?> Live at BB King Blues Club | ジェフベックの茶飲み話サイト。

Live at BB King Blues Club

1. Roy’s Toy
2. Psycho Sam
3. Big Block
4. Freeway Jam
5. Brush With The Blues
6. Scatterbrain
7. Goodbye Pork Pie Hat
8. Nadia
9. Savoy
10. Angel (Footsteps)
11. Seasons
12. Where Were You
13. You Never Know
14. A Day In The Life
15. People Get Ready
16. My Thing

2003年11月リリース(2003年9〜10月録音)
<メンバー>
Jeff Beck:guitar
Tony Hymas:keyboard
Terry Bozzio:drums

個人的には、これこそが13年ぶりのジェフベック復活。

アルバム「Jeff」発売後にB.B.Kingとのツアーを行いその流れでB.Bが経営するブルースレストランで行った素晴らしいライブの模様を収めたCDです。音もなんかあまり広くないところでやってるいい感じです。このCDは、当初Official Bootlegという変な但し書きでエピックがネットだけで販売していましたが、2005年7月の来日にあわせ「ライブ・ベック」として一般売りも始めました。発売当時、とにかく私はうれしかったですね~~~ホント。

1999年に10年ぶりに大復活と世間では言われてそれなりに盛り上がってきたジェフベックですが、どーも個人的にはしっくり来ていなかったのです。「Who else!」から「Jeff」まで、それなりに新しい試みをしたりとか、おじいの割に最新のスタイルを取り入れてごっついギター弾くなあとかいう「ちょっとすごい」という線はあったものの、これぞジェフベックというサウンドには遭遇していませんでした。なんか違うぞ、という気持ちがずっとあって、もうこのままこういう路線で終わってしまうのだろうかという一抹の不安さえかかえていたのですが、やってくれました、このライブ。これよ、これよ、コレですよ、ジェフベックは、という内容です。

いやあ、13年ぶりに正しいジェフベックを聴いたような感じです。今こそ本当の復活ではないでしょうか。この何が起こるか分からないスリル、極限まで感情を表現しようとするテンション。「ギターが鳴っていないときの緊張感」というほかのギタリストでは味わえない快感がここにはあります。昔の曲もたくさんやっていますが、昔ではない。まさに進化したジェフベックの今の演奏です。

「Jeff」リリース後のインタビューで「もうこういったデジタルの録音方法は終わりにして次からは昔ながらの方法でやる」と言っていたので、内心小躍りしていたのですが、早くもライブでその兆候を見せてくれましたね。しかし、このライブ何が成功の要因なのかというと、早い話がメンバーが良いのです。トニーハイマス、テリーボジオ。黄金のトリオかどうかは知りませんが、ギターショップのときの抜群のトリオです。悪いけど、who else!からのツアーメンバーよりは2クラスも3クラスも上です。特にドラム。ドラムが違うだけでこうも違うのかと思い知らされてしまいます。最近の曲もテリーのドラムなら抜群にかっこよくなっています。

トニーハイマスの演奏も昔とは少し違って、もっと前に出てきています。昔と同じようにベースがないのですが、本当にそんなことを意識させません。3人が文字通り三つどもえになって繰り広げる音の格闘技というか、ギターバンドのK-1というか、もうぐちゃぐちゃにかっこいいです。

なんと言ってもジェフベックの、なんかすかしたような、こちらの予想を軽くふりきるような、すっとんきょうな、何とも言えない独特のすきまのある演奏、ギターの音もよくこれだけいろんな弾き方ができるなあという味の多い演奏です。なんか聴いたことのない音をあちこちから、本当によくこんなに変な音を引っ張ってくるなあと感心します。

この独特の間と音こそジェフベックの真骨頂です。ここ3枚のアルバムではほとんど聴かれなかった緊張感。安心したと同時に、うれしくて、うれしくてえー、ことーばにできなあい・・・と突然オフコースが入ってしまいましたが、とにかく小躍り大踊りです。
昔からのジェフベックファンなら必聴、ここ数年のデジタルベースのジェフベックしか知らない人にもぜひ聴いてジェフベックの真髄を知って欲しい(違うって言われたりして)CDです。

以下、特筆すべき曲を。

Roy’s Toy
そうそうこれテリーボジオに叩いてほしかっったんですよね。いかにも。でもここでのテリーは少しスネアにひねりを加えて独特のアクセントをつけています。かっこいいなあ。

Freeway Jam
一時期「もう散々やりすぎてうんざりしているので、もうやりたくない」と言っていたんですが、復活です。私的にはこのCDのハイライトのひとつと思っています。テリーのなんとノリの良い3連のリズムの上でジェフベックがもう思いっきり思うがままにギターを楽しんでいるという感じです。ね、やっぱりこういう風に弾いてくれないとジェフベックじゃないよ、と心の中でつぶやきました。テーマメロディーを高いところから低いところへ言ったり来たりしながら、様々に弾きわけていくところ、トニーのキーボードソロに行くところなど、トニーのソロのバッキング(これがまたカッコイイ!)、ベックのソロのバックのテリーのドラムワーク、etc…….聴き所満載です。それにしても、なんとノリのいい3連ドラムなんだろう!!!

You Never Know
やってくれました。イントロからぶっとびです。こういう風にやるかあという驚きと何とも言えない野太い(実際に音が太いとかではなく感覚として)ところがたまりませんなあ。久々にオクターバーをしかもベタベタで大起用です。この音のつぶれ方がたまりません。ブレイクのところなんか、ピーッって、あんたそれ完全にハウってる、ハウリングだよハウリング、ハウリンウルフというブルースマンもいたけどね。いやー、いいねえこの豪快さ。それとトニーのソロのバックで変な音をちょこちょこ出しているくだり。この間がいいねえ。おいおいリフ弾くの忘れるなよというところもあります。しかし、最後まで圧巻!圧巻!圧巻!オカン、もうあかん!(やってしまいました和田勉)という感じです。

Scatter Brain
これも懐かしい曲ですが、度肝を抜かれる進化があります。まずテーマのフレーズが違う。一瞬ピックじゃないので弾けなかったのか?と思いきや、いやいやこれはわざとだということに気がつきます。この強引と言うか適当というか大雑把というか、洗練とかヤボとかいうことすら超越してしまってますね(でもピックがないとあのフレーズは弾けないんだろうね正直)。圧巻はテリーのソロ、メロディックタムでテーマフレーズをたたいていまってますね。始まり方も大雑把ですが、終わり方も大雑把、計算された大雑把ですね。いやいや、もう予想をどんどん裏切ってくれます。頭の中をぐちゅぐちゅにかき回しれくれます。

People Get Ready
聴かせます、この曲。ボーカルがないのにここまで聴かせるのはさすがです。トニーのピアノもすごいい。そのバッキングのギターも独特です。バックで合間合間に絶妙のアクセントを入れるテリーのドラムも抜群。ほんとにこういうスローな曲でも抜群ですねテリーボジオ。終わりまでメリハリというか呼吸のある、味のある演奏です。思いのまま感じるままにギターを弾くというのはこういうことを言うんでしょうね。

Where Were You
これライブでやるの難しいだろうなあ。本人も緊張するって言っておりましたが、上手に音出しますね、当たり前だけど。こういう曲聴くと本当に音に味があるというか、音が生きている感じがします。

Nadia
人気の高い曲。私的にはさほでもない曲。これはスライドバーを使わずにアームだけで弾いているような感じですね。

A Day In The Life
これも私的にはさほどでもなかったのですが、この演奏はいいですよ。やっぱりドラムがうまいですわ。それだけでベックの演奏もぐっとしまりますね。

Savoy
この曲は比較的昔と同じような仕立ての演奏です。ベックのギターの音が前面にでてきているからか、思いっきりヘビーに弾いている感じがします。ベックのソロの時にトニーのピアノが絡んでくるのが新鮮です。

Psycho Sam
Who else!の中の曲で当時はあまり好きでもない曲でしたが、よりロックっぽくなってカッコイイです。何でしょう、このズンズン進んでいくようなかっこよさは。

Big Block
これも昔と同じような仕立ての演奏ですが、やはりドラムの迫力が全体をぐいぐい持っていきます。ジェフベックのギターもそれにつられてテンションが上がっていく感じです。非常に質量感のある演奏。

My Thing
最新アルバムJeffからの曲ですが、アルバムよりやはりライブっぽくなっています。まあ、ライブだから。これもドラムでちょっと違った雰囲気になっています。アルバムよりはこっちの演奏の方が好きですね個人的には。アルバムのもいいですけどね。でも、この曲とSeasonsのJeffからの曲は、何かイマイチ違和感がありますね。無理矢理セットリストに入れているような。

ま、なんせ、ドラムがエエとこんなに違うもんかということですね。
2004.2.22