LIVE IN DETROIT 1968

1)Shapes Of Things  2)You Shook Me 3)Let Me Love You  4)Blues De Luxe
5)Jeff's Boogie  6)Rock My Plimsoul 7)Natural Woman  8)Rice Pudding9)Sweet Little Angel
10)I Ain't Supperstitious
11)Stone Cold Crazy
12)Talk To Me Baby / Dust My Broom

これを買った当時、第一期のブートは珍しく、初めてロッドのボーカル時代のライブが聴けて感動しました。そんなにいい音ではありませんが、演奏内容は、非常にいいです。

1968年(日本で言えば万博の2年前)の時点で、こんなに高度でモダンな演奏をしていたとはたまげます。ベックのバンドの演奏のすごいところは、非常にうねりがあることです。「高度な」というのは、楽器の演奏技術はもちろん、演奏自体の力を入れるところ抜くところ、あるいは各パート間の「やりとり」などのダイナミズムがすごいのです。あるときは、軽快にあるときは怒涛のように、音楽の波が寄せては引く。会場いっぱいにその波長がうずまき、聴衆と一体化します。「グルーヴ」とはこういうことを言うのでしょう。この辺は、いわば「ジャズ的」ですね。だから、スタジオ盤と同じような演奏は皆無だと言っても過言ではなく、時にはもう別物の演奏が聴けます。こういった演奏を聴くと、残念ながら、彼らは音楽先進国だと感じてしまいます。血が違うんですね。オリジナリティに欠けると言われる(最近はそうでもない音楽家が増えているとは思いますが)多くの日本のミュージシャンとは、全く違う次元で音楽をやっています。

このブートでの演奏も、とにかく全編にユニークでクールなアイデアが散りばめられています。

2)のイントロはBBAのLIVIN' ALONEと同じで、この頃もうBBA的サウンドのアイデアがあったことを証明しています。10)では、なんと電気ノイズで客や他のパートと掛け合いをやっています。恐らく、弦を指で押さえて、ピックアップのポールピースにくっつけているんだと思いますが、要は「ブー」という間違いなく電気的なノイズです。それで、リズムを取りながらフレーズみたいに「奏でて」います。また、ネックのナットよりペグ側をピックで「チャランチャラン」とやったり、弦をピックでこすってピュンピュン言わせたり、ホントに面白いことをやります。くどいようですが、まだまだロックの創世記に当たる1968年当時、普通に演奏しても充分すごいのに、こんなユニークなことをしながら演奏する人はいないでしょう。だから別格なのですが。

7)は、ピアノ主役のインストで、ニッキーホプキンスの美しいピアノが聴けます。誰かのカバーだと思いますが、「BECK-OLA」の中のミルバーレの少女に似たスタイルの曲ですが、タイトル通りに非常にナチュラルでいい感じの演奏です。ベック自身こういう曲が好きなんでしょうね。ベックはサイドメンに徹していますが、これがまたベックらしい強気の弾き方。このブートは全般にニッキーホプキンスがフィーチャーされています。8)はジャムセッションみたいな曲ですが、RICE PUDDINGの原型です。まだ、固まっていないようで、BBAのLOSE MYSELF WITH YOUのモチーフのような場面もあります。

このブートの内容は、もっといい音で「ALL SHOOKUP!」というブートに収録されている(但し全曲ではない)ようです。