このようなDVDが出ているようです。
シークレットポリスマンズコンサート

エリック・クラプトン
ERIC CLAPTON


歌という表現手段を手に入れた元スーパーロックギタリスト?

 今さらわざわざ紹介するもないクラプトンですが、私自身は最近のポップスシンガー然としたクラプトンにはほとんど興味はありませんので(といってもある時期からもう聴いていないので聴かず嫌いと言われてしまうかも知れませんが)、私の好きな、ギター好きの胸をワクワクさせてくれていた頃のクラプトンを紹介したいと思います。

 他のページでも最近のクラプトンのことを結構クソミソに書いていますが、過去までさかのぼって見るとエリッククラプトンは、間違いなくスーパーロックギタリストのひとりだと思いますし、私にとっても最も胸を躍らせてくれたギタリストのひとりです。ジェフベックにとってのクラプトンは、BBAの頃は「廊下ですれ違った程度」と言っていましたが、その後、シークレットポリスマンを始めいろいろなチャリティーコンサートで共演したりしてかなり交流はあるようです。2001年の雑誌GQのインタビューの中でクラプトンは、自身のニューアルバムに関するコメントで「僕は新しい事をやる役割ではないんだ」というようなことを言っていますが、前年度にまた新しい趣向のアルバムを出したジェフベックへの評判を意識しているのかも知れません。

 さて、ヤードバーズ、ブルースブレイカーズ、クリーム、そしてブラインドフェイスからソロと歩む中で、ギタリスト:クラプトンといえば、やはりまずクリームと言いたいところなのですが、あえてブルースブレイカーズを挙げたい。
 アルバム「 Blues Brakers With Eric Clapton」に収められた「Hide Away」。フレディキングのオリジナルであるこのギターインストルメンタルこそが、ギタリスト:クラプトンの代表作だと、独断と偏見をもって思います。
 若干22才かそこらのクラプトンですが、この演奏におけるタメ、ヒネリ、気合い、そして洗練は、白人ブルースの最高峰に位 置づけられるものだと思います。誰がこんなにかっこいいブルースギターを弾けるでしょうか。何度聞いても味があり、魂がある。今のクラプトンからは伺えないエネルギーあふれるギター演奏です。このアルバムには、ほかにも「Steppin' out」などクリーム時代にも演奏していたギターインストルメンタルが入っていて、この時代のクラプトンの素晴らしい演奏が聴けます。

  なんかこの時代で、もうクラプトンとしてのブルーススタイルが完成してしまっている感じがしますけどね。だから、さらに黒人ブルースを追求しようとして行き詰まってしまったのかも知れませんが。ちなみにクリームの「Live Vol.2」に「Hide Away」としてクレジットされている曲は実際は「Steppin' out」です。昭和30年代以前生まれの方にはすでに「そんなん、知ってるワイ!」の事実ですが。この「Steppin' out」という曲、オリジナルはメンフィススリムのピアノ曲なんですね。オリジナルを聴くとどうってことない曲に思えますが、それをクラプトンがギターでやるとこんなにも格好良くなるというセンスの良さの見本です。ちなみに(よくちなむんですが)ジェフベックではBBA「Live In Japan」の「Jeff's Boogie」の中でテーマメロディが弾かれています。

 次に挙げるとしたら、やはりクリームでしょうか。このバンドは、もっと大きな意味でロック界に大きな影響を及ぼしたバンドですね。後にジェフベックがBBAをデビューさせたとき、マスコミから「クリーム以来の最強トリオ」などと書かれていたようですが、時代も違うこともあってか、根本的な音楽性は違います。クリームというと3人のインタープレイというのがとにかくトレードマークなんですが、かなりメロディアスな曲もあり、元々目指していた音楽性は決してそういったインタープレイ主体というものではなかったのかも知れません。しかし、実験的なことを3人が押し進め、聴衆もそういったことを期待する中で、行き詰まっていったのかも知れません。クラプトンはクリームというバンドには「ロックンロールギタリストとして参加した」と言っていました。確かにブルースナンバーが多い印象はありますが、ブルース的な3連のリズムというのは意外と少なく、8ビートの曲が主体となっています。有名な「Crossroads」もリズムはロックンロールですね。ただ、そういった曲でもギターはロックンロール的なベタな弾き方ではなく、3連を意識した16ビートなノリで弾いているので、非常に複雑にきこえます。このあたりが、クリームにおけるクラプトン的ブルース的ロックンロールギターと言えるのかも知れません。
 代表作としてはやはり「Crossroads」が有名ですが「Outside Womanblues」「Polotician」そして超定番のLiveの「Sunshine Of Your Love」、この曲は長い間ロックギターの文部省唱歌みたいなものでした。毛色の変わったところで、ジョージハリスンの影響アリアリの「Budge」もいい感じです。 この頃はクラプトンも、もうノリに乗ってガンガン弾きまくっているという感じです。
 その後、ブライドフェイスを経てドラッグ漬けになり、その後復活し、今までとは少し違ったレイドバック(流行りましたこの言葉)したサウンドの「Ocean Boulboad」ではボブマーレイの「I Shot The Shelif」がヒット。しかし、この頃からボーカルに目覚めてしまったんじゃないでしょうか。

 そして、その復活アルバムよりあえて挙げたいのが、その次の「There's one in every cloud」〔邦題:安息の地を求めて)このアルバムは前作のサウンドを受け継ぎながらリラックスした渋いギターが随所で聴ける素晴らしいアルバムです。バッキングメンバーもツボを心得た演奏で、クラプトンを渋くサポートしています。クラプトンも全曲それぞれに良いですが、「Singin' The Blues」は、ファンキーな16ビートに乗って素晴らしいブルースギターソロが聴け、この頃はまだギタリストクラプトン健在といった感じです。

 その後、(私に言わせれば)ボーカルに目覚めてしまって、もうギターで表現する必要が無くなったのかどうかは知りませんが、心揺さぶるギターは聴かれなくなっていきます。ジョージベンソンが歌に目覚めてもギターもメチャクチャうまいのとは違いますね。アンプラグドなどでも渋いギターは聴けますが、特にクラプトンならではのというものでもなく、あの手のギターならもっとうまい人はいくらでもいます。クラプトン独特のグルーブはきかれなかったですね、私には。そうしてヒットチャートをにぎわすようになり、歌に味がでてくる分、ますますギターの味は薄まっていったとさ。

クラプトン自身は、ドラッグに溺れたり、子供を亡くしてしまったり、いろいろあって自分の人生はもう終わったと。今は、余分で生きているんだというようなことを言っているそうです。そう言われると何だか分かるような気もするなあ。

2001.10.22
2003.12.24一部改訂


Blues Brakers With Eric Clapton
1. All Your Love
2. Hide Away
3. Little Girl
4. Another Man
5. Double Crossing Time
6. What'd I Say
7. Key to Love
8. Parchman Farm
9. Have You Heard
10. Rambling on My Mind
11. Steppin' Out
12. It Ain't Right

このアルバムでのクラプトンは最高です。若い人でブルースギターの好きな人にはぜひ聴いてもらいたい。このアルバムから何人のギタリストが影響を受けたでしょうか。レスポールの歪み具合、タッチ、タメ、チョーキング、ビブラート、どれをとっても、今聴いても全く遜色のないプレー。クラプトンにもこんな時期があったんです。


There's one in every cloud
1. We've Been Told (Jesus Is Coming Soon)
2. Swing Low Sweet Chariot
3. Little Rachel
4. Don't Blame Me
5. The Sky Is Crying
6. Singin' The Blues
7. Better Make It Through Today
8. Pretty Blue Eyes
9. High
10. Opposites
セールスがいまいだったそうで、あまり話題に上がりませんが、私はこのアルバムは非常に質の高いアルバムだと思います。全編それぞれに質が高く飽きません。ギターもガンガンは弾きませんが、ツボを得たギターでギタリストクラプトンがいます。