parisienne Walkways
サイモンフィリップスのページでも紹介していますが、ゲイリームーアのソロ1作目。シンリジーのフィルリノットも参加しており、有名な「パリの散歩道」の収められています。粗削りながら、私はいいアルバムだと思います。カッコイイのは、やはりジェフベック調?ハイスピードシャッフルの「Hurricane」かな。でも他のもいいです。確か、ベースはモフォスター(ゼアアンドバック参加)じゃなかったかな?(未確認)。モフォスターのアルバムにもゲイリーが参加していたりもします。勢い、繊細さ、情感など、表情豊かなゲイリームーアのギター聴けます。惜しいのはドラムの音がイマイチなことです。このアルバムは、今ではいろんなジャケット写 真のものがありますが、私は、発売当初のこれが一番好きです。ちなみに大勢の観衆の前でのけぞって弾いている裏面 の写真もグッドです。

WAR DANCE (Colosseum II)
このバンドのことはよく知らないのですが、時代の流れか、ジェフベックが先鞭をつけたロック&フュージョンのインストアルバムで、ゲイリーのスパーテクニックが光りまくってます。これを入れて、3枚くらいあると思います。ハードロックベースのギタリストと思いきや、こんなにテクニカルなギターが弾ける、その奥行きの深さに脱帽です。しかし、コロシム2はドラムがイマイチ。でも、確かバンドリーダーだったんじゃないかな?????なので、なんだか一生懸命聴く気がしないという残念なバンドです。(でもこれは私の好みの問題かも)

G-Force(1980)
You /White Knuckles / Rockin' and Rollin' /She's Get You /I Look at You / Because of Your Love/ You Kissed me Sweetly/Hot Gossip /The Woman's in Love/Dancin'
シンリジーを辞めた後だったかにちょこっとやっていたバンドですが、なかなか良いドライブ感をもったロックバンドです。出色は、やはり「YOU」でしょうか。

Corridors Of Power(1982)
Don't Take Me For A Loser/Always Gonna Love You /Wishing Well/Gonna Break My Heart Again /Falling In Love With You /End Of The World / Rockin' Every Night/ Cold Hearted /I Can't Wait Until Tomorrow
ゲイリーが本格的に活動しだした最初のアルバム。この時にソロで初来日しました。初回盤は、ライブ盤の「パリの散歩道」の12インチシングル(まだレコードの時代)がおまけでついていましたが、これがまたグッドな内容でした。

Black Rose(Thin Lizzy/1979)
Do Anything You Want to Do/Toughest Street in Town /S &M /Waiting for an Alibi /Sarah /Got to Give it Up /Get Out of Here /With Love /Black Rose (A Rock Legend/Roisin Dubh)
ゲイリームーア参加時のシンリジーのアルバムで、全編ゲイリームーアのギターが聴けますが、ここではタイトル曲より、ちょっとスウィートなポップス調の「Sarah」を押したい。というより、あえて私はこの曲だけでもこのアルバムの価値があるくらい素晴らしい間奏が聴けます。曲名のサラというのは、故フィルリノットの愛娘の名前だそうで、それを反映するかのような愛らしい曲調にぴったりの甘くて切ないツインリードの間奏が絶品です。

With Friends
状況は良く知らないのですが、知り合いのミュージシャンを集めてマーキーで行われたスポットのライブ。非常にかっこいいドラムです。選曲もいいので、ゲイリームーアの魅力に触れるにはいいアルバムです。

Ballads & Blues 1982-1994
Always Gonna Love You /Still Got The Blues /Empty Rooms/Parisienne Walkways/One Day / Separate Ways/Story Of The Blues /Crying In The Shadows /With Love (Remember )/Midnight Blues /Falling In Love With You/.Jumpin' At Shadows /Blues For Narada/Johnny Boy
ゲイリームーアの18番ばかりを集めたような「泣き」集です。編集ものですが1曲だけここでしか聴けない「Blues For Narada」がありますが、これがもう抜群。なんというか、熱くない冷めた泣きですが、盛り上がりとクールダウンの展開がドラマチックで、これはゲイリーの中でも名演なのではないでしょうか。そういやジェフベックがやりそうな雰囲気でもあります。

Cozy Powellのソロ
コージーパウエルのソロアルバムの常連でしたが、いつもいい演奏をしています。

Over The Top
Theme 1/ Killer/Heidi Goes to Town /El Sid /Sweet Poison/ The Loner /Over the Top

マックスミドルトンも参加しており、Sweet Poisonなどであのローデスを聴くことができます。「Killer」は冒頭に紹介したとおり。このアルバムは、当初ジェフベックも参加する予定だったそうで、「Loner」は、まさにマックスミドルトンが昔、ジェフベックのために書いた曲とのことです。ここではクレムクレムソンが非常にジェフベックっぽく弾いています。この曲は、後にゲイリーが自分のアルバムで演奏してます。※Brrads&Bluesにも収録。


Tilt
念願のジェフベックも参加で、非常に興味深いアルバムですが、故ランディーローズに捧ぐと題された2曲めの「Sunset」では、ゲイリーは、自己のベスト5に入るんじゃないかと思われる素晴らしい演奏をしています。ちなみに、このアルバムには、ジェフベックも2曲参加しています。

Octopas
「Formuller one」は、Over The Topの「Killer」にターボチャージャーをかけたような曲で、コージーのツインバスと怒濤のようなウルトラスピードのギターが聴けます。また「Dart Moore」というちょっと黄昏れた感じのいい曲を演奏しています。こういった曲でのゲイリーのギターは、ほかのギタリストでは味わえない独特の情感を醸し出します。

Greg Lake
Nuclear Attack/ Love You Too Much/It Hurts/ Black and Blue/Retribution Drive/Long Goodbye/The Lie / Someone/ Let Me Love You Once Before You Go/For Those Who Dare

グレッグレイクのアルバムには、3〜4枚くらい参加していますが、これはその1枚目。Nuclear Attackのソロがゲイリームーアらしくてカッコイイっす。

ほかにもいいヤツあると思います。