Beck Bogart & Appice

Live In Japan

高度で白熱したBBAの演奏がぎっしり。しかし、ドラムの音があまりにも貧弱。
おーい、残念すぎるぞ〜、EPIC SONY!
 

  1973年、大阪万国博覧会から3年後と言えば、超高度経済成長が一段落し、やっと日本も世界の仲間入りができかけたかなという頃、BBAはやってきました。この頃は、今と違って外タレの来日自体が非常に珍しいもので、ホントに年に何組というくらい少なく、その来日公演は貴重でした。

 ちょうどこの後、神戸では神戸祭りで、三宮駅の南にある東公園には3〜4の野外小ステージが設置され、エレキのバンドが演奏をしておりまして、確かどこかのバンドがSuperstitionなどをやっていたような記憶があります。
 今では神戸祭りはよく理由の分からないサンバ祭りみたいになってしまって面白くありませんが、当時の神戸祭りのこの辺はいろいろなことをやっていてとても面白かったのです。
  で、この野外ステージでも今で言うロンゲでロンブー(タレントのではなく)のお兄さんが、グランドファンクみたいに延々とギターを弾いていたりして結構カッコよかったんです。観客に外人も多く彼らがリズムに合わせて空き缶を叩きはじめ、それがだんだん広がってみんなで空き缶の大合奏になったりと、まるで映画で見たウッドストックのようで、それはそれは興奮いたしました。
  私は、これでエレキに目覚め、帰り道に友達の所へ寄ってさっそくエレキギターを借りて帰りましたとさ・・・。その後、神戸祭りでは、そういった興奮状態が加熱して暴動になり殺人事件がおき、規制が厳しくなり、地味になってしまいました。

 さて、BBAの来日は残念ながら同時体験していないのですが、行った人の話を聞くと、それはそれは凄すぎて何をやっているのか分からなかったそうです。先に書いたように来日自体が珍しいご時世ですから、当時はまだまだ、幼児状態だった日本のロックにとってジェフベックは、神様のような存在だったのだと思います。

 その後、1975年のワールドロックフェスティバルで日本のロックは本格化し始めますので、ちょうど夜明け前という感じですね。ちなみにそのワールドロックにもジェフベックが来ますので、夜明け前と夜明けに来ていることになり、日本のロックにとっての先導者のような存在ですね(・・・言い過ぎか)。

 長くなりましたが、このライブの内容は、他のBBAのブートレグなどと比較しても遜色のない、かなりいい演奏だと思います。
  BBAとしては中期にあたるので、かなり3人のコンビネーションもばっちりで、レパートリーのアレンジなどもまとまっており、その枠組みの中で自由奔放に弾きまくるジェフベックのギターが聴けます。唯一惜しいのが、非常に太鼓の音が悪いことです。カーマインアピスのもの凄いドラムの迫力が全然伝わってきません。今のデジタル技術で何とかならないものでしょうか。

 ま、それはしょうがないとして、それでもスタジオ盤ではなかなか聴きにくいジェフベックの唐突でエモーショナルなギタープレイがいっぱい詰まった内容の濃いアルバムだと思います。ジェフベックものっていたようで、アンコールなどでは、客席に降りてきてまで弾いていたそうです。ただ、選曲で「TONIGHT I'LL STAYING〜〜〜」が落とされたのは残念。


DISC 1

SUPERSTITION
 
のっけからトーキングモジュレーターの変な音(声?)でワクワクします。ただ曲が始まってみるとドラムの音のせいもありますが、スタジオ盤よりタイトなリズムなので、ちょっと戸惑います。カーマインアピスは、シンコペーションでのハイハットをよく使うので、タイトに聴こえます。ギターソロは、意外とフレーズっぽいです。この演奏のエンディングは、スタジオ盤と同じですが、他のライブではいろんなアレンジで演奏されています。

LOSE MYSELF WITH YOU
 これまたカッコイイギターのフレーズから始まるのでワクワクさせてくれます。この最初の方の5連フレーズはベックの18番で、この演奏のギターソロや「哀しみの恋人達」(BLOW BY BLOW)のハイライトにも出てきます。この曲は変拍子で複雑なアクセントがあるのですが、ライブでも見事に複雑です。また、この曲の母胎は「LET ME LOVE YOU」の第二期バージョンなのです。それでなのか、この演奏の途中、ギターソロに入る直前に「LET ME LOVE YOU」の歌詞の一部が歌われています。で、ギターソロは、強烈ですね。感覚的なチョーキングと終わりの方でなんとなく剽軽なフレーズが入るのがベック風です。
 ベースソロもティムボカートならではのハーモニクスを使ったりの盛りだくさんで、当時こんなベースソロなんて聴いたこと無かったんじゃないでしょうか。また、この演奏ではカーマインアピスのバスドラも強烈です。音が悪いのが本当に惜しい。とにかく緊張の連続、手に汗にぎる展開、〜いやー、BBAって本当にいいですね、それではまた、皆さんと楽しみましょう〜。

JEFF'S BOOGIE
 これぞジェフベック、ギターキッズのあこがれ(昔は)、超ハイテク、超ウィットの集積。ヤードバーズからずっとやっているみたいですが、その時のバンドで多少アレンジが違います。
  BBAのが一番シンプルでベックのギターが引き立ちます。おなじみ「メリーさんの羊」は後半がカントリー風の難しいフィンガーリング。ハーモニクスのチャイムに続いて18番3連トリルですが、この演奏では単にプリングオフするだけでなく、音の粒が立つようにピッキングしているように聴こえます。次のは、ヤードバーズの「OVER UNDER THE SIDE WAYS DOWN」のテーマメロデ。
  「STEPIN'OUT」のリフは、BBAの頃から弾いているようです。
 ミュートの聴いたフレーズ?から、出ました「じゃじゃ馬億万長者」は、第一期からしっかりやっています。この一連は、カントリーのチェットアトキンス風フィンガーリングをマスターしないとできない超難しいフレーズ。そんなものを突然、ハイスピードでやってしまう所にジェフベックの懐の深さがあります。

GOING DOWN
 第二期ではキーがGでしたが、ここではDで演奏されています。ボーカルの事情でしょうが、しかし、見事に音がはずれています。でも、Dのキイだからできるイントロは、こっちの方がカッコイイですね。フィードバック奏法も聴けますが、ギターがレスポールなのでトレモロアームをかけることができず、ちょっと間が持たない風の感じもあります。

BOOGIE
 カーマインアピスのドラムが、BBAブギーといってもいいような独特のドライブ感を出しているブギーです。

MORNING DEW
 第一期からの曲ですが、第二期からアレンジが変わって低音弦を使ったカッコいいリフが演奏されていますが、この演奏はその流れで、これは後に「JIZZ WHIZZ」という曲になっています(BECOLOGYに収録)。この曲はでのソロは、割とどの演奏にも共通したジャズっぽいフレーズが弾かれています。ドラムソロでワウワウを使うというのも珍しい。


DISC 2

SWEET SWEET SURRENDER
 レスポールのクリアな音によるバッキングが新鮮です。こういう小技を散りばめたバッキングもジェフベックはうまい。ピッキングハーモニクスや、分散などを駆使したギターソロの微妙なニュアンスも名演のひとつではないでしょうか。
  エンディングの方でだんだんハードになってくるのがBBA風です。そうそう、最後に「ジャン!」と取ってつけたように終わるのもBBA風。もうちょっと考えろよななんて始めは思ったのですが、そこはファン。あばたもえくぼで、これがまた良くなってくるんだから始末に負えません。

LIVIN' ALONE
 スタジオ盤と全然違う始まり方をするので、何かと思います。この曲のイントロは、第一期のライブで「YOU SHOOK ME」として演奏されていたものです。ギターソロは、唐突で非常に感覚的。スチールバーを使っているのですが、そう聴こえないところがジェフベック。

I'M SO PROUD
 スタジオ盤と同じ展開。R&Bの名曲のカバーですが、ベックのサイドギターがいい感じです。ギターソロも独特の間があります。

LADY
 これはスタジオ盤とだいたい同じような演奏です。

BLACK CAT MOAN〜BLUES DELUX〜BLACK CAT MOAN
 この演奏は、
スタジオ盤とかなり違った印象です。ベックがボーカルを取っているため、最後ギターは、普通です。聞きどころは後半のソロです。ブレイクに様々なギターのリックを披露してくれます。「YOU SHOOK ME」へ続くところでは、いよいよジェフベックならではの圧巻です。トーキングモジュレーターでこれほど面白く遊んでくれるギタリストはいません。

WHY SHOULD I CARE
 これもスタジオ盤と似たようなアレンジですが、途中のベースとの掛け合いは圧巻です。レスポールらしい太い音が、いい音です。

PLYNTH/SHOTGUN(Medley)
 アンコール曲で、大もりあがりです。PLYNTHは第一期のスタジオ盤ではひょうきんですが、ここでは典型的なハードロックの曲になっています。決めのアクセントやブレイクの隙間に手換え品換えリックを弾きこむベックのギターが聴けます。

 

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