使用機材は意外とシンプルな道具しか使いませんね。
やっぱり達人は、ごちゃごちゃとおもちゃを並べず、

タッチとギターのコントロールで勝負です。
しかし、業界?に先駆けて変なものも使っています。

トーキングモジュレーター オクターバー
ワウワウ(クライベイビー) スチールバー
トレモロアーム フリケンシーモジュレーター
ストラトキャスター レスポール

■トーキングモジュレーター

元々カントリーのミュージシャンが考案したそうですが、この機材に関しては、ベックとスティービーワンダーが筆頭の使い手ではないでしょうか。ピーターフランプトンでも有名になりましたが、私、あの演奏、全然かっこいいと思いません(最近のインタビューで、ピーターフランプトンが使っているのを聴いて使うのをやめたと本人も言ってます)。

ほかには、リックデリンジャー(「All Americanboy」の中のTeen Age Love Affair。リックデリンジャーも好きなアーチストの一人です)、ジムクリューガー(デイブメイソンの情念のライブの中の「Going Down Slow」で名演。ちょっと長くなりますが、この「Going Down Slow」は私は史上最高のブルースのパフォーマンスではないかと思っています。特にオルガンとボーカルのマイクフィンニガンがもうメチャクチャかこいい演奏しています。で、ギターソロになる時に”ジムクリューガー!!”という呼びかけの後、盛り上がっていたバッキングがサッと落ちて、トーキングモジュレーターのソロが始まるのですが、そのスリルといったらもう、おしっこちびりそうです。)、スタンリークラークもクラークデュークプロジェクトのライブで使っていました。そうそうベックフリークで名高いエアロスミスのジョーペリーも使っています。アルバム「Live Bootleg」Walk This Way、Sweet Emotionなどで格好良く使っています。日本では、竹田和夫がクリエイションの1stアルバムのB面1曲目で、フラワートラベリンバンドの石間秀樹も使っていたそうなのですが、私はその演奏を聴いたことがありません。最近ナントカ言う日本の歌謡曲でも使っていましたね。

さて、ベックですが、スティービーワンダーにもらったそうで、BBAからヤンハマーライブの頃まで使っていましたが、それ以降は使いませんね、壊れたんでしょうか。頭悪くなるそうですから、やめたんでしょうか。ベックの使い方の面白いのは、ただワウワウ言ったり、歌ったりだけでなく、ジョジョジョとかベベベとか何か訳の分からない擬音みたいにすることです。
このジェフベックのトーキングモジュレーターの源泉みたいに思えるのがファンクバンドのMetersの演奏。Metersのアルバム「NEW DIRECTIONS」のFunkify your Lifeを聴くと、その擬音みたいなのやトーキングの仕方など独特の雰囲気が、このへんからインスパイアされているんだろうということが分かります。

オフィシャル録音では、BBAライブの「迷信」「You Shook Me」、Blow By Blowの「She's A Woman」「Selonious」、Beckologyの「You Shook Me」、ヤンハマーとのライブの「She's A Woman」「Full Moon Boogie」くらいです。ベックのトーキングモジュレーターの演奏がふんだんに聴けるアルバムは、実はUPPのファーストアルバムで、確か4曲くらいで使いまくってます。「Give It To You」というファンキーな曲は、トーキングモジュレーターを使うためにやっていると言っても華厳の滝ではない。他にもおそらくオクターバーに通 してからトーキングした低音の聴いた面白いサウンドなどの曲があります。

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■オクターバー

フュージョン系のギタリストでよく使われていましたが、ベックはかなり先駆けだと思います。Blow By Blowの「Air Brower」では原音と混ぜて「Thelonious」では低音だけのモコモコした音で弾いています(ライブでは、原音も混ぜた音で弾いていました)。そして、Wiredの「Come Dansing」は、オクターバーの極めつけのワイルドな演奏が聴けます。当時のベックのオークターバーはカラーサウンドのものにバイパススイッチがつけられていたようで、いろいろとコントロールできたみたいです。このエフェクターもベックほど効果的に使っている人を聴いたことがありません。

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■ワウウワウ

第一期からBlow By Blowの頃まではクライベイビーをよく使っており、その後しばらく使っていませんでしたが、You had It Comingあたりからやたらと(機種は新しいやつ)使い始めています。昔と違って倍音をぎんぎんに聞かせたようなよりハードな使い方も多くなっています。
プレイ面で特筆すべきはやはり第一期の「I Ain't Supersutitious」でしょう。あのしゃべっているようなワウワウは見事としかいいようがありません。ファンキーなチャカポコもベックがやると「Got The Feeling」みたいにワイルドです。第二期のライブブート「HIGHWAYS」での「I Got Have A Song」は最高です。そのほか第二期の「Suger Cane」、そしてライブではあまり使わなかったBBA時代のスタジオ録音「Lose Myself With You」なんかがかっこいいんじゃないでしょうか。また、ベックのワウの使い方の特長のひとつに、ある位 置でペダルを止めた状態で、トーンコントロールとして使うこともあります。第一〜二期のライブなどではよくやっています。
2000年の「You Had It Coming」では思い出したようにワウワウを全編でトーンコントロールのように使っています。 その後の「Jeff」B.B.Kingレストランでのライブでも聴かれます。また、ジョンリーフッカーのトリビュートアルバムでも微妙な開き加減で、仙人のような演奏を聴かせています。

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■スチールバー

あまり話題になりませんが、ベックはスライド奏法でもデュアンオールマン(や最近ならデレクトラックス)に勝るとも劣らない素晴らしい技を持っています。この人のスライドは、ちょっと聴いただけではスライドに聞こえない、しかし、普通 のフィンガーリングではこんなフレーズにならないというものが多いのが特徴です。それだけ感覚的でスムーズなんですね。いかにもスライドというようなフレーズは少ないのです。あるいは、「いかにもスライド」を3回くらいこねたようなクセのあるフレーズかどっちかです。ヤードバーズのThe Sun Is Shiningなどは後者の例ですね。また、ピックアップに近いところでキューキュー、ピヨピヨやって効果音のような音を出すのも本人もお気に入りのようで、ベックファンには出た出たという感じですが、それ以外の人にはただの雑音かもしれませんね。スライドの名演、ざっとあげてみますとブートですがデビッドボウイのコンサートに飛び入りしたやつ、BBAスタジオ盤の黒猫の叫び、I'm so proud、BBAライブのLivin' alone、第一期のI ain't supersutitious,Spanish boots,第二期のGot the feeling、Deffinitery maybeUPPでもやっています。アルバムJeffでもかっこいいスライドが聴けます。他にもいろいろあると思いますが、ライブでも突然使っていたりします。

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■トレモロアーム

エフェクターではありませんが、ベックサウンドにとってトレモロアームはなくてはならない”お道具”です。アームのサウンドは、アームへの動かし方によって大きく分けて3期に分かれています。

第一期は、Beck OlaからWiredまでで、アームをもってウニャウニャやる一般的なやりかたです。ただ、動かし方は一般的でも使う場面や左手のフィンガーリングとの組み合わせでカッコイイサウンドをだしています。「Beck Ola」では、Prynthは3連トリルからのアームダウン、The Hangman's KneeRice Puddingではアームダウンしておいてからコード弾きするのがカッコイイ。「Rough And Ready」では、Newways ̄Train Trainがジャーンとコードを弾いてウヤウヤウヤとアームでビブラートをかけるだけなのですがカッコイイ。改めて考えてみるとこのアルバムはアームの名演が少ないです。ライブでは、アーム使いまくりなんですけどね。そのあたり、スタジオ盤ではベックの魅力が十分に出ていないのです。「Jeff beck group」では、Ice Cream Cakesが筆頭でフィードバックを使った怪しげな音の作り方は抜群。Going Downでも同じような奏法で低音弦がグワーンというのがしびれますね。え、しびれない?私だけですか?二曲目のTonight ̄のエンディングもアームダウンして元に戻したらサブドミナントのベース音になるという巧みなアームです。「BBA」では残念ながらレスポールを多用していてアームの名演はありません、確か。「Blow By Blow」では何と言ってもFreeway Jamでしょう。よく聴いていれば、イントロから一発目にアームダウンしたときに裏側のスプリングがきしむ音が聴こえます(超カルト!)。「Wired」では、Red Boots、Good-by Pork Piehat、Blue Wind。「Live ̄」では、やっぱりFreeway Jam、Blue Wind。などでしょうか。割と少ないですねやっぱりスタジオ盤では。

第二期は、There And BackからFlashまでで。この時期には、アームを上からたたくようにして独特のビブラートを多用し始めています(クリケット奏法っていうのかな。厳密にはヤンハマーとのツアーのブートレグうでも、すでにこの奏法を行っています)。軽井沢でのライブのTV放映何か見るとよく分かります。なぜ、ノーマルなストラトでこんな弾き方が楽にできるかというと、この時期にフラットピックを使わなくなってきたからです。スタジオ盤ではあまり聴けないのですが、「There And Back」のYou Never Know が顕著です。ギターソロの終わりの方で、この奏法によるワンワンワンワンというような細かいビブラートが聴けます。あとロッドスチュアートの「CAMOUFLAGE」の中のInfatuationでも聴けます。

第三期は、Guitar Shop以降ですが、その前のTwinsのサウンドトラックの時にすでに登場しているのです。弾いた後に微妙に音程を保ちながらアームダウンして次の音とつなぎ、一瞬スライドバーを思わせるような効果です。これもフラットピックを使わないからこそできる奏法だと思います。Twinsでは、Train Kept a Rollin'、Guitar ShopならSavoyのソロが顕著です。また、Where Were You などはハーモニックスからアームの上下でメロディを弾くという高品位な技を披露しています。

うーん、こうして考えるとライブではギンギンに聴けるベックのかっこいいアームワークが、スタジオ盤では本当に少しし聴けない。ベック好きの人ならぜひ、ブートレグでライブを聴いてください。

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■フリケンシーモジュレーター

このエフェクターは、実を言うとベックが使っていたのはワイヤード後の一時期だけみたいですが、非常にベックに似合っています。Live With Jan hHammer Groupの2曲目Erthのギターソロで音程が分からなくなったような音を出していますが、それがこのブツで、WiredのPlay With Meの中でも一瞬聴けます。おそらくジョンマクラフリンの影響だと思います。マハビシュヌオーケストラ時代のジョンマクラフリンのアルバム「INNER WORLDS」の中のMils Outで同じような音を出しています。ジョンマクラフリン、サラリーマンみたいな風体しながら、すごいおっちゃんです。

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■ストラトキャスター

ロックでエレキギターと言えば、昔も今もストラトとレスポールです。これはもう不思議なくらい不変で、それだけこの2つのギターの完成度が高いと言うことだと思います。ミュージシャンなら、必ずどちらかを持っているでしょう。

ジェフベックも基本的には、この2つのギターがメインです。しかし、さらに絞ると、ストラトこそがジェフベックという感じです。特に最近のプレーは、ストラトでしかできません。(トレモロアームがいりますしね。レスポールにビグスビーのアームをつけた大胆なカナダ男もいましたが・・・)

ストラトキャスターというギター(made in USAのヤツ)は、良くできたギターで、とてもいい加減で、とてもしっかりしています。少々、落としたりぶつけたりしても何ともならないシンプルさと、それ故に可能性が高く、懐が深い感じです。持った感じも立っても座ってもしっくりカラダになじみます。それにデザインが、いかにもエレキって感じでカッコイイじゃあ〜りませんか。

(余談ですが、吉本興業のチャーリー浜氏は、90年代には東京方面でも知られていますが、関西人にはその30年以上前から浜ゆうじとしてお馴染みで、当時から「あ〜りませんか」をやっているのです。これを言ったり聞いたりするだけで、関西人は血が騒ぎます)

ストラトキャスターは、1952年頃の誕生当時から、基本設計はほとんど変わっていません。発売当時なんと130以上の実用新案や特許を持っていたらしく、レオフェンダー氏のアイデアとセンスに敬服してしまいます。

それで、ストラトキャスターをモチーフにしたオリジナルものも様々なメーカーからでていますが、どこかデザインの収まりが悪いんですね。それだけ、ストラトのデザインの完成度が高いと言うことだと思います。もう、変えようがないんです。

さて、ジェフベックにとってのストラトは、「Beck Ola」からですが、いきなり、メチャクチャ使っています。もうワイルド、ギリギリガリガリ、ギュンギュン、第一期は「Truth」がレスポールなので対称的です。でもさすが、トレモロアームの特性を生かした使い方やストラトの攻撃的な音色をうまくサウンドに生かしていると思います。「ミルバーレの少女」などのバックで「キャッ」と刻むR&B調のサイドギター、エッジの聞いた乾いた音もストラトらしい音です。その後の第二期ではもうストラトオンリーです。第一期よりもっとストラトのソリッドで突き抜けるような音色を艶のあるサウンドにしています。一段と表情が広がった感じですね。トレモロアームもただぐにゃぐにゃやるだけでなく、微妙なニュアンスを出すようになりました。

ワイヤード以降、ずっとストラトを使っているのですが、音色はもちろんトレモロアームがベックになくてはならないものになったのではないでしょうか。曲によってはテレキャスターなども使っているので、要はフェンダー系の音が性に合っているんでしょうね。

昔、第二期からWith Jan hammer Liveまでの頃は、白いボディでローズウッドネックがトレードマークでした。第二期の頃には、ピックガードの角を落としてあるナチュラル(非常に堅い音のするやつ)もよく使っていたようです。ネックをよく取り替えるらしく、雑誌に載るごとに少しずつディティールが変わっていました。
1978年に」来日したときにはシェクターピックアップのついた白(スイッチもトグル×3)とスティーブマリオットにもらったというサンバーストを使っていました。サンバーストってのは珍しかったですね。
FLASHからWho Else!頃は、黄色やミントグリーン、パープルといろいろな色を使っていましたが、You Had It Coming以降また白を使っています。また、基本的にはカスタムビルドなので、ネック、ピックアップ、ナットほかレギュラーのストラトとはかなり違った仕様になっているようです。同じ仕様のものがジェフベックモデルとしても売られています。

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■レスポール

ストラトとともに人気を分けるロックギターの大御所。かのレスポール氏のアドバイスによって生まれたことから、この名前です。当たり前か。ストラトと違って、シックに丁寧にデリケートに作ってある感じです(といっても日本製には及びませんが)。ギブソンは、アコースティックギターはワイルドなのにエレキギターは、エレガントです。

レスポールモデルは、多少の差こそあれ、ストラトに比べるとネックの握りが非常にスムーズでフレットや指板もなめらか。ストラトはがちっと握らないといけない感じですが、レスポールは指を添える感じ。平たく言うととても弾きやすい感じのギターです。ジェフベックも「初めてレスポールを触ったときには、何でもできる感じがした」と言っていました。音もストラトがシングルコイルのシャープでドライな音に対し、レスポールは、ハムバッキングの温かい感じの音です。

レスポールの欠点と言えば、重いことと、ハイポジションでは親指がひっかかって少し弾きにくいことです。Blow By Blowの裏ジャケットの写真でも、ジェフベックの親指が横に出てきています。

ジェフベックは、第一期の前期、TruthとBBA、Blow By Blowの頃までレスポールを使っています。BBAでは初期は第二期からの延長でストラトでしたが、後期にはレスポールオンリーのようです。やはり3人なので、ギターの音の厚みを必要としたのかも知れません。Blow By Blowもストラトが多いようですが、ワールドロックで来日したときには、レスポールも弾いていました。しかし、それ以後、ぱったりとレスポールを使わなくなっています。

オールドファンには、ジェフベックというとあの黒いレスポールのイメージも強いんですが、意外とレスポールの時期は少ないんです。

アルバムでのレスポールサウンドは、私はBBAのLIVE IN JAPAN をお奨めします。TRUTHも良いですが、より自由奔放なプレイと微妙なトーンやボリュームのコントロールが聴けるのがBBAのLIVE です。ドラムの音がスカみたいですが、ベックのギターはうなっています。

特にマイクのスイッチを真ん中にした状態の音を使うのがうまい。少しボリュームを絞って、微妙な歪みのある音でコード弾きやオブリガードを弾く(I'm so proud等)のが、非常に味があります。この音はストラトでは出ません。

あとBlow By Blowの「You Know what's I mean」のカッティング。あれもたぶんミドルポジションだと思います(リードなどはストラトかな)。

あと、セッションですがUPPの1枚目やエディハリスのアルバム、スティビーワンダーのTalking Bookでもレスポールの温かい音が聴けます。