JEFF BECKにあまりなじみのない方のための
JEFF BECK基礎知識



 

■JEFF BECK ってどういう人なのか

ああなつかしの「ロック3大ギタリスト」

・1944年6月24日イギリス、サーレィ州生まれ。

ジェフ・ベックというギタリストは、いわばロックギタリストのパイオニアの一人です。エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ(元レッドツェッペリン)とともに「ロック3大ギタリスト」と昔は言われていました。蛇足ですがこの3人にジミ・ヘンドリックスを加えた4人が、まあ今のロックギターの基礎を作ったといっても過言ではありません。ロックギターのすべてがそこから始まり、あえて言えばそこで終わっていると私は思います。

面白いことに「ロック3大ギタリスト」が3人とも60年代終わり頃にイギリスで活躍したヤードバーズというバンドの出身であり、それからしてもヤードバーズはロックにとって重要な役割を果たしたバンドです。(ヤードバーズを語り始めると3万年くらいかかりそうです。GOLD WAX(バロック出版)という雑誌にずっと連載されています)

ちなみにヤードバーズは、初代エリック・クラプトン、2代目ジェフ・ベック、3代目ジミー・ペイジでベックとペイジは共存していた時期があります。
(厳密に言えばヤードバーズには、クラプトンの前にもうひとりトニートーパムというギタリストがいたのですが、最年少で学生だったため、レコーディングをしないまますぐにバンドを離れたようです)

クラプトン期は本当にブルースを基調にした演奏が多かったのですが、ベックになって音楽性が広がり、ペイジではレッド・ツェッペリン的に実験的な要素が加わりました。最後の方のヤードバーズはまさにレッド・ツェッペリンの予行演習といった感じです。

この3人は出身地も同じで、特にペイジとベックは、妹同士が知り合いかなんかで、その関係で以前から知り合いだったらしく、ヤードバーズ参加については、ペイジ(当時売れっ子スタジオミュージシャンだった)が最初自分が誘われたのを断り、その代わりにベックを紹介したという話です。

ビートルズもそうですが、この時期のイギリスのパワーはすごいものがあります。

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■ヒット曲、CMなど

いわゆるポップスの人ではないので、誰もが知っているシングルヒット曲というようなものはないですが、1968年頃、ソロの時に出した「恋は水色」はそこそこヒットしたらしいです。その後は、BBAの頃の「Supersition(迷信)」(スティービー・ワンダー作)がちょっとヒットしたでしょうか。アルバムとしては、その後の「BlowBy Blow」が意外とヒットし、グラミー賞かなんかのギタリストオブザイヤー(ジャズ部門)に輝いたのではなかったでしょうか。

さらに「Flash」アルバムの「Escape」もグラミー賞にノミネート(インストルメンタル部門)されたと思います。すみません、この辺の資料がなく確認できていませんので、あしからず。

CMは海外では、昔(1970年頃)バニラファッジのカーマインアピス、ティムボガートと一緒にコカコーラのCMソングをやったのが有名です。日本では、1977年頃、パイオニアかなんかのオーディオのCMでJeff Beck With Jan Hammer Group Liveから「Full Moon Boogie」が、1989年頃ホンダアコードのCMでJeff Beck's Guitar Shopから「Stand On It」が使われていました。

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■音楽経歴

*セミプロバンド「Tridents」(1963年頃)

*The Yardbirds(1964年〜)

ALBUM---For Your Love/Having A Rave Up With The Yardbirds/Over Under The Sideways Down(Roger's Enginier)
※ヤードバーズのアルバムは、各国からいろんなタイトルで発売されています。

*Solo(1967年頃)

Single---LoveIs Blue/Tally Man/HI Ho Silver Lining

・第一期Jeff Beck Group(1968年〜)

ALBUM---Truth/Cosa Nostra Beck-Ola

・交通事故で1年くらい入院生活(1970年頃)

・第二期Jeff Beck Group(1971年〜)

ALBUM---Rough And Ready/Jeff Beck Group

・Beck Bogart & Appice(1973年〜)

ALBUM---Beck Bogart & Appice/Beck Bogart & Appice Live

・以後ソロ

ALBUM---Blow By Blow(1975年)/Wired(1976年)/Jeff Beck With Jan Hammer Group Live(1977年)/There And Back(1980年)/Flash(1985年)/Jeff Beck's Guitar Shop(1989年)

Who Else!(1999年)

なんと10年ぶりの新作。そういう人です。
ある雑誌では「10年聴くに耐える作品」とか。おいおい、また10年?
ちなみに私はこのアルバムは、ランキング低いです。

You Had It Coming(2000年)
なんと1年ぶり、今度はベックにしては驚くべき早さの新作。 全部打ち込み系でベックのギターがビンビンうねっています。斬新なのに、どこか第一期の「ベックオラ」を感じさせるようなベックの本質が出ています。

JEFF(2003年)
前作から3年ぶり。やはり、打ち込み系の延長線にあるが、バリエーション豊かで集大成的な内容。アポロ440など旬のプロデューサーとの”流行のコラボレーション”が見られる。ちょっと商業性も意識か。

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■音楽ジャンル

ブルースロックからファンク、クロスオーバーへ。

ヤードバーズというバンドは、ブルースを基調にポップなものも演奏していました。その後1968頃第一期ジェフ・ベック・グループではブルースロック、続く1970年頃からの第二期ではファンクやR&B的な味わいの強いロック、1973年頃からのBeck Bogart & Appiceではファンキーな要素もあるハードロック、そして1975年からはインストルメンタルになり、その後はクロスオーバーなロック(あえてフュージョンとは区別 したい)と変化しています。

昔から結構ファンク系が好きみたいで、第一期にしてもライブでの演奏にはファンキーなノリが多く見られます。

しかし、ジャンルというのがないのがベックの特長で、ビッグネームのアーチストがみんなそうですが、ジャンルはJEFF BECKなのです。基本はロックですが、Blow By Bowの頃はアメリカではジャズギタリスト部門で人気がありました。

1985年頃からは、ダンスやテクノっぽいバックグランドも取り入れ始めており、1999年の「WHO ELSE!」では、かなりキています。さらに2000年「You Had It Coming」では打ち込み系だけでアルバムを作っていおり、2003年「JEFF」へとテクノ系の流れは続く。

 

■共演ミュージシャン

今をときめくロッド・スチュアートもベック・グループでデビュー。

第一期ジェフベックグループには、ロッド・スチュアートロンウッドという今や超スーパースターが参加していました。ロッド・スチュアートは事実上ベックグループがメジャーデビューです。知らない人にすれば、今のロッドやロンウッドとベックは結びつかないかも知れませんね。また、ピアノでニッキー・ホプキンスが参加していました。この人もストーンズを始めとする当時のブリティッシュロックのレコーディングには多く参加しています。

第二期では、1998年に帰らぬ人となったコージー・パウエルが参加。コージーもこのバンドで有名になりました。

BBAのカーマイン・アピスは、その後ロッドスチュアートのバンドに参加。レイ・ケネディなんかとKGBという渋いバンドをやっていたりもしました。最近日本人とバンドやっています(1999年ティムボカートとともにチャーとのCBAで日本でツアー)。この人のドラム好きなんですけど、なんかもうひとつパッとした活動がありません。

インストルメンタル・アルバム第一弾「Blow By Blow」のベーシスト、フィル・チェンもロッドのバンドに参加しています。この頃、ベックはスタンリークラークのアルバムに参加したりし、ジャズ畑の人との親交を深めていきます。

「Wired」では、今や超売れっ子プロデューサーになってしまったナーラダ・マイケル・ウォルデンがすざまじいドラムを叩いています。ナーラダ氏とともにマハビシュヌ・オーケストラ出身のヤン・ハマーも参加し、ジャズ的なハードさが加わってきました。ヤンハマーは、以後ベックの大切な共演者となります。

この後、808バンドやジューダス・プリースト、マイケル・シェンカー・グループなどで活躍していたサイモン・フィリップス(ドラム)と出会い、そのツインバスのドラミングに惚れたようで、スタンリー・クラークと来日した時から「There And Back」「Flash」そしてミック・ジャガーとの共演(ミックのソロアルバム)頃まで、ずっとサイモンフィリップスが一緒です。

「Flash」は、ナイルロジャースのプロデュースにより当時の流行のパターンを取り入れた、ベックアルバムとしては最低な出来になっています(とはいえEscapeとか、かっこいい曲はあります)。

「Guitar Shop」では、フランクザッパにも参加していたテリー・ボジオ(ドラム)が参加し、以後、何かあったらテリーボジオが叩いています。

他人のアルバムへの参加も多く、ざっとあげてみると、ドノバン「BARABAJAGAL」、スティービーワンダー「TALKING BOOK」、ロッドスチュアート「CAMOUFLAGE」、ミックジャガー「SHE'S THE BOSS」「PRIMITIVE COOL」、ダイアナロス「SWEPT AWAY」、ティナ・ターナー「PRIVATE DANCER」、スタンリークラーク「JOUNY TO LOVE」「MODERN MAN」「I WANA PLAY FOR YOU」「TIME EXPOSURE」、ナーラダマイケルウォルデン「GARDEN OF LOVE LIGHT」、ジョン・ボンジョビ「BLAZE OF GLORY YOUNG GUNS-2」、マルコム・マクラレン「WALTZ DARLING」、ロジャー・ウォーター「AMUSED TO DEATH」、ポール・ロジャース「MUDDY WATER BLUES」・・・

オムニバスでは「STONE FREE」(ジミヘンのトリビュート/これ最高です)、「TWINS SOUND TRACK」(映画にも出演しています)・・・・

セッション参加のアルバムは結構多く、人のアルバムであろうとお構いなしの、クセのあるギターを弾いています。

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■奏法

フィードバック奏法を始め、数々の新奏法によりロックギターを革新。

ロックギタリストの中では、最もトリッキーな奏法を持つギタリストです。そのフレーズはアブノーマルで、おそらく意図的にそういう表現方法をとっている節があります。弦をピックやスチールバーでこすったり、打ち叩いたり、通 常使わないようなピッキングハーモニクスを使ったり、ありとあらゆる方法で、”何か違ったグルーブ”を出そうとしているようです。それらが、取ってつけたようでなく、全体としてひとつの世界を創り出しているところが、ただの目立ちたがりやギタリストと違うところで、そういったことが出来るのも基本的な演奏技術は群を抜いて高度であるからだと思います(イングヴェイのような早弾きができるということではありません)。

ジェフ・ベックが一世を風靡したというのは「フィードバック奏法」(ヤードバーズの頃)かも知れません。最近のロック界ではあまり聴かれなくなりましたが、アンプが再生するギターの音がまた弦を振動させ、鳴ったままになるという極めてワイルドでカッコイイ奏法です。公式音源では、ヤードバーズの「Stroll On」(トレインケプトアローリンの違うバージョン)、「Lost Woman」ほか、第一期「Beck Ola」の「Jail House Rock」、第二期「Jeff Beck Group」の「Going Down」、BBA「Live In Japan」の同じく「Going Down」など。ジェフ・ベックの他では、ジミ・ヘンドリックスがこの奏法をバンバン使っていました。有名なウッドストックでの「アメリカ国歌」がもう究極のフィードバック奏法です。

また、ストラトキャスターのトレモロアームを早くから効果音として使っていたのもジェフ・ベックです。今でこそみんな使いますが、昔は音程が狂うというので敬遠され、ギンギンに使っていたのは、有名所では、ジェフ・ベック、ジミ・ヘン、リッチ・ブラックモアくらいでした。公式アルバムでは、1969年頃、第一期「Beck Ola」でウニャウニャのアーミングが聴かれます。

そして、奏法ではありませんがエフェクター類も先駆けの人です。ヤードバーズの頃からもうトーンベンダー(歪み系の最初のエフェクター)と使っているようですし、ワウワウ、エコー、トーキングモジュレーター、フランジャー、オクターバー、フリケンシーモジュレーター、初期のギターシンセなど、ベックが使ってから一般 化したものばかりです。第二期では、スタジオでレスリースピーカーに通したような音も聴かれます。(クラプトンもやっていました。当時の流行かも)
「フラッシュ」の頃以降では、全くピックを使わず、指だけで弾いているのが、新しい奏法といえば奏法。

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■パーソナリティ&プライベート

性格は、最近でこそおじいになって角がとれたようですが、昔は自己チューの極めだったようです。そのおかげでバンドは解散し、アルバム制作は遅れ、録音したテープはお蔵入りになりと、普通 なら完全に業界追放モノだったんではないでしょうか。特に昔は、第一期で一緒だったロッドスチュアートとは犬猿の仲と言われていました。アルバム「フラッシュ」に収録されている「People Get Ready」で、久しぶりの共演を果たし、ロッドのアルバム「カムフラージュ」にも参加し、それ以降はある程度仲いいみたいです。ロンウッドとも、スコッティームーアのアルバムで共演したり、2004年に行われたジェフベックの誕生日ライブにゲストで出るなど、友好を深めていました。

そんな中、2004年後半に第一期ジェフベックグループの再結成話が浮上しました。ところが、ロッドのインタビューによると、ロンウッドも加わって実際ツアーに向けたリハーサルを行ったそうですが、ジェフベックが突然「オレやめた」といって降りてしまったそうです。「まったく、みんなの時間を無駄にしてくれたよ」とロッド。そして、「あいつとは付き合ってらんねぇ」と言っておりました。相変わらずのワガママぶりといったところですね。

プライベートではクラシックカーの趣味が有名で、ホットロッドカーづくりに勤しんでおり、よく言われるのはギターをさわるよりクラシックカーをさわっている方が楽しいということです。イギリスとロスの家には、値打ちモノの車が何台もあるそうです。「You Had It Coming」 「Jeff」などのアルバムにもホットロッドカーをテーマにした曲があります。

食生活に関してはベジタリアン、そして甘党として有名でした。日本公演にきてもチョコレートパフェをよく食べていたという話ですが・・・。60歳を過ぎてもスリムな体型を保っており、インタビューでそのコツを聞かれると「必要でないときには食べないことだ」という名言を残しております。

浮いた噂もほとんど聴かれず昔から何とか言う(名前は忘れました)「イギリスのモデル(出身?)の女性」(Truthの表紙の人)と暮らしていたそうです。1999年時点では、別れたんじゃないでしょうか。(Who Else!でも共演しているジェニファーバトゥーンといい仲なのかも)

私の知り合いにベックの出身地サーレィの隣町出身のイギリス人の方がおり、その人の話では地元でも有名人だそうです。当たり前か。

(2005,5.2.若干加筆)

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